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突然ざわめきが【第五回】:『志摩遼平』

ドレスコーズのライブに行ったことがある。アルバム「纞愛大全」のレコ発ツアーだったそのライブで俺は号泣。19歳本気(ガチ)の号泣を披露し、一緒に来ていた友人に少し気を使わせてしまったような気がする。 志磨遼平の曲を聞いていると、全身が愛に(全身が愛に…❓)なっていく感覚がある。人生と恋愛(誰かをつよく想う行為)がやけに密接で、ドレスコーズを聞いている時には、俺にも愛すべき恋しい人間がいた気がして泣きそうになる。全身が愛になる、と俺が言う時、大抵はそういった心情のことを指している。ちなみに、木下侑介『君が走っていったんだろう』を読んだ時も全身が愛になったりしました。

傷つけても ゆるされます

それくらい残酷な夕べ

↑すごい… 恋愛のこととなると途端に、許す/許されない 傷つく/傷つける といったことばたちが会話を支配するのが理解できなかったんだけど、この歌詞はそれが全部詰まってる。分からないすぎて逆にもうわかるよ、になってきた。ちょうどまだ誰もことばにしてこなかったものを、誰もが使い古している単語たちで僕の恋をちょうど歌っている。

春にはあるでしょう

ほんとうにあるでしょう

(一体、何が・・・!?!?!)

ひとたまりもないさみしさ

抵抗のすきさえないほどに

老いてくぼくたちをうち負かす

(罪罪/ドレスコーズ)

あのさー、(あのさー)寂しさってもしかして一生ある感じ? 椎名林檎の好きな歌詞で<振り返ればいつも恥ずかしいくらい淋しくて>というのがあるんですが、罪罪聞くと同時に思い出す。俺たちはさみしさの前に無力であることを好きなアーティストたちが悉く教えてくれているな・・・。

「式日散花」、「纞愛大全」の毛皮のマリーズ時代から引き継がれている、人生に愛と恋が居て、もう支配されてるとかじゃないくらい、愛と恋は人生そのもので、壊れているとか壊れていないとかもうそんな話しでは無い雰囲気。雰囲気というよりは事実。


ぼくはきみの駄目な天使
羽もないし 金もないし
ぼくはきみを愛してるし
愛してるし

(聖者/ドレスコーズ)

僕とあのコを泣かせてさ
なんだよ世界ガッカリだ
なんだよもう なんだよもう
キレイ事なんか聞き飽きたよ

(人生Ⅱ/毛皮のマリーズ)

ぶっ壊れ、前も後ろもなにも分からずただ泣きながら走っている。疾走と崩壊が同時に行われ、だのにここは光の中である。光は今ここにある。それは分かる、それだけが分かる。 こんなにも苦しいのに何故だが光の中である、という感覚。ぼくはそれが恋愛だと思うんですが…皆さんに置かれましてはどうでしょうか……❗❗❗❗❓❓❓

歌詞における、ぼくが##NAME##ならば、きみやあのコというのは404 not found 、なのかも!!!!!(正直、何か大きなことを言えばいいと思って文章を書いています。俺はいつもわからないことばっかりで、でも分からないからって黙っているのはつまらないなって思う。違うかも、大きなことを言ってから削っていく作業が俺には必要な気がしているから、デカく荒いことばかり言ってしまう。今後も変わらないままになります。)

ラブソングが流行るのも上記の理由で、僕たちは常に代入可能な詩や言葉を探し続けている。それは莫大な孤独で、ぼくに僕を、きみに君を当て嵌めたところで何か大きな孤独が生み出されるだけである。なにひとつ僕を慰めることが出来ない。

歌詞においてのぼくはぼくでしかなく、きみもきみでしかない。 そんなことに最近やっと気付いたりした。与えられた言葉にこちらから何か足すことなくただそのまま受け入れることが、いちばん楽しいのかもしれない。ぼくはそうやってドレスコーズを聞いています(✌)


そして愛の日々よ
それぞれの日々よ
銀色の夢に沈む夜
君は僕だけのビューティ
眠れ 愛の日々よ
君と僕の日々よ
黄金の月に照らされて おやすみ僕の東京

(弦楽重奏第9番ホ長調「東京」)

これもかなり、全身が愛…………………… 。いいなあ、俺も誰かに「これは全身が愛になる作品だな…」って思われたいな。いつかそういったものを作りたい。 この、君は僕だけのビューティ で毎回、20歳本気の号泣 になる。志磨遼平の歌詞から想起される感情、溢れてしまいそうになるほど剥き出しになる何かに対する強い愛って、季節に触れたときに湧き上がるものと似ている。夏の夜の音とか、冬の匂いとかそういうものを目の当たりにした時には、湧き上がってくるものがある。それを志磨遼平の歌詞にも感じる。

うっかり高校三年生の共通テスト直前に毛皮のマリーズ「ビューティフル」に出会って、気づけばこんなところまで来てしまった!本当に毎日、こんなところまで来てしまった・・・と思っている。自分の人生を生きている感覚が希薄で、でもそれが辛くて、誰のせいでこんなことに(?)と思いつつ多分自分のせいなんだけど、一丁前に世界を恨んだりさせていただいたり・・・(?) そういった時期を越えて自分の人生を手繰り寄せることになったのは、舵を切っていく覚悟というか人生の喜びみたいなものに触れていこうと思ったのは、絶対に志磨遼平の曲たちが影響してる。

ああ悲しい夢も見たね 
過ちだってあったかも
だけど僕たちはこんなにもすこやかだ 
うつくしー!

(欲望/毛皮のマリーズ)

うつくしー!



執筆者:輝輔(@gv_vn8

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