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遺伝してしまう運動能力・遺伝しない運動能力とは?

私たちが持っている体力や運動能力は、遺伝だけで決まるのでしょうか?
それとも、環境要因やトレーニングで大きく変えられるのでしょうか?

今回は、最新の研究に基づいて、遺伝と環境が体力にどのように影響するのかを解説します。

紹介論文の概要

論文の概要

今回紹介するのは、オランダのアムステルダム自由大学の研究者チーム(Nienke M. Schutte氏ら)による研究で、2016年に発表されたものです。この論文は、青年期における体力の個人差がどの程度遺伝と環境によって決まるかを調査しています。


遺伝が強く影響する体力要素とは?

この研究では、4つの主要な体力要素(爆発的脚力(垂直跳び)、握力、バランス、柔軟性)が調査され、それぞれの遺伝と環境の影響が明らかになりました。

その中で、特に遺伝的要因の強い要素は柔軟性です。研究結果によれば、柔軟性の77%は遺伝によるものであり、環境要因やトレーニングの影響は比較的少ないことが分かっています。

このことは、柔軟性のトレーニングに力を入れるよりも、他の体力要素に注力する方が、効率的な体力向上につながる可能性があることを示しています。

環境要因が大きく影響するジャンプ力とバランス力

一方で、ジャンプ力(垂直跳び)やバランス力は、遺伝的要因の影響がそれほど強くありません。

ジャンプ力は49%、バランス力は38%が遺伝によるものとされており、半分以上は環境要因やトレーニングによって向上できるということです。

特にジャンプ力は、スポーツにおいて重要な瞬発力や脚力を強化するために欠かせない要素です。

また、バランス力は年齢を問わず必要な能力であり、日常生活でも転倒予防や姿勢改善に役立ちます。

結論:柔軟性に固執せず、ジャンプ力とバランス力を伸ばそう!

この研究を通じて、体力には遺伝と環境がどちらも重要な役割を果たすことが確認されましたが、柔軟性のように遺伝の影響が強い要素は、限界があります。

そのため、トレーニングによって大きく改善が見込めるジャンプ力やバランス力に注力する方が、効率的に体力を伸ばすことができると言えます。

柔軟性を伸ばすためのストレッチも大切ですが、より効果的なトレーニングを求めるのであれば、環境要因の影響が強いジャンプ力やバランス能力を意識的に鍛えることをおすすめします。

参考論文:Schutte NM, Nederend I, Hudziak JJ, de Geus EJ, Bartels M. Differences in Adolescent Physical Fitness: A Multivariate Approach and Meta-analysis. Behav Genet. 2016 Mar;46(2):217-27.


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