ゆめにっき原作の本当のストーリーの解説(ネタバレ注意)
【はじめに】
色々あって、「ゆめにっきのストーリーの意味」というものが(マジで本当に)ほぼ分かってしまったので、それの解説をここに載せておきます。
これを発見するに至った経緯や作者の思考プロセスなどを知りたい方は、小説版の方に書いてある考察集を読んで下さい。
(全部で15万文字くらいあるので、たぶん読むのは大変だと思います…)
『私が殺した、ゆめにっきの女の子』
ヒント集も用意しましたので、自力で謎解きをしたい方はこちらのページをご覧下さい。
マップ名は「5ch ゆめにっきスレ@ウィキ」の「ver.0.10マップ画像」から取っています。
『幼少期前半』
・白黒の世界A
ゆめにっきの始まりの場所。
西暦1990年くらいの、普通の現代日本の何処か。
まだ3歳くらいだった窓付きが、たこ風船に出会った場所。
当時まだ3歳くらいの窓付きは、一家の全員(モノ子、モノ江、モノクロUFO)と共に、普通に平和に歩道を歩いていた。
そして、おそらくトンネルのような閉所に差し掛かった。
そして、そのトンネルの中を歩いていた時に、飲酒運転のトラック(=たこ風船)が突然、歩道に突っ込んできた。
だから、本当に突然、意味も分からないまま一瞬で、目の前で家族全員が跳ね飛ばされて、直ぐ手前の壁とかに挟まれて、大破の爆発に巻き込まれて、グチャグチャに潰れ合って、四肢がバラバラになって、気が付けばそれぞれが苦悶の表情を浮かべながら死んでいた。
(ただし、モノ江だけは位置や状態的に死んだ所が見えなかった)
何が起きたのか当時の窓付きには全然分かっていなかったので、記憶が抽象的になっている。
それと同時に、最も強烈なトラウマ体験でもあるので、この時の窓付きの記憶には強いフィルターがかかっている。
(この世界に簡単に行けない事や、父親母親が生首UFOになってるのを窓付きが見れないようになってるのは、それが原因)
窓付きはこの時の記憶が強烈過ぎて、(本来なら暖かい記憶とかも沢山あるのだろうけど)思い出す事全てがバラバラ死体に繋がってしまい、家族に対してトラウマ以外の記憶を辿れない。
・目の部屋
お葬式会場。
この時期の窓付きはまだ3歳くらいなので、自分に何が起きたのか本当に何も分かっていない。
道路交通法とか飲酒運転とかそういう概念は何も分からないし、そもそもまず、死という概念すら分かってない。
子供が「生死」という概念を理解出来るようになるのは一般的に4~7歳くらいから。
だから当時の窓付き視点では、本当に、何が起きているのか何一つとして分かっていない。
・白黒の世界B
窓付きの3歳~5歳くらいまでの記憶が投影された世界。
死体さんと鳥人間の家。
死体さんが血の繋がった親戚。鳥人間はその妻。歯軋りはたぶん飼い犬。
2人はおそらくまだ新婚で、自分達の子供はまだいない。
窓付きは交通事故によって家族を全員失った。
そして、モノクロUFOの2人は既に割と高齢だったので、それより更に高齢なヨボヨボのおじいちゃんおばあちゃんではなくて、若い親戚の人(=死体さん)が窓付きを引き取る事になった。
なので窓付きは、何が起きたのかすら分からないまま、知らない人の家で暮らす事になった。
……ゆめにっきの世界は現実と同じルールの世界が舞台なので、親権とかそういう概念がある。
しかし、当時まだ3歳くらいの窓付き視点では、親権とか、後見人とか、おそらく目の部屋で行われたであろう親戚間の話し合いとか、そういう社会のあれこれは当然何も分かっていない。
なので窓付き視点では、何が起きたのかも分からないまま、謎の恐ろしい怪物に誘拐されてここに連れてこられたように見えている。
しかし、それらは実際には怪物ではない。
この世界の入り口の、黒かったり赤かったりする謎の恐ろしい怪物は、死体さん。
それは、本当は、トラウマに苦しむ窓付きを見守ってくれているだけの親切な親戚。
赤い状態の時が、窓付きと初対面の状態。
窓付き視点ではとてつもなく怖い。そして、大きな手で誘拐してきたように見えている。
黒い状態の時が、窓付きと出会っておそらく1年以上経った後の状態。
窓付き視点ではまだかなり怖いが、赤い時程ではない。本当はただただ心配そうに、窓付きを見守り続けてくれている。
入口から進んだ先にある、大きなスライムのようなドロドロは、本当にただの幻影。
