"産業の個人化"と"個人化の統合"

個人がしていたことが、産業として成長するタイミングで効率性を求め組織化し分業化した。それが、テクノロジーのお陰で、また個人に戻るのような流れは結構あると思う。

メディアであれば、個人が手書きしたものから、印刷技術の発達で書き手と印刷と流通が分かれ、テレビの発展で更に分業化。それがSNSの発達で、書き手(クリエイター)自身がメディアになることが出来るようになり、web3的世界観ではほぼ完全にメディアが書き手のものになっていく。

個人がメディア化し、影響力がある書き手がインフルエンサーなどと呼ばれるようになり、さらにはそれを束ねる会社が生まれ、以前よりも高次の形で集約して行く。そんなことを考えていると、これまで分業化されていた個人ではできない(と思われた)産業的なものが、テクノロジーによって個人に回帰していったのが2010年頃から今までのトレンドの一つだったように思う。

SNS(個人のメディア化)、ノーコードネットショップやフリマアプリ(個人の商店化)などがそれにあたる。であれば今後のビジネスとして
①分業された組織(企業)でしかできないことを個人でできるようにするビジネス
②それらを高次で統合するビジネス

が成長するように思う。

個人的に①は、個人の銀行化(P2Pレンディング)みたいなものや、個人のメーカー化などは流れが来てもおかしくないと思っている。メーカー化については2012年に発行された「MAKERS: 21世紀の産業革命が始まる」という本を読んだときに、3Dプリンターなどを活用して『個人もメーカー化する時代がくるな!』と興奮したが結局はそんな時代が訪れたとは言い難い。それでも、生成AIの進歩などを見るにやっぱりなんらかの個人のメーカー化は起こる気がしてしまう。もう少し未来は、太陽光やまだ見ぬ発電方法によって個人が大量にエネルギーを作れるようになり、作ったエネルギーを売り買いする時代まで行くとすごく面白い。

②については、伸びつつあるロールアップECのようなモデルが、個人の小規模店舗まで広がって行く気がするし、ユーチューバーやVチューバー事務所のような仕組みや、インフルエンサーを束ねる事務所などはもっと洗練されていくだろう。

なんにせよ、産業の個人化の観点とそれの統合の観点で考えると新しいビジネスに繋がりそうだ。

text: Takehiro Nagi

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