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そういえばこんな世界だったっけ

ああ、これが地平線っていうのか、
と息をするのを忘れてしまっていた。
それほど忘れられない
綺麗な夜だった。

「ねぇ、明日海の方まで散歩してみない?笑」
「悪くないな、行ってみようか。笑」

冗談と面白さが競り合って

面白さが圧勝。
歩くには面倒な距離だけど
たまには歩いてみるのもいいか、って

「暑いよ。電車乗らない?」
「えーここまできたのに乗るの?」
「わかるの。乗るのやめよ」

こんなやりとり、海に着くまでに五回はした。

なんだかんだ文句を投げ合いながら
着いた頃にはもう17時半。
夕日が1番綺麗に見える時間帯だった。

「せっかくならさ、誰も居ない異世界みたいなところで2人でみようよ。」

また少し歩いてみよう

だって、ヘトヘトだったけど、冒険心には抗えないでしょ?

顔を上げると朝日のような夕日が顔を照りつけて
目が痛いくらいだった。
あまりにあっという間だった。

その後に見た景色は

音もなく、ただそこにあるだけの光と、
異世界のような地平線

ああ、私たちどうやってここまできたんだろう

ふとそう考えてしまうほど
とても美しい眺めだった。

「これ、もう一度見る時は死ぬ時なのかなぁ」
「そうかもね」
「その時1人だったら本当に迷い込んじゃいそうだな」
「光の道標、たくさん残ってるじゃん」
「ああ、ほんとだね」

これが私たちの住む世界だったね
こんなにも綺麗で胸が苦しくなる世界に
私たちは住んでいたんだね

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