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4月23日~4月29日 つぶあん派×通信途絶

あと数秒で知の巨人達のラストバトルのゴングが鳴る。不思議なドキドキが止まらない。

戦いは3カ月前、P教授が発した一言から始まる。

「あのまんじゅう、実はつぶあんなんですよ。」

みなさんは「まんじゅうこわい」という落語のネタをご存じでしょうか?辰さんが巧妙にまんじゅうを仲間からだまし取るお話だ。そこに出てくる「まんじゅう」。そのあんこが”つぶあん”だと彼は断言してしまった。断言してしまったのがいけなかった。その教授の発言にあらゆる方面から非難の声が浴びせられる。反対派の代表者がT教授だ。T教授は

「絶対、こしあんだ!」

と強く主張した。ここに壮絶な「つぶあんこしあん論争」の火蓋が切って落とされる。プライドの塊である両者は頑として持論を曲げなかった。日本中さらには世界中のあらゆる文献をかき集め、彼らは持論の正しさを証明しようとした。時にはゼミ生を使い、相手のネットワークを通信途絶させるなど、泥臭い陰湿な妨害工作も行われた。

だが、決め手となる確たる証拠が両者見つからない。そこで、この話題をおもしろがった有名youtuber格闘家から”拳”で決着をつけようという提案がなされた。そして「Azuking down」の開催が決定した。

準備期間の1カ月間。彼らはペンを拳に変え、壮絶なトレーニングが繰り返され・・・

なかった。学者である彼らは、様々な流派の奥義書の読解に夢中になった。そして、腕立て伏せさえ1回もしないうちに当日を迎える。

「カーン」

青コーナーでP教授がマントラを唱え始めた。どうやらインド最強武術の秘奥義を繰り出そうとしているらしい。呪言により、相手を脳内から破壊する技だそうだ。かわって赤コーナーでは、息吹が繰り返されている。T教授はアラスカの山奥で修行僧が開眼した一子相伝の活殺術の秘奥義で対抗した。呼吸法で通常の攻撃力が10000倍になるらしい。

しかし、試合時間は1分。時が足りな過ぎた。最後は両者の猫パンチの応酬になり、カウンターでお互いダブルノックアウト。マットの上に飛び散った小豆色の鮮血が虚しい戦いの結末を物語っていた。

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