【詩】一生忘れない苦い記憶

高校を卒業してから、かなりの
年月が経過しているのに
覚えている嫌な記憶というのは
一生に近い、心の傷だと思う

高校はAからHクラスまである
大きな高校で、一クラスの中学校から
進学した自分は、雰囲気に馴染めずにいた
不思議なもので1、2ケ月もするとクラスに
中心人物が数名できるのが世の中だ
その中の一人は、自分の席の前だから
少しは話しをしていた。
そして、その人は頭が良かった
今でも忘れない
最初の国語のテストで、彼がクラスで1番
になった時はみんなの反応は当然のよ
うな感じだったけど、自分が2番と言われ
た時のみんなの、え~という声、
なんでおまえが?みたいな雰囲気
こっちこそ、俺のこと知らないのに
勝手に成績がいいわけないと
きめつけてほしくない

そんな立場だった

そして、それは突然のことだった

ある日曜日に、その彼から電話が
かかってきた
内容は覚えていないが、電話の向こう
で笑う声がしたのは、はっきり
覚えている
いたずら電話だ、僕はすぐそう思った
彼自身はそういうことをする人では
ないと思うので、そそのかされて
かけてきたのだろう
いずれにせよ断わらなかったのは
事実だ
彼は新聞部に所属していて、ストレート
に国立大に入り、卒業後は風の噂で
新聞記者になったらしいと聞いた
僕は私立大に入り、一度入った会社を
辞めて、別の会社に入った

運命とは本当に不思議なものだ
何年か後に、地方の居酒屋で
忘年会をしている時にばったり会った
そんなに、親しいわけではないので
少し挨拶をした程度だったが、本当に
驚いた
お互いの、故郷でもない、地方の都市で
会うなんて
いたずら電話の次は
運命のいたずらか

それからまた月日は流れて
今、彼はかなり新聞社で出世している
その新聞社の新聞を、僕は購読している

彼は、僕にいたずら電話をしたこと
など覚えていないだろう
だけど、された側は今も覚えているし
これからも苦い記憶として
それこそ、一生忘れないだろう

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