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Q:数の吉凶が流派によって違うのはなぜ?

A:姓名判断の方法が適切に検証されていないため、判断が当たらなかった場合、根本的な前提を見直さずに、数の吉凶を変えて辻褄つじつまを合わせたと考えられます。

●占い師が違えば、数の吉凶もまったく違う

姓名判断で用いる数は1~81です。このうちの1~60について、占い師が吉凶をどう評価しているか調べてみました。

その違いは驚くべきものでした。ほとんどの数で大吉から大凶まで一通り揃ったのです。同じ数でも、A氏は大吉、B氏は吉、C氏は並(ふつう)、D氏は凶、E氏は大凶というような結果だったのです。

姓名判断には流派がいろいろあります。字画数に新字体と旧字体のどちらを使うかも違います。一字姓や一字名に1を足したり、足さなかったりもします。そうした違いが影響するのでしょうか。調べてみると、どうもそうではなさそうです。

●占い師が違えば、同じ流派でも数の吉凶が違う

まず、平成年間(1989年~2019年)に姓名判断の本を4冊以上出版した占い師6人を選びました。そして、彼らが数の吉凶をどう評価しているか調べました。この6人はいずれも康熙派(字画数に旧字体を用い、さんずいや手へんを4画にとる流派)で、一字姓や一字名には1を足す流派です。

下表はその結果の一部(数の15~35)です。ご覧のとおり、同じ条件の流派にも関わらず、やはり数の吉凶は違っていました。

評価段階はA~C氏が8段階、D~F氏は3段階です。数字は大きいほど高評価です。M、Wとあるのは、同じ数でも男女で評価が異なる場合があるので、男性(M)と女性(W)を区別しています。

<凡例>
A~C氏 : 8〔大吉〕、7〔吉〕、6〔中吉〕、5〔小吉〕、4〔小凶〕、3〔中凶〕、 2〔凶〕、1〔大凶〕
D~F氏 : 3〔吉〕、2〔並(ふつう)〕、1〔凶〕

表中の黄色セルは評価の差が大きいものです。たとえば、数の20を見ると、A氏の4〔小凶〕に対して、B氏とC氏は1〔大凶〕です。また、数の23Wでは、A氏とC氏は7〔吉〕ですが、B氏は3〔中凶〕です。だいぶ違いますね。

さて、どうしてこんなことが起こるのでしょうか。

●どうやって数の吉凶を決めたか?

数の吉凶が占い師によって違う理由は、いくつか考えられます。

① サイコロでも転がして、テキトーに数の吉凶を決めた。
② 独自に集めた膨大なデータを統計処理し、すべての数の吉凶を決めた。
③ 他の占い師の吉凶評価を借用したが、自分の経験と合わない部分を修正
 した。

さすがに①は無いでしょう。②は理想的ですが、ほぼ実行不可能です。

なぜなら、組織的な調査や高度なデータ解析が必要なため、資金的にも、技術的にも、時間的にも、驚異的にハードルが高くなるからです。心理学や統計学の専門家が集まる研究所とか、大学の研究室などでしか、できないことです。[注]

結局、もっとも現実的なのは、③ということになります。

●姓名判断はどのくらい統計的か?

よく「姓名判断は統計だ」などといわれますが、これは正しくありません。統計処理が適切なら、吉凶が矛盾している流派の共存は有り得ないからです。占い師ごとに数の吉凶が違うとすれば、統計処理が杜撰ずさんだったか、統計的手法を使わずに、占い師の主観で決めたか、このどちらかです。

以上のことから、数の吉凶が流派で違う理由は、次のようになりそうですね。

他の占い師の吉凶評価を借用したが、自分の経験と合わない部分を、杜撰な統計処理の結果にもとづいて修正したか、あるいは主観的に修正したから。

=========<注記>========
[注] 運勢データの収集・統計処理はどのくらい大変か?
 詳しくはこちら ⇒『姓名判断の統計データは存在するか?』

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