1日に20回、同じような服装の人とすれ違ったら”流行っている”と思うのか?

「流行り」とは何なのか。どうやって生まれるのか。これは僕がずっともやもや考え続けてる問いの一つだ。

僕の中では「流行り」とは、以下の3つを満たすものだと仮説を立てている。

①限定された範囲(世代、場所、嗜好)で
②一定以上の割合で
③出現(話題に上る、使用)するもの

限られた範囲とは、特定の世代や性別、エリアなど場所的なもの、共通の趣味を持った仲間内など、境界が明確であるかどうかは別にして、なんらか区分ができそうな固まりをイメージしている。

一定割合は、閾値のイメージだ。それが10%のような割合なのか、または1日に10回のような頻度なのか、もっと別の指標なのかは分からない。

出現は、そのままだが、見かけたり、話題に上ったりすることをイメージしている。

この定義だと、やはり気になるのは「閾値」だ。おそらく、この閾値に到達するためにさまざな企業はPRを行ったり、マーケティングを行っている。

ここからは思考実験になるが、20代前半の男性でストリートっぽい人のような範囲(セグメント)を設け、そんな人達を1,000人集めて2〜3時間、同じようなスタイル(とぱっと見識別できる格好)で渋谷の街を練り歩いてもらうとする。すると、それを見た同じ属性の人達はそのスタイルが「流行っている」と捉えるのだろうか。

僕の個人的な感覚では「流行ってるかも?」くらいの印象は残せる気がしている。もちろん、集めるべき人数が1,000人なのか、10,000人なのかは分からない。

そして、これで「流行っている」と思わせられないのであれば、前述の①-③に、以下の④、⑤の要素が入ってくるのではないかと考えている。

④一定以上の期間
⑤権威の言及

一定以上の期間とは、思考実験では2〜3時間と時間が短かった、だめだった(流行らなかった)と仮定した場合だ。権威の言及とは、いくら一般の人の中で見かけても、イノベーター理論の5つの区分け(*)のイノベーターやアーリアダプターに属する人たちが動かなければ、マジョリティが動かせないということになるのかもしれない。

*イノベーター/アーリーアダプター/アーリーマジョリティ/レイトマジョリティ/ラガード

さらに、こういうことを考えていくと、別の仮説も生まれる。
「流行りは若者から生まれていく」と言われる所以は、若者が考える必要がある範囲が狭く、固定化されたコミュニティ(学校など)に所属する層で、閾値までの到達が早いからなのではないかと。それこそ、学生などは、クライアントとの会食も、家のローンも、子供の成長も気にする必要がない人がほとんどだ。

ただ言えることは、「流行り」を意図的に作ることは可能ではあるが、投下出来るリソースやコストなどの制約がある環境下では簡単ではない。って当たり前なことだけかもしれない。

text: Takehiro Nagi

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