交通事故で苦しんで死んだモノ子の幻影。
窓付きはそれを、ずっと、恐怖と絶望だけを抱きながら見上げている。
その奥に進んだ先は、おそらく、新居での窓付きの部屋。
歯軋りをしているように見える怪物は、たぶん、ただの可愛い大型犬。
本当は別に、怒っている訳でもないし、責めている訳でもない。
しかし、窓付き視点では、訳も分からないまま、一人だけ生き残ってしまった自分がこの世の全てに責められているように見えている。
頭から手が生えているのは、トラウマのせいでそう見えてしまうから。
顔が半分になっているお釈迦様は、ただの仏像。これも、トラウマのせいでそう見えてしまうだけ。
(つまり、この時期の窓付きに見えているものは殆ど全部がデタラメ。
白黒の世界Bは特に「現実的に考えてそこに何があるのか」だけを考えないといけない。
全てのゆめにっきファンが大前提として抱えている、「ゆめにっきは意味も脈絡もないただのホラーゲームである」という常識と先入観を、完全に捨てなければならない。
このマップの意味を理解するのが、メタ的にも心情的にも論理的にも滅茶苦茶難しい事が、この作品の考察難易度を爆増させていた)
この時期の窓付きは、実際には、「交通事故のトラウマのフラッシュバック」というものでずっと苦しんでいた。
なので、ここではずっとただ引きこもってた。
幼稚園とかにも行かなかったんだと思う。
仏壇は用意して貰えたが、全部がまだどうしようもないほどバラバラ死体で、犬も頭から手や足を生やしてお座りをしてくれるだけだった。
トラウマのフラッシュバックがモノクロUFO達と比べてモノ子だけやたらと鮮明なのは、仲が特別に良かったのもあるんだろうし、たぶん目の前でそれだけ苦しみながら死んでいったんだと思う。
(追記、自力で謎解きをしたい方へ)
ここまで読んで貰えたら何となく分かると思いますが、ゆめにっきには「答え」というものが本当は明確にあります。
100万人が20年くらい分からなかっただけで、「製作者の意図」「解釈の正解」「全てが一本の線で繋がっている、描かれているものの本当の意味」というものがはっきりと存在します。
つまり、ゆめにっきとは、謎解きゲームです。
自力で「ゆめにっきという謎解きゲーム」を楽しみたい方は、ここから先はこのnoteの記事ではなく、下記のヒント集だけをご覧ください。
『自力で謎解きをしたい方の為の、ゆめにっきヒント集』
普通にネタバレだけを見たい方は、引き続きこの記事を見ていって下さい。
・ブロックの世界
死体さんの家で引きこもってた時の心象風景。
背景にあるサタデーナイトフィーバーはモノ子ドンドコと同じもの。(=交通事故のトラウマのフラッシュバック)
それが少しずつ薄れていっている。
★ぼうしとマフラー★は外に出たい気持ち。
窓付きはこの世界でブロックを積み上げる事で、「バラバラに崩れた心の修繕作業」のようなものを行っていた。
家主である死体さんが出てこないのは、気を使ってくれてたんだと思う。
鳥人間もおそらく、この頃はまだ普通に気を使ってくれていたのだろう。
『幼少期後半』
・雪の世界
窓付きが白黒の世界B(=ブロックの世界)からようやく出れるようになり始めた頃の記憶。
窓付きは死体さんに誘拐されたと思っているので、死体さんは自宅待機。
変わりに鳥人間が窓付きを見守ってくれている。
この頃の鳥人間は、まだ窓付きを憎む理由が何もない。
だから、この頃の鳥人間は、ただただ普通に優しい「後見人のお母さん」だった。
・バラック集落
死体さんの家の外辺り。
ここの近くにある温泉部屋は、時系列的にかなり後の方の存在。
それがあるので、死体さんが死んだ後も、ここにはかなり長い間住んでいたと思われる。
・荒野
窓付きの幼い頃の心象風景。
何処にも温もりがなくて、とても寒い。
ここにあるエフェクトの★タオル★は、人の温もりが欲しい気持ち。つまり寂しさ。
窓付きはおそらく、ここにいるくねくね動くタオルのようなものを、生涯に渡って探し続けていた。
・鳥人間ピクニック
たぶん誰もが「窓付きが疎外されている」「あるいは虐められている」と感じる場所。
……しかし、真相は真逆。
窓付きは混ぜて貰えなかったんじゃなくて、混ざらなかっただけ。
本当は鳥人間は凄く混ざって欲しがってたけど、当時はまだモノ子がドンドコしてたから、窓付きは混ざろうと出来なかった。
