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手のひら先生の高麗手指鍼療法 24   鍼灸師が治療に実感が持てた時



鍼灸学校で3年間東洋医学の基礎を学んでも、鍼を刺すことは出来ても治すことはほとんどできません。

痛いところを触ろうとするのが鍼灸学生のレベル、その痛みを患部から離れと所に引っ張ってこれるのが上級者、さらにうまい人は患部を触って治してしまうのが達人だと、按摩の先生に習いました。

スポーツ選手がプレーしている途中でけがをしたら、一刻も早く治さなければならないので患部に触っることをするのですが、達人ならいざ知らず学生程度の技術だとまず患者さんに触ることさえ出来ないでしょう。

達人はそこに触ることで早く治してしまうのです。


そのような名人芸は別として、鍼灸師が鍼を打ってこの疾患を治している、治せるなと自信を持つのはいつなのかを考えてみました。

最初から?そんなばかな!


鍼灸師はどのようにして感覚を学ぶのか

ちょっと箔が付くかどうかわかりませんが、昔読み始めて3ページで止めてしまった、フュームの「人生論」に感覚のつかみ方が書かれていました。

感覚をつかんだりするのはある実体験をもとに、それからどの程度距離感があるのかを重ねることにより、感覚が出来上がると書かれていたように記憶しています。

哲学的には問題があるらしいですが、我々が実感とか感覚とかを磨き上げる時はそのようなものだと思います。

このツボに鍼を打てばこの痛みが和らぐ、このツボならこの内臓に響かせることが出来る、と書かれていても最初から時間としてとらえることは出来ません。

一定の治療法を行って重要なツボに鍼を打ち、患者さんがお金を払ってもらい、「良くなってきました」と言っていただきなおかつ次回の予約を受けて初めて、「鍼で治療ができるんだ」と実感するのです。

「お身体いかがですか?」と再診のお客さんに、躊躇なく何のわだかまりもなく自信をもって聞けるようになったのは、10年を超えた頃だったでしょうか。

医師も鍼灸師も身内の病気に遭遇して初めて分かる

もう20年前になるでしょうか、鍼灸雑誌に医師から寄稿がありました。その方は外科医でした。盲腸の手術のあとは鎮痛剤の処方は何日運までと決まっていたそうです。ところが自分が虫垂炎になって手術を受けたそうです。

手術後2日か3日分の鎮痛剤は出たのですが、それ以後も傷口は痛みが強く内緒で看護師に薬をもらったそうです。

完治したあと体験に基き鎮痛剤を今までよりも長く処方したところ、入院日数が短くなって退院する患者さんが増えたそうです。

体験して初めて分かるのは医師の世界でも同じだと、少し安心したことでした。

家族が癌になった時自分の専門ではないのだが、いかに自分の技術が無力なのか思い知ったという感想の文章を読んだこともありました。

お腹の中にいる胎児が逆子になることがあります。

鍼灸師のお子さんが逆子になったので、文献に書いてある至陰のツボにお灸をすえましたが治せませんでした。

第2子も逆子になったので奥さんにまたお灸をしようかと言ったら断られてそうです。

ある医師が突然痛みを感じこれは自分の専門の病気だと気づき、そのまま大学病院も辞し入院しそのまま亡くなってしまいました。

この記事を読んだときなぜすぐ死ぬと分かっていたような病気を、何例も手術を仕事とはいえ行っていたのか今だ疑問です。

患者さんに対峙する時はこの方がもし見内だったら、と考えて治療することはきついことですが。

感覚は気を学ばないと分からない

漢方の大家山田光胤先生には診ていただいたことがありました。鍼灸師になって先生の文章を読みましたが、診断は患者が診察室に入って来たところから始まる。

歩く姿 顔色や立ち居姿なども見なければならない。望聞問切の診断の前から始まっていると仰っていました。

それができるようになると患者さんに聞く前に、自分の治療処方が効いてきたのだと分かってしまいます。

顔色や艶 声の張り 立居振舞 歩みの速度 などから患者さんが発する気を感じ取るのです。

そうした上で治療の成果を実感するのです。

鍼灸師の場合はこのようにして治療に対して自信を積み重ねていけるのですが、医師の場合は血液検査などの数値を見ないと感覚と実感を築けないのでしょうか。

理論が先か実践が先か

私が免疫を調整できるツボを見つけ出し効果を発揮できるのか否かを実感できたのは、いろいろな患者さんに使って結果が良かったたところで、初めてこの処方が正しかったと実感できたのでした。

がん患者さんががん専門病院に行き、血液検査で免疫度がはるかに高かったと聞いたことや、次々と免疫疾患が治っていくことから確信を持ったのです。

手のひら先生スタイルの高麗手指鍼療法と名乗っている独自のものなので、ツボは同じでもほかの方とは考え方が異なって使うので効果も異なります。

それが高麗手指鍼の思いがけない治療効果を生み出すもとになっているのですが、運に任せるような治療方法では正しい治療法ではありません。

さらに脳神経を治療できるツボも手のひらに発見しましたが、こちらについては徐々に効果を発見しています。

本には説明しているのですが、我々ホモサピエンスは4億年以上前から進化してきました。

その進化が手のひらには3段階残っています。

脳などの治療では、3段階とも(フェーズⅢまで)治療すると効果的です。

その効果は自分や患者さんの身体を通して確認したことです。

やはり鍼灸師は治せる職人なのです

目を皿のようにして古典「黄帝内経素問霊枢」を読み込んでも、治す技術が上がるわけではありません。

何千年も人間を観察して築き上げてきた鍼灸治療は、西洋医学のように試験管の中で実験をすることが出来ません。

第一二千年前は脳のことは分からなかったわけですし、免疫学もありませんでしたので対策方法はないのです。

解剖学を学んで神経を覚えてそれで鍼を打っても治せません。

打撲などの痛みは治せても内臓疾患からくる痛みや、内臓疾患 免疫疾患、脳の疾患を治療することは出来ません。

目の前に身内が病気になったのを目の当たりにして、いかに自分の治療技術が無力だったことを知るようなことは避けたいものです。


まとめ

1、年数では測れないのが経験年数
2、自分・家族・親兄弟が病気になった時どうするか
3、常に先先と治療を考えて置く
4、理論も大事実践も大事
5、病気を治す職人として自覚を

私のホームページはこちらです。「手のひら先生のリウマチ相談室」


次の本は「手のひら先生スタイルの高麗手指鍼療法」がどのようにして生まれたのかを書いたものです。

他の鍼灸書のようにこのツボを使えば治るというような本ではありません。手のひらのツボのことや治療法については
「高麗手指鍼講座」柳泰佑著 たにぐち書店 刊 日本語訳がありますのでご覧ください。鍼灸は見たり読んだりしても身につくものではありません。

一般の方には病気を治す鍼治療とはどういうものか理解できるように書いてあります。さらに私なりの簡単自律神経調整法を図解しております。

サポート頂いたら最先端の医学雑誌と、最先端の進化論本を購入し難病治療研究に役立てる予定です。