眠るに限る
疲れていた。本当に疲れ切っていた。
あまりに疲れ過ぎて、会社から離れたくて転職活動に足を踏み入れてはみたものの、全くうまくいかず。
40を過ぎ、目立った功績もなくただひたすらに業務をこなすのみ。その生き方が悪いとは思ってもいないし、それなりに会社に貢献はできていると思う。
だが、転職市場では価値はなかったらしい。
次の一手はどうするか。とりあえず、資格をとることにした。同僚に、業務に沿った資格のあれこれを教えてもらい、勉強を始めた。
分厚いテキストとにらめっこしながら、問題を解く。ネットの講座を受ける日々。すると不思議なことに転職への意欲がなくなってきた。愛社精神や、今の会社で活躍したいという気持ちが湧いたわけではない。
なぜだろう。
家族ではなく、自分と向かい合う時間ができたから?仕事が楽しくなってきたから?
どちらもピンとこない。
お母さん最近眠るの早いよね。と子供と夫。
ああ、そうか。勉強で疲れて、転職のことも仕事のことも考えずにしっかり眠れているから。そもそもの原因の疲れが癒やされてきているからか。なるほどなるほど。
今の私には休息が、眠りが必要なんだということで、猫たちと共に惰眠を貪った。
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