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飯食わぬ女房

物語、小説、映画。ふっと思い出すものがある。

子供の頃に読んだ昔話で「飯食わぬ女房」という話があった。
「飯を食わぬ女を嫁にしたい」と言っている男がいた。男はケチなのだ。そんな女がいるものか。誰も相手にしないでいたが、本当に「飯を食わぬ女」が現れ、嫁にしてくれと言ってくる。男は大喜びでこの女を女房にする。確かに何も食べず、よく働くが、台所の米がどんどんなくなる。不審に思った男がこっそり見張っていると、なんと女は化け物だった……。

時々、この話を思い出す。自分が人に対して過大な要求をしていることに気づいた時も思い出すが、自分自身に無茶苦茶な要求がされていると感じるときに思い出すことが多い。職場で、家で、親戚の中で。

私は1人しかいない。飯も食べる。夜は寝る。なぜ全部できると思うのか。

「飯食わぬ女房」の中で、女房は男の留守中に大量の白飯を炊く。そして、髪をほどくと後頭部にぱっくりと口が開き、白飯を飲み込んでいく。
ほどほどに気分転換をしないと、私のどこかにもぱっくりと口が開きそうだ。


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