あるスタートアップの資金繰りの実態:どこにでもありふれた地獄2

3度目となる資金調達をスタートして半年。
当初の予定ではここまで資金調達が難航するとは思ってませんでした。

シードの時は金額も1社1000万円程度で、熱意と少しのトラクションで投資がなされてましたが、今回は額も大きくなりよりシビアな交渉・調整が必要になっています。「大人の」VCを相手にすると、3ヶ月くらいは余裕で時間が必要になってくるので、全然違うステージに来たなと実感しています。

さらに僕らのサービスは市場規模が算出し辛く、事業のモチーフもちょっと特殊のため、そのあたりが難航する1番のポイントになっています。むしろ足元の実績(売上)はよく出ているのですが、本当にその10倍、20倍になるのかといった「未来の可能性」が定量化しづらいとやはりエクイティでの資金調達は難航します。その辺のことがよくわかった数ヶ月でした。

このラウンドはとにかくウルトラCを出してクロージングするとして、もし新しい事業を始めるとしたら最初の段階で「市場の選定」「ビジネスモデル」「集客」の3つだけでいいのでここの研ぎ澄ましに全力を尽くそうと思います。
むしろ資金調達という点だけを見るなら、この3つがしっかりしてれば1億までは集められるんだろうと思いました。資金調達は結論、営業です。


先日、デイリーのキャッシュフローを作成しましたが、引き続き苦しい状況のまま資金調達に奔走しています。倒産まで残り60日程度です。といっても、実際に潰れるとなると残り30日くらいの時点で色々な人に連絡や調整が必要になるはずなので、実際の猶予はそんなにありません。

キャッシュフローをデイリーで見るというのは、いつ倒産するかという日付が可視化されてとても気持ちが沈むものです。
ただ、現実がありのままわかるので、打ち手を考える上ではかなり役立つものだと思いました。1番最悪の場合に会社のPCやモニターを売った場合何日延命できるか、役員報酬の支払日を同月内の前半から後半に移動したらどうなるかなど、様々なケースを考えやすくなります。

スタートアップの末期(キャッシュアウト間近)は、精神的にかなり負荷がかかるので、結構思考停止になって「どうしようどうしよう」となってしまいがちと思うのですが(僕も一瞬そうなって動悸がした)、とにかく現状をそのまま可視化して、打てる手をただ淡々と打っていくことが突破方法だと言い聞かせてやっている最中です。今後どうなるかはわかりませんが、もしこのありふれた地獄から脱出できたら、この方法は正解の確率が高いと言えると思います。

あと、こういう精神負荷が高いタイミングでは、やることを絞って早めに帰ることも大事なんじゃないかなと思います。最近ではオフィスに数時間仕事をしたら早めに帰って家事をしたり運動したりと仕事から離れるようにしています。肉体的に工数を使ってない一方、心の工数をガンガンに使ってしまってるので、その上体まで使い果たしたら潰れてしまうリスクがあるなと思ってます。スタートアップ経営者はほとんどが頑張り屋が多いと思うので土日も仕事をやっている人が多いと思いますが、長期的に頑張るために自分流のバランスをとることが大事だと思います。常にアクセル全開で走り続けることが、必ずしも最速の方法ではないこともある、ということです。

それでは。

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