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フリーライター歴23年の全収入について〜下がり続けるギャラと増える業務の地獄に出口はあるのか?〜

2001年にライターデビューしたので、まだまだ業界にはバブルの名残がありました。「え?これだけしか書いていないのに、こんなにもらえるの?」というケースも少なくありませんでした。2010年代になると、そんなことはトンと減り、媒体全体のギャラは急降下を続けています。ライター歴23年、ベテランの部類に入る私が「ギャラ」の全貌をご紹介します。※あらかじめお伝えしますが、具体的な媒体名は記載していませんので、あしからず。

■50代のフリーランスライターはいくら稼げるのか?

一説には、フリーライターの平均年収は300万〜400万程度と言われています。住んでいるエリアや生活水準、家族構成にもよりますが、単身で生きるなら何とかなる数字です。

ぼくのまわりにも、30代のフリーランスのWebライターが何人かいます。具体的に年収を聞いたことはありませんが、1.5万〜2万円のギャラが発生する媒体(出版社が運営するメディア)で月に十数本は書いていると思うので、月収は30万〜40万。だから、平均年収とピタッと合致する。

でも、50代のフリーランスが活躍できる場所っていうのは、意外と少ない。20〜30代の若手が活躍するメディアに企画を持っていっても相手にされないし、かといって自分の名前で本を出すようなブランド力もない。そんな私がどんなふうに生きているのかを、スケジュール帳を見ながら、平均的な収入をご紹介します。

■平均的な収入と業務量について

●毎月のルーティンワークとなっているのが、Webニュースサイトの記事制作。企画の提案からアポ入れ、取材・執筆、先方校正まで一通りを担当します。これが月に5〜6本ほど。ギャラは1本(1000文字ほど)、1.5万円。金額は安いけれど、媒体チェックがなく、修正がある場合は先方がやるので、手離れがいいんです。

●週刊誌Bの仕事。こちらは企画出しから誌面の構成は編集者さんからご提案。企画にあわせて、取材者・識者の選定、電話・リモート取材、ときには現場に行くことも。平均でスポット記事1ページと、特集企画で5ページ。文字数はページあたり約1400文字。スピード感は異様です。月曜に依頼があったら同じ週の金曜に入稿。早くても来週の金曜とか。1ページ単価は2万〜2.5万円。こちらも手離れがいい。

●Webサイトの記事執筆。ジャンルは、コーポレートサイトや採用関連。企業に出向いて社員さんや代表者さんにインタビューをする仕事。請け負うボリュームはそれぞれですが、平均すると5ページぐらいですか。代表者のメッセージと、社員さんの言葉で4ページ。取材は1日/3万円、執筆は1ページ/2.5万円ぐらい。

●書籍のライティング・制作。単行本なら1冊10万字前後。取材も含めると、3時間×2日〜3日。執筆期間は1ヵ月〜2ヵ月。版元さんによってそれぞれですが、手直しを求められることもあります。最も安いギャラは、東京・赤坂に拠点を構えるX社さんの13万円。もっとも高額だったのが、健康習慣の秘密を紹介する実用書で60万円。

だいたい、こんな感じですかね。ざっと振り返っても本数はそれほどやってません。10本以内ですかね。

●WebニュースサイトA:7.5〜9万円
●週刊誌B:12万〜15万円
●Webサイトの執筆:15.5万円
●ブックライティング:13万〜60万円

もちろん、支払いサイトはそれぞれバラバラなので、これが一度に入金されるわけじゃなく、先月とか翌月分の仕事とごっちゃになって振り込まれてきます。だから、お金がある時とない時の格差が激しいのが難点です(笑)。

ここには書いていませんが、企画書を作成したり、制作するための進行表づくり、本を一冊まるごとで請け負った時に発生するディレクター業務などもありますが、省きました。

■休日は何日あるの?

だいたいライターが書く本には、休みなく書きまくっていたというようなお話が大半です。365日フル稼働。でも私は、基本的に土日はお休み。一日の平均稼働時間も8時間以内。これが平常営業時のお話です。

じゃあ、繁忙期はどうなるか? ある年は、11月ぐらいから休みなく出ずっぱりで、年末は30日まで、お正月は2日から事務所に出て仕事をしていたこともあります。そのときの年収は……あんまり今と変わらなかったから、義理で引き受けた仕事や安い仕事を受け過ぎたんでしょう。

だから、だんだんと仕事を選ぶようになりました。一番は人で選ぶ。二番は内容で選ぶ。三番が金額です。それで、ワークライフバランスは整うように思いますね。

もしご参考になれば。


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