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【アグリビジネスプロジェクト】現場視察Vol.1 ~JAGRI KYUSHU~

『のまちアクセラレーター・プログラム』では、アグリビジネスプロジェクトも進行しています。アグリビジネスプロジェクトでは、最新のテクノロジーを用いて農業の生産性を向上させることを目指しています。

今回、リサーチのために、2024年5月23日と24日の2日間 「JAGRI KYUSHU」 に行ってきました。僕なりの視点で、参加して学んだことや感じたことをまとめていきますので、ぜひ最後までお読みください!


JAGRI KYUSHU になぜ行ったのか?

2024年5月22日から24日の3日間おこなわれた「JAGRI KYUSHU」。僕は23日と24日の2日間参加しました。

僕がこのイベントに参加しようと思った理由は主に2つあります。

まず1つ目は「起業を志しており展示会に興味があったから」です。

以前、東京のビッグサイトで開催されていた展示会を、知り合いの紹介で見に行ったことがあるのですが、その際には世に出ていない商品の商談現場を目の前で見ることが出来たり、それらの商品が開発された背景を知ることができ、とても面白かったという経験がありました。JAGRI KYUSHUはさらにそれの農業に特化したイベントだと思うと、今後、日本の農家で利用されていく技術や機械、サービスを見ることが出来るのは間違いないし、それらが開発された背景を知ることで、日本の農業の課題が今よりもずっと分かるようになるのではないかと考えました。

2つ目は「米農家が使うことのできるサービスや機械に興味があったから」です。

僕の祖父母は米農家を営んでいます。私自身、小学生の頃から農作業の手伝いをしていました。祖父母が稲作に使用している機械やサービスは私が小学校のころからあまり変わっておらず、ネットで新しいものについて調べるという習慣もないため、稲作に使うことのできる新しいものについて全く導入の進んでいない状況でした。そこでJAGRI KYUSHUで現在の農業に関する市場や課題について学びつつ、祖父母が営む米農家に導入できそうな物はないかも見に行くことが出来たらいいなと思いました。

見たり聞いたりして学んだこと

続いて、僕が実際にJAGRI KYUSHUに行き、展示を見たり、セミナーを聞いたりして学んだことについてまとめていきます。

①北海道大学の野口教授のセミナー

北海道大学の野口教授の「持続的な農業を可能にするスマート農業」の講演では、スマート農業が今後どのように成長し、導入されていくのかや、そのために必要となることについて学ぶことが出来ました。
野口教授によると、スマート農業には次の3ステップがあるそうです。
1ステップ目が「自動化、ロボット化」です。この段階では人手不足の解消や、重労働を少し楽にする段階になります。
続いて2ステップ目が「データの収集、利用」です。この段階でいかに多くのデータを効率よく正確に収集するかが、農業の技術の継承にもつながっていると仰っておられました。
そして3ステップ目が「精密作業」になります。ステップ2で集めたデータをもとに、より精密で効率の良い作業が可能になり、農薬の削減等にもつながると仰っておられました。この3ステップの中で特に肝になってくるのがいかに低コストでデータを収集するかということです。
そこで野口教授が行っているのが、バーチャル空間を利用したデータの収集になります。バーチャル空間で農園を完全再現し、再現されたその空間でシミュレーションをたくさん行いデータの収集から分析までをおこないます。その結果をもとに実際のフィジカル空間でも同様の作業をおこなうことで最も効率的に農作業を行えるようになります。現在はまだまだ人間の操作が必要なのですが、いずれは完全に自動で行えるようになり、人間は不具合がないかを見ているだけになるとのことでした。
次世代の農家が学ぶのは機械の操作方法やメンテナンス方法、データの分析方法などになっていくのかなと思うととてもワクワクする講演でした!


②日本の農業は効率が悪いだけ?!

