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女性の特性にあった治療オプションが欲しい

こんにちは、CIDPという神経難病をもちながら生きている人間です…
(※CIDPは手足が動かしづらくなる難病のことです)

この疾患の治療オプションとしては主に下記の3つがあります。

①ステロイド内服
②免疫グロブリンの点滴(入院/通院)
③免疫抑制剤内服

特に①②に関しては体重換算で投与量が決まります。体重50キロの人は500mlのような。
ところで、女性ならではの健康上の課題って色々とあって、

女性ならではの健康上の課題(と思われるもの)

①毎月のホルモンバランスの変化
②妊娠・出産・更年期などの①より大きな年単位でのホルモンバランスの変化
③家事やケア労働に長時間従事する傾向
④言語

他にも色々ありますが、このあたりがあるかなと思います。

①毎月のホルモンバランスの変化


これは当たり前と言われれば当たり前ですが、男性と違って女性には月経というまあ大変な定例行事があり、これによって症状ももちろん変化します。私たちの病気だったら脱力が悪化したり、痛みが強くなったり。
こうした変化と関係なく薬の投与量は決まるので、標準的な治療では、この症状の月内変動に対応できているとは言い難いです。

また、医師に男性が多いため、女性はこうした変動を口にしづらい問題も同時にあると思います。

例えば、SLE(全身性エリテマトーデス)などは女性が圧倒的に多い難病ですが、そのあたりのデータってあったりするんでしょうか…

②年単位でのホルモンバランスの変化


これは私が昨年妊娠出産を経験したからというのも大きいですが、明らかに病気の症状に影響を与えます。
現に私は、産後に初発の時くらい脱力が悪化し、全く立ち上がれない状態になりました。14年ぶりくらいにそこまで悪化しました。2021年に発表された、いくつかの症例報告を分析したレビューでも、妊娠出産はCIDPの悪化因子であると言われています。

こうしたホルモンバランスの変化に、治療オプションは対応できているでしょうか?(圧倒的に症例数が足りない問題もあるかと思いますが)

また、更年期の女性だと、症状が疾患由来のものなのか、更年期症状によるものなのか判別が難しいと言います。不定愁訴と呼ばれるものもですが、こうした不調は不当に低く評価されていると思います。

ある程度はライフコースとしてホルモンバランスの変動があることは予測できるので、それを考慮に入れた治療が組み立てられるといいなと思っています。あと授乳中の薬とか治療もデータが欲しい。
でも、妊娠や授乳となると、臨床試験の倫理的課題が大きく立ちはだかるんですよね。そのあたりってどうクリアにしたらいいんだろうか?

③家事やケア労働に長時間従事する傾向


男女平等が謳われているとはいえ、圧倒的に女性の方が家事労働や、高齢者や子供のケア労働に従事する時間が長いです。
そこでは重いものを持ったり、長時間同じ姿勢でいたり、公共交通機関を利用したりと、細かく体を使う動作が多いです。

私たちの病気で言うと、洗濯ばさみとかフライパンとか、そういう手を使う労働が結構負担になるのですが、こうした個々人の体の使い方の特性に合わせた治療法があればと妄想しています。肉体労働の人と、家事労働主体の人と、オフィスワーク主体であまり家事をしない人との治療オプションがそれぞれあってほしい。

④使う言語の特性

これは心臓病のことを調べていて知ったのですが、男女で症状を訴える言葉遣いが違うという特性があるそうです。吐き気などの症状とともに胸痛を訴える人が多いとか。

これって神経難病にもありそうですよね。女性ならではの表現型を収集して分析すると、今まで見過ごされてきた症状も浮かび上がりそうです。

https://europepmc.org/article/med/10895406


というわけで、今はまだ臨床研究において単に「ヒト」で括られている男女を、それぞれの生物学的特性に合わせてもうすこし解像度を上げたものにできないかという妄想でした。

参考書籍

医療において、女性の健康上の課題が考慮されにくい問題については、こちらの書籍に詳しいです。診療ガイドラインの時点から女性があまり加わっていないという点や、男女の疾患の特徴など詳しいので興味のある方はぜひご覧ください。


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