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クリエイティブ系の友達に嫉妬していた話

結構最近まで、私はSNSでとある友人の投稿を目にすることが怖かった。
彼女の名前をA子としよう。

A子は独身でフリーランスのWebデザイナー。
美大を卒業後、一般企業でデザイナーとして勤めていたが20代後半くらいに独立して今は1人で仕事をしている。
SNSでは彼女が携わった仕事(結構有名な企業のHPであったり)や友達と沖縄に行って貸切プールでシャンパン開けた〜や金髪にしてみました〜や刺青入れてみました〜や誕生日プレゼントに高級そうなチョコレートもらいました!のような投稿がアップされている。
なんて、自由なんだ。
自分で稼ぎ、お金を使っていきたいところに行きやりたいことをやっている姿は子育て中の私にとって嫉妬心を掻き立てる毒でしかなかった。
(刺青にはまったく興味ないけど)

先ほど漏れたばかりの子供の服を手で洗い、
時間に追われて自分をケアする時間もなく、肌がガサガサになっていてため息をつき、
疲れ切って寝落ちして気づいたら朝になっている自分とは比べようもない。

フォローを外して投稿が矢鱈流れてくることを堰き止めてはいるが、時々気になって、ダークな気持ちであえて覗きに行く自分がいるのもおそろしい。。

***
そんなA子と私は小学校からの友人関係で付き合いの長さで言ったら軽く30年を越える。
小学校の頃は、かなり仲が良かった。
お互いの家に遊びに行ってゲームをしたり、公園に行ったり。
私も彼女も、漫画が好きだったので「将来は一緒に漫画家になろうね!」と約束をする仲だった。

大きく変わったのは、中学校に入ってからだ。
彼女は初志貫徹というか、絵の勉強をしたい!ということで美大付属の中学校へ進学した。私はというと、同じ学校にいきたいと親に言ったものの「遠いから」「美大はお金がかかる」という理由で普通の私立中学へと行くことになったのだ。
もうこの時点で嫉妬の種は蒔かれかけている。
道を分たれた私たちはそれぞれ成長し、彼女はクリエイティブ方面へ、私は金融関係の仕事に就いた。
まだ結婚する前の20代の頃、たまに会うと割と奇抜なファッションでイキイキとしている姿を見て、服装規定が厳しかった自分の会社と比べていいなあ・・と思ったりはしていた。

私が結婚して子供ができて、育児に奔走している時には、SNSの煌びやかな投稿を見て、「私何してんだろ・・」と心底思ったこともある。


大きく変わったのは、第二子を出産してからだ。
確かに、ますます忙しく自分の時間は皆無に近いものだったが、それに反比例して「生きる意欲」のようなものが急上昇していた。

私の存在を全身で必要としている2つの命を前に、全力を出さざるを得ない日々。
結構ヘトヘトで、本当に嫌になる時もあるけど、私の中では「何がなんでもこの子らを育てたるでー!」という関西のオバチャマばりの気概が生まれていた。

そして先日、ふとA子はどうしているのかなあと気になってSNSで検索してみた。
相変わらず、楽しそうな毎日を送っている様子がアップされているのをみて、
私は全く嫉妬心を抱いていない自分に気づいた。
むしろ、楽しい時間を送ったことを共有してくれてありがとうくらいの不思議な感覚。

何故だろう・・と振り返ってみる。
すると、日々全力で子供達と向き合い、私自身が知らず知らずのうちにイキイキと充実した毎日を(半ば強制的に)過ごしているからだ、ということに気づいた。
公園に家族で行った思い出、実家のじじとばばが孫を見て笑顔になった姿、毎日幼稚園であったことを聞くこと・・

彼女のキラキラした一日と、私の子供と過ごした1日は全くの等価であることに体感的に理解できたのだ。
子育てってすごい・・そして深いなあと感じたのだった。
人生強制本気発動装置。
使い方によるけど、私はそのように捉えている。
どんなキラキラより充実をくれている子供たちが時に憎らしく、愛おしい。

いつか、もっとおばあちゃんになったら、彼女と会ってお互いの人生をしみじみ語れる日が来るといいなと思う。



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