「ノウカノタネ株式会社」の鶴さんのセミナーでは日本の農業は効率が悪いだけ!?という目から鱗な事実を学びました。
例として、トマト農家が挙げられていました。現在日本にはトマト農家が20,000戸あります。それに対してオランダではたったの200戸しかありません。つまり日本の方がオランダよりもはるかに多い人数でトマトを育てています。それにも関わらず生産量を見るとオランダの方が多くなっているのが現状です。この現状の原因ついてノウカノタネ株式会社の鶴さんは、以下の2点を挙げておられました。

1点目は日本の農家が圧倒的に小規模であるということです。
1戸あたりが使う土地が非常に狭く、売上で見ても高くて4,000万円くらいであると言ってました。それに対してオランダは億単位での売上が普通ですし、使う土地も日本に比べかなり大規模です。

2点目はオランダに比べスマート農業がまだまだ進んでおらず面積当たりの生産量も少ないということです。この原因としては、日本の農業人口の高齢化がかなり進んでおり、中には新しい技術を導入することに抵抗がある方もいることや、新規参入のしにくい構造が、新しいシステムの開発や導入の妨げになっていることを挙げておられました。

アグリテックという分野が出来たり、スマート農業という言葉が出来てきてAIの活躍もあり、ますます農業の効率化が進んでいると思います。ただ、それらが上手く導入されていなかったり、農家の規模が小さいことが原因でそれらの効果も小さく収まったりと上手くいっていないのも現状だと思います。日本の農業はまだまだ改善できる余裕があり伸びしろがあると思うことのできる面白いセミナーでした!


③企業のブース

今回のイベントでは日本中の農業に関する起業がたくさん集まっていました。その中でも僕が気に入った企業を1社紹介します。
「北菱電興株式会社」

僕がこの企業に惹かれた理由は米農家の自動用水管理の機械を販売していたからです。似たような機械を販売している企業が5社ほどあったのですが、なかでも北菱電興のものは導入コストがぶっちぎりで安く、無駄な機能が一切ない物でした。スマート農業化が進まず足踏みしている一つの理由として、農家さんが高齢化しITに疎くなっていることが原因の一つにだとセミナーでも挙げられていたと思います。他の企業は自動用水管理の機械にスマートフォンのアプリやAIなどを使用している物が多く、導入に多少抵抗感がある米農家がいることも否めないと思います。僕も自分の祖父母を思い浮かべてみたのですが、そもそもスマートフォンすら使いこなせているか微妙なところなので、そのような機械の導入は無理だろうなと思いました。
しかし、北菱電興のこの商品は自動化だけに特化しており無駄な機能が一切なく僕の祖父母でも導入できます。スマート農業化を進めるための第一歩として最適な商品だと思いました。

④おまけ

僕は学生生活の傍ら「株式会社近代」という学生ベンチャーで就活支援に関する事業をやっています。いくつかの事業のなかの一つで北陸の企業と金沢大学生を集めて、企業と学生の出会いの場を作るイベントを行っています。このイベントでは基本的に出展される企業様から協賛料金を頂いて成り立たせているのですが、JAGRIも同じような仕組みでイベントを運営しているという事に驚きました!しかも、JAGRIは僕らがイベントでいただいている協賛金とは桁違いの額で出展料を提示していました。これほどの額を払って出展してもいいほど価値のあるイベントなんだなと思うと、JAGRIの運営をやっている企業様にも興味がわきました。これほどまで農業の世界に影響を与えられるイベントに成長した理由は、今回だけでは分析しきることが出来なかったのでこれからじっくり考えていきたいと思っています…。


総括

今回のJAGRI KYUSHUはこれから農業系のスタートアップを立ち上げようと考えている僕にとって、とても有意義で、刺激的なものでした。はじめは、農業系のスタートアップを立ち上げようと思ってから1ヶ月ほどしか経っておらず、知識も思考もまだまだ不足している僕が行って大丈夫なのかという不安がありましたが、実際に行ってみると知らなかった物やサービス、考え方をたくさん知ることができ、視野が少し広がりました。
また、農業にかかわるビジネスについてじっくりと考えることのできる機会にもなり、より、ビジネスについても農業についても好きになりました。


今後もこのnoteでは様々な視察レポート、スタートアップに関する情報を掲載していく予定ですので、興味のある方はぜひフォローしてくださいね。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

                 のまちアクセラレーター・プログラム
                   ユース・イノベーター 釣谷 優太


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