忘れちゃうってこと、忘れられちゃうってこと
ニーネの歌詞の記事を書くぞ書くぞといいながらいつまでも書いていないので、いい加減書きます
「やっぱり代表曲から書くべきかな」と思っていたのですが、それより書きやすいものからとにかくばんばん書いてった方がいい気がするので、今回は1st「8月のレシーバー」に収録されている「忘れちゃうってこと」の話をします
この曲は演奏はキュートなんですが、その割に結構切なくてハードな内容を歌っているところが好きです 個人的には少しだけ狂気を感じる一曲だなと思っています
それから、この自虐的なユーモアが魅力的です これは初期作品の特徴の一つで、この時期のニーネの歌詞世界の主人公はいつも暇を持て余していて、ほぼ同時期に作られた「ブラブラマン」という曲では「僕は毎日何もせずにいる ブラブラと過ごしているのさ 君が仕事をしている時も テレビなんかに頷いている 君が何かをくれても 僕が君にあげることはない」などと、なんだか開き直ったようなラブを歌っています
そして「忘れちゃうってこと」でぼくがいちばん伝えたいことは、2003年のライブバージョンが尋常じゃないぐらい素晴らしいということです 後半の歌詞がまったく違う内容になっていて、演奏もキュートな感じは一切なく、ハイスピードで緊迫感のあるサウンドになっています
これが「忘れちゃうってこと」の2003年バージョンの最後の歌詞です もはやラブソングですらなくなっており、「忘れちゃうってこと」というよりも「忘れられちゃうってこと」という曲名のほうがふさわしい作品になっています ボーカルも初っ端から声が裏返っていて、今までついてきてくれたファンから忘れられていくことの怖さ、「俺はこれからどうなってしまうんだろう…」という絶望感がヒシヒシと伝わってきます
何回かこのnoteでも書いていますが、ニーネは2003年前後の曲がいちばん暗いです なんというか、「これ鬱病の人が作ったのかな…」というぐらい、どん底の曲ばかり揃っています それが(大塚さんには申し訳ないのですが)最高なのです そしてこの時期があるからこそ、10年後に作られた代表曲「どこにいても死にそうな時もあったよ」が輝くのです だからこの時期のニーネのことをぼくはしっかり伝えていかなければなりません そうすればもっと売れる気がするのです…
「完全にダメになってしまったけれど、もう何もわからなくなってしまったけれど、みんなから置いてかれて、これからきっとこのバンドのことも忘れられてしまうのだろうけれど、それでも本物の魅力を、自分がこれだと信じるものをなんとかして見つけたい。もう自分にはそれしかない」という切実さは胸を打ちます そしてこんな時までほんの一握りの希望を捨てないのがニーネの強さです
ダメになって、気が付いたら社会のレールから外れていて、同級生のみんなから置いてかれて、「え、お前あのときいたっけ笑」とか言われ続けたぼくのような人間にとって、これほど刺さる歌詞はなかなかありません そしてそういう青春を送っていたみんなは絶対に2003年前後のニーネを聴くべきです 残念ながらこのバージョンの「忘れちゃうってこと」はサブスクで聴くことはできないのですが、物販などでは売っているはずなので、どうにか頑張って手に入れてください あなたのためのライブアルバムです
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?