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ドラフト黙示録カイジ

石和「はいはい…!シールド2000ジェム…プレミアムドラフト
   10000ゴールド…!」

カイジ(バカがっ…)

   (欲に流れて……夢も追えないのか…!?自堕落な連中めっ……!)

   (ドラフト1回10000ゴールドだぞ)

   (つまり3000円だぞ…!外では1800円の物がここではその倍の値段)

   (早い話この40000ゴールドは40000円ではなく実質12000円くらい
    の価値しかなねえってことだ…)

   (なのに……)

   (あんな調子でいいやいいやで使ったらあっという間にこんな金消し
    飛ぶ)

   (貯められるわけがねぇ……!貯金なんて夢のまた夢…)

カイジ(わかってんのか…?貯めなきゃ……)

   (あの希望に届かない……!出られねぇんだぞ…!アリーナオープンに
    …!)

   (なのに…こいつらときたら…)

   (救えねぇっ……!クズがっ……!)

   (俺は違うっ…!俺は貯めるっ…!この一月2万のゴールドを2か月
    貯めれば…20000×2=40000…40000ゴールド…)

カイジ(あのアリーナオープンに届くっ…!届くんだっ…!)

   (となりゃぁ…誰が使うかっ…!)

   (使うかっ…!しかし……くそっ…!ざわめきやがるっ…!)

   (買えるっ…!俺は買えるっ…!シールドもパックもジャンプス
    タートも…)

   (初めて一月は空手でどうにもならなかったが…今のオレは持ってる
    んだからっ…!その気になりさえすれば…!)

   (ドラフトも…!………くそっ…!)

おもむろに近寄る大槻…

大槻「フフ…」

カイジ(えっ…)

大槻「アリーナオープンだろ…!考えることは一緒だ…!」

  「わしも最初はそうだった。となりゃあこんなところで使っちゃあいら
   れねえよな。気持ちはわかるよ」

  「けど…無理はいけねぇ…無理は続かない…」

  「自分を適度に許すことが長続きのコツさ…!スッ(1500ジェム)」

カイジ「はっ…?」

大槻「わたしのおごりだ」

  「カイジくんの初給料のおいわいさ、金はとらねぇよ……」

カイジ(班長……)

   (うっ…ううっ……)

   (ひっ…!キンキンに冷えてやがる…!)

   (ありがてぇ…)

カイジドラフトをプレイ中…

カイジ(涙が出るっ…!)

   「かぁ~~~~っ!」

   (犯罪的だっ……!面白すぎるっ…!)

   (労働のほてりと…部屋の熱気で…息苦しい体に…1か月ぶりのドラフ
    ト……!)

   (しみ込んできやがる…!体にっ…!)

   (くっ…!うわっ…!ぐっ…!溶けそうだっ…!)

   (本当にっ…!本当に…本当にやりかねないっ……!)

   (ドラフト1回のために…強盗だって…)

カイジ「はぁ~~~~」

沼川「さあっ…10000ゴールド…!10000ゴールド…!冷えてるよっ…!」

石和「ドラフト1回っ…10000ゴールド…!はいっはいっ…!」

カイジ(クソッ…!)

隣のプレイヤー(初手に《蜘蛛網の頭、アイゾーニ》をピック)

カイジ(アイゾーニ…ううっ…あんなものでドラフトができたら…)

   (ううっ…くそ…!)

   (いったい…何回やったらピックできるんだ…?アイゾーニ…)

カイジショップを覗く

カイジ(え…!クイックドラフト5000ゴールド…!?)

   (プレミアムドラフトと合わせたら15000ゴールド…!)

   (バカ野郎っ…!買えるわけねぇじゃねえか…!くそがっ…!)

   (くそっくそっくそっ…!足元見やがって…!)

   (しかし…本当は違うっ…!買えなくもないっ…!)

   (一ヶ月の給料が約20000ゴールド…つまり20000×2=40000…
    二ヶ月貯めればアリーナオープンの25000に届くんだが…)

   (てことは…つまり…つまり…)

   (つまり…40000-25000…15000ゴールドは余分…
    余るってことだ…!)

   (俺は今…二ヶ月で15000までは使えるんだ…!その気になれば…)

   (バカっ…!ダメだダメっ…!)

   (そういう考えが破滅を呼ぶんだ…二ヶ月で15000だぞ…)

   (こんなところで使えるかっ…!つかうのはよっぽど…特別な時…
    特別な日…!耐えろっ耐えるんだっ…!)