鳥人間が何人もいるけど、これは鳥人間の友達とかそういうものではなく、全員が同一人物。
おそらく鳥人間は、何度も何度も、窓付きをこんな風に誘っている。
(実際にピクニックに誘ったのかはまで分からないが、)ずっと引きこもり続ける窓付きに対して、ごく普通に、後継人のお母さんとして、「早く外の世界に出てきて欲しい」と願っていた。
だからおそらく、「外の世界は楽しいよ」というような事をよく言っていた。
鳴り響いてるラジカセとかは、鳥人間の幸せを共有したい気持ちみたいなもの。
窓付きは、それがそこにある事が分かってはいるが、それでも、何度誘われても、まだこの段階ではサタデーナイトフィーバー(=交通事故のトラウマのフラッシュバック)が終わっていなくて、無理だった。
おそらく、鳥人間ピクニックが開かれる度に、窓付きの鳥人間に対する好感度は上がっていった。
しかし逆に、鳥人間ピクニックが失敗に終わる度に、鳥人間の窓付きに対する好感度は下がっていった。
窓付きは鳥人間に対して大きな親愛の情を抱き始めて、子供が母親に抱くような感情を抱き始めていった。
しかし逆に、鳥人間は窓付きに対して愛想を付かし始めて、窓付きを自分の娘だと思うような気持ちを失っていった。
……それが、この後のストーリーに繋がっていく事になる。
・空中庭園
ここも、死体さんが死ぬ前の記憶。
(色んな意味で)子供にはとても長かった階段を抜けて、何処までも綺麗な場所にたどり着く。
そしてその果てに、やっと綺麗な彼岸花に会えている。
広がっているこの世界は、本当はとても美しい。
モノクロUFOはもう殆ど見えない。
ただドンドコされているだけではない、モノ子達との本当の思い出が蘇るまで、きっと後もう少し。
『始まりの夜』
・道路沿いの森のループしている道路
家族3人で車に乗って森に出かけた時の記憶。
道路の周りに一杯ある奴は、周りを走っている車。。
普通に見れば、どうやっても、道路の周りにある何かは車には見えない。
子宮とかそういう全然関係ないものにしか見えない。頑張っても通行人くらいにしか見えない。
……しかし、窓付きという人間個人にとっては、これが車。
・樹海C
森の中で、おそらく3人はキャンプか何かをしようとしていた。
だから、陽が落ちた夜遅くの時間に、深い森の中に3人はいた。
そんな折。窓付きはふと喉が渇いたので、ジュースを飲みたがった。
死体さんは鳥人間をキャンプ地に残し、窓付きだけを車に乗せて、2人で自動販売機のある場所まで向かった。
そして、ジュースを買い終えて車に戻る時に、窓付きがふらふらと車道に飛び出した。
……たぶん、ジュースを落としたりとかそういう事をして、それをぼんやりと拾いに行こうとした。
そこに車が来て、死体さんが庇ってくれた。
……ゆめにっきを見た人はたぶんみんな「死体さんは窓付きの関係者ではない」と思うと思う。
筆者も当たり前のようにずっとそう思ってた。
だけどそれが、ゆめにっきの凄い所で、ききやま様のある意味最も狂ってる所なんだと思う。
死体さんは綺麗に死んでる。
まるでただの芸術品のように、珍しく人の形をしたカッコいいだけの男の人が横たわってる。
……窓付きは、モノ子ドンドコで明らかに苦しんでいた。
たぶんどんな人でも、「あれは相当なトラウマ体験だったのだろうな」という事だけは分かる。
だから、そういう事に深く傷つける人間が目の前で人が死ぬのをまた見たら、ましてやそれが大切な身内だったりなんてしたら、それがあんなに綺麗に見える事はあり得ない。
あり得ないと、普通は思う。
だから、みんなはこの場所に対しては、「散歩をしていたら道に転がっている死体でも見たんだろうな」というような事を自然と思う。
あるいは、もっと突き詰めた場合、「この死体の人はおそらく窓付きの友達か誰かを殺していて、だから、窓付きはこの人が死んでせいせいしたのだろうな」というような事すら考え始める。
間違っても、「窓付きの目の前で、窓付きの大切な人が、窓付きを庇って轢かれて死んだ」なんて事は思わない。
だけど、おそらく、実際はそうではない。
何故なら、窓付きは死体さんが死んで「本当に心から嬉しかった」
……それは、死体さんが嫌いだったとかそういう意味では全くない。(むしろ窓付きにとって死体さんは、それが人間の形に見える程に特別な人だった)
