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AL『Tree』はセカオワの金字塔

SEKAI NO OWARIの『Tree』というアルバムがある。

人生を最も動かした1枚だ。

というのも、中学1年の1月にリリースされた『Tree』こそが人生で初めて買ったCDとなったのだ。当時フラゲしたし、死ぬほど、狂ったように聴いていた。通学のときに口ずさめるほどに。しかも、アルバムの全曲、全歌詞をだ。

この『Tree』は当時「J-POPのニュースタンダード」だとか「大金字塔」なんて形容された、SEKAI NO OWARIの通算3枚目、メジャー2枚目となるフルアルバムになる。

SEKAI NO OWARIが世間に広く認知され始めた時期。

それはおそらく『RPG』や『Dragon Nights』がリリースされた2013年から2015年あたりだったと思う。それらの楽曲群が収録されたアルバムが『tree』だ。


それでは、このアルバムの何がそんなにすごいのか。

私なりの解釈をもって述べていく。

まず日本の音楽シーンからみると、彼らは当時の感覚からして恐るべきほどのスピード感でシーンを上っていった。メディアに登場する際にはメジャーデビューと武道館公演までの早さなんかがよく取り上げられていたと思う。

その駆け上がっていく様子がこの1枚に収録されているといっても過言ではない。セカオワの急成長期をドンピシャで切り取っていると思う。

ニューヒーローのアルバムだったのだ。


バンドの歴史的観点でみると、1つの集大成だった。

「ファンタジー」という言葉を用いて説明された彼らは、ポップな音楽とダークな歌詞で多くの若者を惹きつけていった。

世間の注目を受けた彼らが出せるすべてを出して、制作されたと感じる。

このアルバムとそれに伴って開催されたツアー以降のセカオワは、2曲の全英歌詞のシングルを連続でリリースし、海外アーティストとのコラボを積極的に行っていく。新曲のリリースペースも遅くなったように感じられた。このアルバムの前後で見つめる視野が明らかに違うと思う。

そういう意味でもバンドとして大切な1枚なのではないだろうか。


1枚のアルバムとしてみると、少し不思議な印象を受けたりもする。

「ファンタジー」といわれたセカオワの楽曲は1曲ごとに異なる世界観をもって、異なる物語を描いている。雪の妖精と恋をしたり、月から来た女の子や人魚と過ごす日々があったり、真夜中にどこへ行くのかさまよったり、戦争について考えたり。

それなのに、1枚のアルバムとして整っていると感じられる。

この謎は未だに解けないのだが、すごく聴きやすいのに曲の間には繋がりがあまり見えない。

Vo.Fukaseが夢で見た大樹をテーマにしたライブを行い、それがジャケットに起用されていることからも、ファンタジーというのは一つのキーワードになりそうだ。まだまだワクワクすることができそうだ。



セカオワは今も大好きなアーティストで、最新作の『umbrella』には本当にしびれた。

きっとこの曲はいつかまた記事にしたいと思う。


今回のディスクレビューはこんなところで。

最後までお読みいただきありがとうございます。






ちなみに、私のnoteIDの末尾にある5613は『Tree』の収録時間56分13秒からとっている。

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