沼川「フー…」

石和「どっこいしょ…一段落ついたな…」

カイジショップにおそるおそる近づく

沼川「はいはいはいっ…!なに…?なんなの?カイジくんどうしたの?」

カイジ「…だけ」

沼川「は…?」

カイジ「1回…」

沼川「1回……!?」

  「1回ってそれ…ドラフトかい…?」

  「プレミアムドラフト1回って事かい…?」

カイジ頷く

石和「はいっ…!カイジくんドラフトお買い上げっ……!」

カイジ(1回は良い…考えてみれば1か月我慢した…今日は特別な日だ
    ……!)

沼川「はいどうぞっ冷えてるよっ…!」

カイジパックを開ける

沼川「で……ファーストピックは…?」

カイジ「は…?」

沼川「せっかくドラフトするんだよ…!コモンだらけの赤白ってんじゃ味気
   ないって…!」

  「つまもうよ…何でもいいからさ…!」

カイジ(…………)

   「じゃあ…そこの…《煌く機械ド》]

大槻「嘘をついちゃいけない……!」

カイジ「え…」

大槻「フフ…へただなぁカイジくん」

カイジ「はぁ…」

大槻「へたっぴさ…!」

  「欲望の解放させ方がへた…カイジくんが本当に欲しいのは…
   《ギルドパクト、ニヴ=ミゼット》こっち」

  「これを《神経質な庭師》でサポートしてさ…完璧なマナベースで5ター
   ン目に出してやりたい…!だろ…?」

カイジ(うっ…!)

大槻「フフ…だけど…それはあまりに博打だから…こっちの…しょっぱい
   《ひよっこ捜査員》でごまかそうって言うんだ…」

  「カイジくんだめなんだよ…!」

  「そういうのが実にダメ…!せっかくドラフトでスカってしようって時
   に…その妥協は痛ましすぎる…!」

  「そんなんでドラフトしても面白くないぞ…!」

カイジ「……」

大槻「嘘じゃない、かえってストレスがたまる…!」

  「ピックしなかった《ギルドパクト、ニヴ=ミゼット》がちらついて
   さ…全然スッキリしない…!」

  「心の毒は残ったままだ、自分へのご褒美の出し方としちゃ
   最低さ…!」

  「カイジくん…贅沢ってやつはさ…小出しはだめなんだ…!」

  「やる時はきっちりやった方がいい…!それでこそ次のドラフトの励み
   になるってもんださ…!」

  「違うかい…?」

カイジ(言われてみれば……確かにそうかも…)

   「じゃあ…」

沼川「はい《ギルドパクト、ニヴ=ミゼット》お買い上げっ…!」
 
  「1分お待ちください」

カイジ「実は《地震土竜、アンズラグ》も…」

沼川「はい《地震土竜、アンズラグ》お買い上げ…!」

  「となると赤緑のレアだけじゃ全然物足りないよね…!」

カイジ頷く

カイジ(おもしろっ…!さいこ~~~っ!ひぃ~ひぃ~~っ!)

   (いつもコモンだらけの赤白と緑白ばかりだったからな……)

   (《ギルドパクト、ニヴ=ミゼット》《地震土竜、アンズラグ》
    しみるしみる…!)

   (くぅ~っ…!で…《顔を繕う者、ラザーヴ》が…)

カイジ「かぁ~~~~っ…!」

大槻「ククク…」

沼川「バカ丸出しですね」

大槻「バカだからね…」

  「あんなもんよ…今の若いもんなんて皆…!」

  「ドラフトが終わったら…奴はとりあえず満足して…」

  「こう考えるんだろう…次から頑張ろう…次から節制だと…!」

  「が…その考えがまるでダメ…次から頑張ろうという発想からは…
   どんな芽も吹きはしない…!」

  「そのことにドラフト20回を越えてまだ…わからんのか…!?」

  「次から頑張るんじゃない…今回…今回だけ頑張るんだっ…!」

大槻「今回頑張ったもの…今回を頑張り始めたものにのみ…
   次が来るんだよ…!」

  「そういう意味で奴はもうダメ…!終わったよ…!」

大槻&沼川&石和「乾杯っ…!」

沼川「また一人確保ってことっすね…!」

大槻「ああ…ってことになるな…」

  「ここには…このドラフト以外に快楽などない…」

  「ゆえにその誘惑は強烈…!一度知ったらもう抗えない…!」

  「特に…初日から崩れるような奴にはな…!」

  「結局のところ…ちょっと一回ってのが大甘なのよ…!」

  「その一回がこのラダー底辺の…さらに底辺…底の底へ転がり落ちる
   最初の一歩…入口…!」

  「そうさ…結局のところ…ドラフトには狩る側と狩られる側…
   その2種類しかいないのだ…!」


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