死体さんが死んだ瞬間、窓付きは一生苦しむくらいの罪悪感を抱えただろうけれど、おそらくそれ以上に、一生心が洗われるくらいの人の温もりに触れた。
死体さんはおそらく、命を賭してただの親戚の子供でしかない自分を助けてくれた。
それまではずっと、死体さんは窓付きにとって、ただの恐ろしいおばけだった。
けれど最後、その瞬間に、窓付きは死体さんがおばけではなかった事に気が付いた。
死体さんが死体になった瞬間。それは窓付きにとって、「おばけがおばけではなくなった」という瞬間だった。
……それはたぶん、ウボァと対になるような体験だったんだと思う。
窓付きはたぶん、まだ幼かった。
だからたぶん、死体さんがどれだけ凄い人かとかそう言う事も、まだ全然よく分からなかった。
だから、それで「ありがとうパパ……、これからは私は一生人間を信じて生きていくよ!」みたいなノリにはならなかった。
「また、なんかよくわかんないことがおきた」としかまだ思えなかった。
だけど子供心に、死体さんの美しさだけは分かった。
……たぶん死体さんは、自分の行動に何の後悔も抱かず、笑いながら満足そうに死んでいった。
だから窓付きには、そこにある赤クラゲ(=死というもの)が、本当はただおぞましいだけのものではなく、どうしようもなく美しいものでもある事が一生目に焼き浮いて離れなかった。
だから、「窓付きは交通事故のトラウマで苦しんでいて、そんな状態の時に、本当に大切な身内がまた目の前で車に轢かれて死んだ」のに
心というものでは、それをどうしようもなく暖かく、美しく感じていた。
……たぶん、ゆめにっきを作ったききやま様は、ただ変な絵が描けるから狂っている訳ではない。
「窓付きは死体さんに命を助けられ、それに心すら救われたから、その心象風景では、まるで他人事のようにあの死体がただただ美しく見えていた」
これが、本当はゆめにっきの世界の中で最も人の狂気というものが描かれている、ただ美しいだけのこのマップの答えなんだと思う。
・水たまりの世界
死体さんがひき逃げされた後の世界。
鳥人間のいるキャンプ場まで一人で歩いて戻っている。
何もない時間だが、窓付きにとって永遠にも感じたような時間。
果てしない闇への恐怖の中、それでも水溜まりに映る月に、この世界の美しさを感じ続けていた。
・森の世界
キャンプ場近くの世界。
おばけが取り付くのは罪悪感。
段々と冷静になり、自分がしてしまった事がたこ風船と本質的に同じである事に気付き始めてしまっている。
だから、本来の罪悪感などを抱き始めて、夢のような心地はもうなくなってしまっている。
そして、一度はもう殆ど忘れる事が出来ていたサタデーナイトフィーバーも、背景で再び色を取り戻してしまっている。
・顔絨毯広場
ただの、楽しいキャンプ地になる筈だった場所。
一連の出来事を鳥人間に報告した時に、窓付きが見た景色。
周囲に浮かんでいる大量の謎の鬼は、鳥人間の怒り。
窓付きはおそらく、この時、ぼんやりとこういう事を思っていた。
「自分は死体さんに命を救われた」
「だから、自分は死体さんの分まで幸せにならなければならない」
「もう、後ろを向いて、何かに怯え続けて生きるのはやめよう」
森の世界には、エフェクトの★かえる★がいる。
かえるは、「自然に帰りたい」という思い。
つまり、キャンプを楽しみたい気持ちとか、そういうもの。
……おそらく窓付きは、この時、普通に楽しいキャンプを再開しようとすらしていた。
それが、命を救われた自分の義務なのだという事を、子供心に何となく理解していたんだと思う。
……そして、そんな中で、鳥人間はおそらくこの時、ただこう思っている。
「何故、この子は悲しんでいないんだろう?」
「何故、モノ子達が死んだ時のように、途方もない程に苦しんでくれないのだろう?」
鳥人間は、死体さんを愛していた。
そして鳥人間は、何時までも懐いてくれない(ように見える)窓付きの事をもうそこまで可愛いとは思っていなかった。
だから鳥人間は、死体さんとの間に子供を作ったりして、自分の本当の子供とも一緒に、これからも幸せな人生を歩んでいきたかった。
だから、鳥人間は、窓付きに全てを奪われた。
鳥人間は、怒った。
殆ど言葉すら紡げない程に体を震わせながら、果てしない絶望中で、窓付きに怒った。
