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克服に向けて003:プロ野球選手がやめる原因の8割はイップス

テニスゼロ
吉田様

お世話になっております。

イップスについて、興味深い記事を見かけました。

https://sportiva.shueisha.co.jp/smart/clm/baseball/npb/2017/05/25/___split______split_5/index_3.php

「プロ野球選手がやめる原因の8割はイップス」だそうです。

イップスの程度や基準など、微妙に個人差もありますので正確なところはわかりませんが。
プロ選手ですら(だから)、上手くいかずに悩む人が多いということでしょうか。

イップス克服の体験談や治療方法論については色々と調べているのですが、未だ(テニスゼロ以外で)根本的なイップスの原因(欲、怒り)についての言及には、出会ったことがありません。

つまり今後も、各スポーツで上手くいかずにイップスになる人はおそらく増え続けるのかと。

うーん、なかなか根深い問題ですね。

回答
イップスを理由に引退を余儀なくされたゴルフのトミー・アーマー。
 
この事例が、イップスという用語が市民権を得たルーツであると伝えられます。
 
テニスでは、アンナ・クルニコワのトスイップスが有名。
 
ほかにも、ギレルモ・コリアも同様のトスイップスで、選手生命を断たれました。
 
おっしゃるとおりプロ「だから」、イップスになります。
 
初級者は、イップスになりません。
 
ご紹介くださいました記事が秀逸なのは、ノーコンとイップスとを、峻別されている見立てだと思います。
 
初級者のノーコンと、上級者のイップスとは、似て非なるもの。
 
現象面ではボールが、的外れな方向へ飛んで行くという点で同じなのですけれども、両者の心身に生じている反応はまったくの別物です。
 
たとえるならば、新品のコンピュータと、使い込んだコンピュータの違いに近いでしょうか。
 
新品のコンピュータには、アプリケーションなどがまだあまり入っていませんから、最初は使い勝手が悪いけれど、反面、いろんな情報をものすごいスピードで処理できます。
 
これが、初級者。
 
コントロールする能力はまだないけれど、新たな経験を取り込んでどんどん進化していきます。
 
一方の使い込んだコンピュータは、いろんなアプリケーションがインストールされていて、やりたいことが思うようにできます。
 
だけど干渉し合うアプリケーション同士によるバグが生じる場合があります。
 
そうなると、能力は豊富に備えているのに、処理を実行できなくなるというふうになる。
 
イップスとは、この「バグ」なのです。
 
コンピュータ「ウイルス」ではありません。
 
何かしらの外力に感染するのではなくて、自分の中で生じる不具合です。
 
たとえば失礼な態度の人に対して、怒るとするでしょう。
 
この場合、失礼な態度の人(外力)に、怒る原因があると考えるのが一般的な解釈かもしれません。
 
「お前が悪いんだから、俺が怒るのも当然だ!」とばかりに。
 
しかし心の本質に差し迫るならば、自分の中に巣食う怒る性質のほうが原因で、それが、(主観的に思う)失礼な態度の人に勝手に反応している、と見立てるのです。
 
それが証拠に、失礼な態度の人に接触したとしても、条件が変われば怒りません。
 
3億円の宝くじが当たった直後だと、どんなに失礼な態度を取られても、「どこ吹く風」ではないでしょうか?(笑)。
 
つまり原因は、外部の対象にあるのではなくて、内部の性質にあると見る。
 
これが不具合を起こすから「バグ」なのです。
 
イップスが、外的な何かに起因すると考えているうちは、克服できません。
 
たとえば「道具を変えたら治る」とする提案を聞いたことがあります。
 
ラケットを変えるとか、ストリングを変えるとか、テンションを変えるとか、グリップの太さを変えるとか。
 
しかし、外的な何かを変えても、やはり治らないのですね。
 
一時的には上手くいくような気になる場合もたまにありますけれども、バグが残っている限り、それは文字どおり一時的です。
 
もっと言えば、「身体」も外的な対象です。
 
ですから、手首を固めるようにフォームについて工夫してみたり、あるいは、腕が勝手に動くからといって器具で固定してみたりしても、バグは残ります。
 
では、バグとは何かというと、おっしゃるとおり「欲」と「怒り」です。
 
さきほどは失礼な態度の相手を例に、「怒り」について説明しましたけれども、「欲」についても申し上げますと、3億円という外的な対象があるから、むさぼりたくなるのではなくて、自分の中にむさぼりたくなる欲の性質があるから、3億円が当たるかもしれない宝くじの情報に接触すると、買いたくなるのです。
 
さてイップスを、「得体のしれない怪物」と見なし、どうにかしようと暗中模索するのは危険です。
 
そうではなくてイップスとは「バグ」であり、それは「欲」と「怒り」というふうに手のつけられる心の問題へと落とし込むならば、具体的な対応の仕方が見えてきます。
 
で、ふり出しに戻しますけれども、初級者ほどテニスに対して「欲」と「怒り」がない。
 
バックアウトをしても、「テヘへ、しまったな~」などといって、笑って済ませられます(笑)。
 
ところが上級者になればなるほど、バックアウトが「許せなくなる」。
 
何だかバックアウトが、自分の能力や人間性の至らなさを、示唆しているかのようにすら感じます。
 
あるいは、対戦相手にもバカにされているような気分に陥り、怒りを覚えたりすることもあるでしょう。
 
ですが先述しましたように、怒りの原因は外部の対象にあるのではなくて、自分の中に巣食う怒りの性質が、バカにしている(と錯覚する)相手に反応している、と見るのです。
 
ですから、怒る性質(そしてその表裏関係にある欲の性質)が落ち着けば、イップスは克服されます。
 
いえそれだけではなく、今までの生きづらさの苦悩が克服されるから、イップスには「なるだけの価値がある」と、いつも申し上げています。
 
「泥池から蓮の花が育つ」ということが、本当に起こり得る教えのとおりです。
 
もちろんトスイップスだからといって、日常生活の動作に何か支障があるわけではありません。
 
普通に腕を動かせるし、勝手に動作が固まったりもしません。
 
ですから、トスイップスを無くすなんて、いとも簡単です。
 
テニスを辞めさえすれば、いいのですから。
 
だけど、辞めたくても辞められずに苦しんでいる人が、ごまんといます。
 
プロ野球選手の8割が、イップスを理由に引退を選ぶというのだけれど、バグを取り除きさえすれば、イップスは克服されるのです。
 
情報提供ありがとうございました。
いつも気にかけてくださり、感謝しています(合掌)。


即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero