漢方薬・生薬認定薬剤師資格をもつことで得られたメリット
漢方薬・生薬認定薬剤師とは
薬剤師認定資格である「漢方薬・生薬認定薬剤師」は、専門業務分野においてあるレベル以上の能力と適性を持っていることを試問等により確認し、その能力を証明された薬剤師を指します。(出典:漢方薬・生薬認定薬剤師制度とは (jpec.or.jp))
私が「漢方薬・生薬認定薬剤師」認定を受けたのが4年ほど前。今回は調剤薬局の現場でどういうメリットがあったのかを解説します。
前置きしますが、漢方薬・生薬認定薬剤師に合格した段階での知識では、臨床に生かせるレベルには到達できません。合格するまでの過程で、漢方薬の歴史、薬局製剤、漢方薬の副作用、疾患別の漢方薬、漢方薬のいくつかのエビデンスについて知ることはできます。
自信をもって患者さんから健康相談・漢方相談を受けるには、八網弁証(陰陽、表裏、寒熱、虚実)、気血水・五臓六腑の関係等、独自で勉強する必要があります。
漢方薬・生薬認定薬剤師の認定を受けることのメリット
①初対面の印象が良い
唯一合格しただけで得られたメリットです。
私は患者さん向けの健康セミナーを毎月行っていました(現在休止中)ので、漢方の専門家としてアピールをすることで集客の役に立ちました。
②患者さんへの服薬指導が劇的に変わる
例えば、「六君子湯」は悪心・嘔吐、食欲不振でよく使われる漢方薬です。
西洋医学的に考えると、グレリン分泌促進作用、消化管運動亢進作用等で機能性ディスペプシア(FD)、逆流性食道炎(GERD)、がん化学療法時の悪心・嘔吐、食欲不振等によく使われます。
こういった西洋医学的知識があれば、六君子湯が処方されたことで患者さんがどのような症状で困っているのかを知ることができます。
服薬指導で話す内容としては「食欲が出る薬ですよ」「吐き気やむかつきを抑える薬ですよ」という内容でしょうか。
東洋医学的知識があれば、各生薬の効能や方剤の性質から患者さんがどのような状態であるか予測できるようになります。
六君子湯の構成生薬は8つ(四君子湯+二陳湯の合方)
人参、白朮、茯苓、甘草、生姜、大棗、半夏、陳皮
生薬成分から、すべての生薬が温める性質を持ち、気虚、気滞の改善と痰飲を取り去る漢方薬であることがわかります。
「脾気虚を改善し水はけを良くする漢方薬」が六君子湯です。
「胃は水分が多すぎると弱るんです。畑が沼みたいな状態なら穀物は育たないのと一緒です。水はけをよくする漢方薬なので、栄養を吸収できる元気な身体に戻りますよ~」
なんて話をしながら養生法のアドバイスもできますね。
「水分の摂りすぎに注意」
「よく噛んで食べないとダメ」
「コーヒーは冷やす物性性質を持っているので、アイスコーヒーは特にダメ」
等など。
効能効果一辺倒の説明ではなく、東洋医学的にどういう理由で調子が悪くなっているのかを説明しつつ、養生法のアドバイスができるようになります。
③自分の顧客ができる
昨日の出来事ですが、かかりつけ薬剤師に契約を結んでいる患者さんの紹介で「かかりつけ薬剤師」新規依頼がありました。
処方箋調剤における服薬指導の充実、漢方相談経験の結果と考えています。
商品(処方箋やOTC)の顧客だと、より安い・より便利なお店に流れます。自分の顧客となれば、多少高くてもリピートしていただけますから、処方箋獲得・OTC販売にも繋がります。
まとめ
「漢方薬・生薬認定薬剤師」合格後に感じたメリットは3つ。
①初対面の印象が良い(肩書きのメリット)
②患者さんへの服薬指導が劇的に変わる(東洋医学を勉強したメリット)
③自分の顧客ができる(東洋医学を勉強したメリット)
でした。
①②は結果的に③の項目につながりますね。
西洋医学の視点だけではなく、東洋医学の視点から物事を考えることができる。これが漢方薬・生薬認定薬剤師(漢方を勉強する薬剤師)のメリットです。
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