「ふざけるな」と、そのような事だけを言った。
……たぶんその時、窓付きは純粋に意味が分からなかった。
窓付きにとっては、このキャンプを例え泣きながらでも楽しむ事が、命を助けられてしまった自分の贖罪だった。
鳥人間は、意味が分からなくて発狂した。
……窓付きは、そんな鳥人間に、ただただ、びっくりした。
そして、窓付きはその場から慌てて逃げ出してしまった。
ここは暗い森の中で、だから、その場から逃げ出す事自体は、物理的には容易だった。
窓付きはぼんやりと、鳥人間が怒り狂っている事を感じていた。
しかし、その怒りがどれ程深いのかを、この時の窓付きはまだ把握していなかった。
鳥人間がどれだけ嘆き、苦しみ、悲しみ、狂ったのかを、この時の窓付きはまだ分からなかった。
だから、鳥人間が完全に壊れてしまうまで、謝りに行ったりとか、そういう事が出来なかった。
……おそらく、ここではそういう事があった。
なので、ここから、窓付きの本当の地獄が始まる。
・コンクリート廃墟
空中庭園の崩壊。
彼岸花は、もう見えない。
『現在、窓付きのお仕事関連』
・数字の世界
違法風俗。
窓付きは子供なのに、ここで無理やり働かさせられている。
現代だとどうやっても不可能かもしれないが、ゆめにっきは制作年月的に20年くらい前の日本(2004年くらい)がモデルなので、おそらく物凄く頑張れば可能。
「まだ5歳くらいの子供が、現代日本で、風俗で働く」
言葉にすればあまりにも荒唐無稽だが、それでもおそらく、本当は、可能。
想像するのが一番難しいけど、それでも一応想像すると、おそらくただの風俗じゃなくて自称会員制のデートクラブとかそういうタイプのお店。
窓付きに児童買春をさせる事が、全てを失った鳥人間が選んだ復讐の形。
・ギロチン部屋
窓付きが鳥人間達に逆らった場合に見る事になる世界。
ギロチン台は、窓付き自身の罪悪感。
そして★なまくび★は、窓付き自身のなりたい自分。
つまりエフェクトの★なまくび★とは、自罰心。罪悪感を抱えて生きたい気持ち。
鳥人間が何人もいるのは、そのくらい、窓付きにとって鳥人間の存在が大きいから。
色んなマップに鳥人間がいる理由と同じ。
それぞれが別人という訳ではない。
窓付きは、鳥人間に対して激しい罪悪感を抱いている。
なので、なまくびのまま生きる事を、他でもない窓付き自身が望んでしまっている。
窓付きは今でも、鳥人間ピクニックの事を覚え続けている。
雪の世界で、鳥人間が優しく見守ってくれていた事も、覚えている。
……だから、どれだけの仕打ちを受けても、窓付きは鳥人間の事を嫌いきれない。
そのくらい、窓付きという人間は本当は優しく、きちんとした理性というものがある。
だから、窓付きはここまで苦しんでいる。
・鳥人間ピクニックの、柵の向こう側
「窓付きはこの柵の向こう側に行く事が出来なかった」
たぶん、あのマップを見た人は、誰もがそう思う。
……しかし、本当は、窓付きはあの柵の向こう側にもいた。3人もいた。
鳥人間ピクニックの開催地に転がっていた、顔の書かれたブロックは、窓付きのなまくび。
窓付きは、本当の本当は、常に鳥人間ピクニックに参加している。
あの場所の中に、窓付きの心は囚われ続けている。
人間にとっての本当の地獄とは、砂嵐だけが吹き荒れるような場所の中にあるのではない。
……だから、窓付きの心は張り裂けている。
・「あ」の部屋
心の牢獄。
数字の世界で鳥人間を攻撃し、捕まった時に送られる場所。
「あ」を踏んだら、ああああああああああで世界が埋め尽くされる。
右の壁が苦しんで死んだモノ子の幻影で、左の壁が壊れてしまった鳥人間の狂気。
目の前にあるその2つに、四方を壁に囲まれたまま、一切の逃げ場もなく責められ続けている。
おそらく、もはや文字では形容出来ない程の、想像を絶する苦しみの場所。
・足跡通路
ここにいる大量の胎児のような何かは、全員、実際に窓付きが堕す事になった子供達。
座り込んでいる者達とその先の道で苦しめられている者達を、同じ個体として見るか別々の個体として見るかで、その数は変わる。
別々の個体として見た場合、合計10人いる事になるが、人間は早いと10歳くらいで初潮が来るので、物理的には、おそらく可能。
「窓付きには中絶経験がある」という考察までは、たぶん多くの人が辿り着ける。
