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【週刊消費者情報】          機能性表示食品の安全性を見直すとき

小林製薬の紅麹サプリ被害に懸念が広がる

紅麹被害はどこまで広がるのでしょうか。いまだ原因成分が特定できない状況が消費者の不安を増長させています。ここにきて厚生労働省は同社に対し、食品衛生法に基づく廃棄命令措置を通知したようです。一方、消費者庁は届け出を受理している約6800の機能性表示食品すべてについて健康被害など、一斉点検する方針を打ち出しています。
現在、同サプリを摂取した2名の方が亡くなられましたが、さらなる被害が発生しないことを願わないわけにはいきません。今後の動向を注視したいと思います。

機能性表示食品の制度は2015年4月に導入されました。所管は消費者庁で、この間、今回のような健康被害が判明したことは初めてだといいます。

消費者団体から反対と懸念の声が上がっていた

機能性表示食品の制度導入から約10年。当時、食品安全を標榜する消費者団体からこの制度に対する懸念の声が上がっていました。
食品安全・監視市民委員会代表で弁護士の神山美智子さんは、『消費者情報』(455号:2014年10月発行)のインタビューでこう語っています。
すこし長文になりますが、紹介いたします。

「健康食品の機能性表示の導入は規制改革会議がスタートです。同会議の議長は成長戦略会議の委員であり、記者会見で『これはアベノミクスの第3の矢です』だと言っています。成長戦略の一つとして、健康食品を3兆円産業に押し上げるための売り込みが狙いです。しかも規制改革会議の専門委員会では、セルフメディケーションとか言っている。例えば、特定保健用食品(以下、トクホ)で『血圧が高めの方に』という宣伝がありますよね。それを飲んでいた人が高血圧を防げて、血圧降下剤の薬代が減ったり、血圧関係の医療費が減ったりして、そうしたセルフメディケーションで医療費削減につながったデータでもあるのならまだしも、トクホですらないわけです。健康食品でセルフメディケーションなんてあり得ません。問題はもう一つあります。規制改革会議には消費者代表がいなくて、業界と一部の学者だけで構成されています。だから、消費者の意見はまったく反映されていません。規制改革会議が報告書を出した翌日に閣議決定(2013年6月)され、今年度中に実施されます。なんともはや、消費者の権利や保護など眼中にない制度です。」
 
このような経緯で導入された機能性表示食品でした。消費者の健康意識の高まりもあり、国内の市場規模は年々拡大傾向にあるようです。今回の食品事故をうけ、原因究明とともに機能性食品の安全性をしっかり検証していただきたいと願うばかりです。

                『消費者情報』Web版編集室 原田修身



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