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一緒に死のうと言われた日


ある日学校から帰り、いつも通り
ドアに耳を当て、中の様子を伺ってると
中から、母の怒鳴り声と
当時3歳の弟の鳴き声が聞こえてきました。
私はどうしよう。と不安になり
その場、を逃げ出したくなりましたが
その日は、母の声も
弟の鳴き声も、いつもよりとても
激しい声でした。いつもより深刻な気がする
怖い、すごく怖いけど泣き叫ぶ弟の声
まだ3歳の弟、自分ではどうする事もできない
弟は、逃げるなんて考えや
身を守る、母の機嫌を伺うなんて無理
私が守らなきゃって
その日は勇気をだして
玄関のドアをあけました。
部屋に入って私は
いつも以上に荒れている母と
部屋の柱には輪っかのついた
3つのロープが垂れ下がり
そんな異様な空間に
更に恐怖を感じました。
帰ってきた私を見るなり母は、
ロープの元へ、私を引きづりだし
「ポコ、今日はね、これを用意したから
これから、おじいちゃんと
おばあちゃんに電話して
これからお母さんと弟と
ポコで一緒に死ぬから最後に
サヨナラを言いなさい」と、、
私は「やだ!死にたくない!弟も死なない!みんな死なないから、電話なんてしない」
と言ったものの、、、
母は、そんな事も聞き入れず
父の親であるおばあちゃんに
電話をかけはじめました。

「どうも〇〇です。私と娘と息子は
これから首を吊ります、
最後に娘から、サヨナラを
言わせるのでかわりますね」

とだけ言い私に受話器を渡されました
「もしもしおばあちゃん?
お母さんが3人で死のうねって言ってるの
天井に輪っかの着いた紐が3つぶらぶらしてる、死にたくないよ、助けて」
と。泣きながら言葉になっていたかも分からない声で必死に訴えました。
おばあちゃんは、
「大丈夫だよ!お母さんにかわりなさい
大丈夫だから!そんなに泣かないのすぐに助けを呼ぶから、お母さんにかわりなさい」
母に電話をかわりましたが
おばあちゃんと話てるお母さんは
どんどん怒りが増している感じでした。
私は、3歳の弟を抱きながら
「大丈夫だよ!頑張って静かにしてね!
怖いよね、でもね泣くとお母さんがね
もっと怖くなっちゃうし
私も泣きたいけど、声を出さないで
後は目が会わないように
お母さんを見ちゃいけないよ」
と、その時の自分なりに

弟を落ち着かせようと必死でした。
そして、すぐにでも、

この家から、お母さんから逃げなくちゃ
弟を守らなきゃ
そう考えて、弟を連れて逃げるために

どうするべきかを考え、
私の住んでたアパートは1階の部屋で
ベランダにはお隣さんと繋がった

小さな共有の庭みたいなのがあり
そこから裏道への門を開けると
道に出られるので、そこから逃げよう
と考えました。
とりあえず弟を、ベランダに出るための

窓の近くへ移動させ、
「大丈夫、ここで座っていよう、
じっとしててね」と

2人で座りながら、私は

逃げる隙を待っていました。

外はだいぶ暗くなり
お父さん早く帰ってきて!
いつになったら助けに来てくれるの?
と心でおもいながらずっと
おばあちゃんと母の電話の声をきいていました。
すると、母が立ち上がり
キッチンへと歩いて行ったので
逃げるなら今だ!と
恐怖で震える足でそっと立ち上がり
急ぎながら、でも静かに
ベランダへの扉をあけ、

弟に小さな声で
「行くよ!おいで!
お姉ちゃんが守ってあげる」
と弟を抱いて裸足のまま
必死に、走りました。
数秒後には後ろから
ポコー!!戻ってこい!
殺してやる!みんなで死ぬんだよ!
待ちなさい!!
と母の怒鳴り声が響いていました。
それでも家から少しでも離れるために
必死に走りました。
後ろを見ると、母も外へ出てきていました
もっともっと走らないと
追いつかれる、隠れなきゃ、
そのまま走り続けて
近くの公園の茂みに隠れて
息をきらしながらも
弟を抱きしめながら
大丈夫だよ、お父さんが
もうすぐ帰ってくるから
それまで我慢だよ!
大丈夫大丈夫と弟を励ましつつも
自分自身に言い聞かせていました。
母は公園にも探しにきました。
でも、すっかり夜の暗闇に包まれた公園で
茂みに隠れた私たちには
気付く事はありませんでした。
弟と私は恐怖で声を出す事も出来ずに
母がその場を去った後も
しばらく2人で抱き合っていました。

夜の公園の茂みに
当時幼かった私達は
2時間ほどそこで隠れていました

木の根にもたれ
泣き疲れた弟を膝に抱き
私はお姉ちゃんだから、
泣いちゃダメ、
私はお姉ちゃんだから、
弟を守らなきゃ
私が泣くと弟が不安になっちゃうから
安心させてあげたい。

でもこわいよ。
お父さんはいつ帰るの?
おばあちゃん、助けはいつ来るの?

そんなことを思いながら
また探しに来るかもしれない
母の気配に怯えながら
父が探しに来るまで
ずっと待っていました。


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