そういう風にしか見えないものが沢山あり、だから、そこまでは誰でもそう思える。
けれど、みんなが、それは1度だと思う。
2度も、3度も、そんな事をしているというのは、全く想像の難易度が変わってくる。
だから、誰も答えに辿り着けない。
だから、そこにあるものの整合性が次第に取れなくなっていき、最後には考察を放棄してしまう。
「窓付きは、定期的に、中絶をしていた」
……これが、100万人くらいが20年くらい分からなかった、ゆめにっきの答え。
窓付きを苦しめるのが目的とは言え、普通の病院で堕ろしてたから、中絶期間のルールなどは毎回守ってた……とは流石に思いたい。
・温泉部屋
1人目の赤ちゃん。
緊迫した曲が流れているが、真っ暗で何があるのかは分からず、でんとうで照らさなければその正体は何も見えない。
窓付きにとって鳥人間にずっとさせられている事は、ただのよく分からない贖罪行為だった。
だから、窓付きはおそらく当時、もう5年以上風俗で延々と働かされてたのに、自分がさせられている事で子供が出来る事すら未だに知らなかった。
……たぶん、そういう天使のような無垢さを保ったままの子でいる事が、窓付きの嬢としての商品価値だったんだと思う。
・落書きの世界
妊婦としての感覚。
比喩とか、大人になる事への恐怖とか、心理学的なうんたらとかじゃなくて、ただただ窓付きが実際に感じているそのままのリアルな感覚。
じてんしゃには、現実では乗れなくなる。
この扉の中は、ここまでおぞましく描かれてしまっている。
しかしそれでも、窓付きは★ふとる★にも本当は憧れてもいた。
そして赤クラゲに会う為には、★ふとる★もきちんと捨ててくる必要があった。
……つまり、★ふとる★は子供を産みたいという願望。
エンディングでは赤クラゲ(=死)が2匹出てくる。
みんなはそれを、演出の画面レイアウト的な問題だと思う。
そんな部分に意味があるとは、何も思わない。
しかし、ゆめにっきという作品は、本当は全然、何となくの雰囲気ゲーではない。
描かれているものの1つ1つに、あり得ない程に、一々意味が込められている。
ゲーム本編中の窓付きは、妊娠している。
そして窓付きは、あのエンディングで、赤ちゃんを抱いて死んでいる。
・夢の中のベッドで眠った後に、稀に辿り着く下りの階段
朝。
今日の、この世の始まり。
周囲から伸びている手は、「窓付きに今日を生きて欲しい」というこの世界の想い。
後述する湖回廊にある自動販売機と同じようなもの。
窓付きのお仕事の相手も、別にそうじゃない人も、鳥人間も、セコムマサダ先生も、この手の中の一つ。
窓付きの赤ちゃん達が辿り着く事が出来なかった場所。
ただ眠ったままで終えられて、辿り着かなくてもよくなった場所。
……これが朝というものに全く見えない人達は、たぶん、全員がそこそこ恵まれている。
・デパート
現代日本をモデルにした世界の、おそらく高架下の、何処か。
窓付きが定期的に、中絶の為に訪れていた場所。
死体さんを亡くした後の鳥人間は、たぶんこの瞬間の為だけに生きている。(だから何もしてこないのに発狂だけしてる)
メニュータイプチェンジは、おそらく、抱える罪悪感の量の調整とかそういうもの。
何故か鳥人間がカウンターにいるが、それはたぶん、鳥人間がここで働いているみたいな意味ではなくて、窓付きからそう見えるというだけ。
エフェクトの★ねこ★は、猫を被る事。
可愛い子ぶる事。それによって、周囲から可愛がって貰う事。
……つまり、女としての振る舞いであり、女性としての願望のようなもの。
たぶん、窓付きという人間は、はっきりとした物心がつく前から、ずっと風俗で働いている。
なので、子供なのにねこになる事が出来るし、逆に、ねこにならない生き方を知らない。
だから、現実の窓付きはおそらく、ここでもねこになってみた事がある。
ねこになれば、大抵の人達は近寄ってきてくれる。
喜んでくれて、窓付きを可愛がってくれる。
しかし、ここでねこになった場合だけは、顔をしかめられる。
そして、泣いているような反応すらされる。
……たぶん、ここにいるふえの人だけは、何時もここに来る子がねこになる事に、あの世界で唯一泣いてくれたのだと思う。
・腹の中、湖回廊
この辺は、流石にもうよく分からない。
腹の中は、中絶手術の為に麻酔で眠らされる瞬間の心象風景?
湖回廊は、中絶手術を終えた後の感覚?
