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安全装置

前からそうだったかもしれないけれど、ここにきていちだんと『鼻が利く』ようになった気がする。そしてそのおかげで気分があがることもあれば、そのせいで気分が悪くなることもある。おかげとせいではかみひとえ。ただ言ってみただけ。

先月から働きはじめた職場(なんと、もう2ヶ月が経とうとしている!)は、製造業。甘いにおいのするところ。最初は仕事内容も会社方針もあっちこっちと話がとんでいろいろわかんなくてキーッとなってたことも多かったけど、このにおいに救われるというか、ホンワカするときもある。今もいろいろあるけど、甘いにおいにはすっかり慣れました。

さて、急なことではあるんだけど、別の会社の業務を少しだけ今の会社がひきうける(引き継ぐ)ことになったらしく、あんた習いに行っといでとのこと。行ってきたのです。が。

入った瞬間からにおいが無理だったのです。そこには製造の現場はないので、いわゆる事務作業をする場があるだけ(しかもどーんと広い。ウラヤマシイ。)なのだけど、
なんだろうこのにおい。
カビ臭さと、古い家の押し入れみたいなにおい
。まったく音がしなくてしんとした場所。でも図書館とか古本屋のにおいとはちがう。
においが気になりすぎて説明されてる内容がぜんぜん頭に入ってこなくて必死でメモをとったけど、あとあと思い返してわかった。説明のじょうずな人じゃなかった。すべてにおいて主語がないのでわかりにくくて当然だった。(仕事の情報共有だからこんなふうに書いていますが、私の文章だってあっちへこっちへと飛んでいって主語もなくて読みづらいことこの上ないと思います。そこはごめんね。アタマの中身の棚卸しだからさ。)

説明はそんなに(時間)かからないよと言われていて、実際すぐに終わったのは終わったんだけど、
ずっとにおいがとれない。
職場に戻ってもにおいがとれない。
そのうち退社時間が来て、いつもどおり歩いて帰っているんだけど、まだそのにおいがとれない。鼻の奥にずっと『いる』感じ。
帰宅してまっすぐ風呂場へ行き、着ていった服もぜんぶ洗った。そしてやっと落ち着いた。

難儀だ。厄介だ。でも私にとっては安全装置のような気もしている。においがダメな場所にはいられないし、においがダメな人とは一緒にいられない。本当に申し訳ないと思うけれど、無理は無理。

ヒト臭ってあるんだよね。そして夫にも私にも加齢臭ってのは出てきている。否定できない。自分でわかる。必要以上になにかをすることはないけど、せめて清潔にしていようとか、洗剤を変えてみようとか(ちなみに液体→粉にしたらずいぶん気にならなくなった)はしている。
そしてヒトとヒトが一緒にいて、イエ(家)臭ってのができる。家に帰ってきたら家のにおいがする。わかる。それは安心のにおい。

夫の実家に行くと夫の実家のにおいがする。うちとはちがう。このにおいが気にならないから私は夫と一緒にいられるんだろうなと思う。

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