……堕胎に関係する何かではあるんだろうけど、ここはもう、窓付き以外誰にも理解出来ないものなのかもしれん。
窓付きはおそらく、人は生まれてくる事だけが幸せではないみたいな事は思ってしまってると思う。
だから、ふえの所は、おそらく中絶をする部屋なのに、狂った曲じゃなくてただただ夕暮れのような物悲しい曲が流れてる。
……だからこの辺りの場所は、どうしようもない程に悲しい場所だけど、その悲しさはもう心が張り裂けるようなものですらないのかもしれない。
『現在、窓付きの精神世界関連』
・目玉の世界
今でも続く、家族全員が事故死したトラウマのフラッシュバック。
しかしそれでも、ここにはエフェクトである★めだまうで★が落ちている。
★めだまうで★は、本当の家族の事を忘れたくない気持ち。
母性とか、父性とか、姉妹愛とか、そういう無性の愛情を求める気持ち。
……窓付きという人間は、そういう人にとって本来何よりも暖かい筈の感情が、常にこの目玉の世界のバラバラ死体と結びついてしまっている。
ここにあるグロテスクな生首は、両親(=モノクロUFO)の最後の瞬間の表情。
黒い方が母親で、白い方が父親。
白い方は、本当は、窓付きに向かって懸命に微笑んでいる。
自分の命が尽きる最後の瞬間に、愛する娘に向かって、最後の力を振り絞って何かを伝えようとしてくれている。
……窓付きにも、俺達にも、それはただ恐ろしい物にしか見えない。
しかしそれでも、本当は、そこにはちゃんとした意味がある。
本当に恐ろしい程に、この作品には一々、描かれているものの全部に意味がある。
「産まれてきてくれてありがとう」
たぶん、あの血涙を流している白い生首は、窓付きにそのような事を伝える為に微笑んでいる。
……ききやま様が筆者の想像する通りの人物なら、ききやま様はおそらくこれを、本当は感動して泣きながら描いていた。
後ろの絵とか死体じゃないニヤニヤしてる顔は鳥人間。
それが持っているものは、箒……と見せかけて、窓付きのなまくび。
口から吐いているものは、嘘。
悲しみに耐えられない鳥人間は、それを吐き続けざるを得ない。
だから、窓付きはこれに、「死体さんは贖罪を望んでいる」「お前の罪を忘れるな」的な事を日々言われ続けている。
だから窓付きは、何時まで経っても、この目玉の世界が忘れられない。
・盾民族の世界
心の盾というものがある場所。
様々なものを地面に埋めたりモザイクにしたりして、盾民族で取り囲んでる。
……つまり、「トラウマの封印」という事を窓付きはこの世界で行っている。
ここにFC世界へと繋がる道があるのは、FC世界が窓付きにとっての心のオアシスだから。
FC世界入口の周りにめっちゃモザイクがあるのは、この扉から、思い出せない温もりのようなものが溢れ出ているから。
たぶん、ここは本来、人間が誰でも心の中に持っている部屋。
そして、人間というものにとって、この世で生きていく上で一番必要な部屋。
背景のお猿さんは、その人にとっての認知の歪みたいなもの。
この背景のお猿さんが頑張ってくれてるから、みんな適当に自分を誤魔化して、今日という日を生きていられる。
この背景のお猿さんは、人間にとってどうしても必要な生き物で、決してただの悪者という訳ではない。(と筆者は常々思っている)
……しかし、このお猿さんが頑張り過ぎると、人というものは自分が誰なのか分からなくなってしまう。
だから、そういう不条理な性質を抱えているから、人というものは常に何かが矛盾している。
ある意味、この背景のお猿さんが、ゆめにっきの中での最も重要なキャラクター。
何故なら、このお猿さんが各々の心の中に住んでいるせいで、みんなはゆめにっきの答えが分からないから。
数字の世界が風俗であるとか、窓付きはゴム無しで児童売春をしているだとか、そういう嫌な事を「想像したくない」と自然と思ってしまうから。
……ゆめにっきという作品は、本当は、常にそういう風に作られていた。
人間が抱えている「認知の歪み」(=嫌な事を想像したくない気持ち)という概念そのものを、おそらくききやま様は、この世のおかしさのようなものを表現する為に、もはや執念すら感じる程に、終始あらゆる方法で描こうとしていた。
そして、ききやま様があまりにも「プレイヤーの心の中にある嫌な想像をしたくない気持ち」を引き出す天才過ぎて、20年間、この作品が「嫌な想像をしたがらないという人間の性質」みたいなものを描いている事そのものに誰も気付けていないだけだった。
・FC世界
ききやま様が何となくの遊び心で作った世界……では全くない場所。
本当にあり得ない程、物凄く、膨大な意味が込められている世界。
……しかし、あまりにも意味が込められすぎていて、概念的なものから説明しないとこの世界の説明は出来ない。
この世界の意味とかを知りたい方は、小説の方にある全10万文字くらいの考察集を(頑張って)読んでください。
『現在、その他の世界』
・壁画の世界
インターネット。
物理的な場所ではなくて、窓付きがパソコンの画面とかを通じて見ていた場所。
窓付きに心の安らぎを与え、窓付きを芸術に目覚めさせている場所。
……たぶん、窓付きの家にはリビングとかにパソコンが置いてある。
歩いている謎の大口は、口コミとか、そういうもの。
一概に悪いものではないのだが、その為に血だまりを作っていいのかまでは所説ある。
・下水道&地下世界
下水道のような場所。
のっぺらぼうになれて、端っこはゴミだから行き止まりで、炎上して、ウンコ扱いされる場所。
……ちなみに、ゆめにっきという作品が現実で最初に投稿された場所は2ちゃんねる。
つまり、ここは、2ちゃんねる。
「ゆめにっきは、現代日本を舞台にしている」
おそらく、みんなはこの言葉の意味が、分かっているが、何も分かっていなかった。
……言うまでもなく、窓付きには、ふわふわとした心の景色のようなものが見えている。
しかし、その心の景色には、現実で実際にモデルになっているものがある。
だから、どれだけ自分の常識と違うくても、自分の感覚と違うくても、窓付きが2chをやってるだなんて思いたくなくても、「現実的に考えたらそこに何があるのか」というものをきちんと考えないといけなかった。
ここが2ちゃんねるだという考察は、当然、一度も見た事がない。
……しかし、言われた後に見れば、分かると思う。
ここは、周りにあるもの全てが、間違いなく、2ちゃんねる。
そして、ここを進んだ先にセコムマサダ先生がいるという事は……オマエモナー。
・ネオンの世界
きらきらしてて、でも落ち着いてきて、そして最後は地獄に繋がってる場所。
まあ、窓付きならお薬もやってるよね……という感じの世界。
エフェクトの★ネオン★は、薬物中毒者としての願望。
このマップが段階的に地獄に繋がっている理由は、薬が切れるとそうなるから。
だから、つまり、ききやま様の描いている実際の窓付きは、ヤク中。
このマップのオブジェクトなどの意味は……、誰か考えて下さい。(ギブアップ)
『少し前の出来事』
・樹海A
デパートに通う事に耐えられなくなった窓付きが、鳥人間から逃げ出して辿り着いた場所。
街外れの何もない森の中とか、たぶんそういう感じの場所。
おそらく窓付きの境地にまで行くと、本当に森に帰ってかえるとして生きられたら、実はこの話は全て解決するのだと思う。
しかし、サバイバル知識なんて当然0なので、その道の先には赤クラゲ(=死)しかいない。
……だから、窓付きは現実ではおそらく、赤クラゲに少し触れてみつつも、結局はトボトボと家に帰るしかなかった。
・ブロック大空洞
赤クラゲに触れた時に飛ばされる場所。
本気で死にたくなった人が、まずたどり着く場所。
途方もない心の迷宮。
ここからの一連の道は、段階的に、窓付きの過去へと繋がっている。
・FC世界A
FC世界A入り口の場所は、顔絨毯広場と同じ場所。
鳥人間の所に辿り着いてから鳥人間に怒られるまでの僅かな間の、窓付きから見えていたキャンプ地。
死体さんのおかげで前を向けるようになって、やっと、窓付きの明日が始まる筈だった場所。
砕け散った、夢の跡。
このマップの入り口(荒野B)にある、笑っている顔のブロックは、窓付きが前を向く為に頑張って浮かべていた表情。
死体さんに心を救われた窓付きがほんの僅かの間だけ浮かべられた、「この世界の美しさを信じたい」という気持ちの顔。
窓付きが、一生をなまくびのままで過ごし続ける理由。
全てが壊れる程に、鳥人間を怒らせてしまった顔。
・白黒の世界C
「デパート→樹海A→赤クラゲに触れる→ブロック大空洞→荒野B→FC世界A→地下遺跡→でんとう使用」の手順でのみ来れる場所。
別に何のエフェクトもない場所だし、見所もないし、この部屋の先の白黒の世界A自体はブロックの世界から簡単に来れる。なのでおそらく、火星よりも来た人が少ない場所。
しかし、ゆめにっきの中で最も文字では形容出来ないようなデザインの部屋。
ゆめにっきという作品は、はっきり言ってまともではない。
しかし、だからこそ、ゆめにっきという作品にしかない何かがこの世界には描かれている。
たぶんそれは、言葉にすれば、センスとかそういうものになる。
だから、惹き付けられて、離れられない。
……少なくとも作者は、ゆめにっきを見終えてからもう15年以上も経っていたのに、あの世界の意味すら分かっていない状態で、ずっとあの作品の事が頭の片隅では忘れられなかった。
・樹海B
死の覚悟を持って本格的に家出をした時の記憶。
森に見つめられているのは、罪悪感。
窓付きは鳥人間に対して申し訳なさを感じていて、「自分は苦しまなければならない」とも感じている。なので、鳥人間の手から逃れる事に対して激しい罪悪感を抱いてしまう。
……しかしそれでも、幾ら窓付きでも、ずっとあのような仕打ちに耐えられる訳ではない。
・電車
そのまま、電車。
本当に、狂っている何かではなくて、俺達が知っている電車。
窓付きはきっと、途方もない憧れを抱きながら、これに乗り込んだ。
窓付きはあまりにも社会の事とかを何も知らないが、それでも勇気を出して、頑張って一人で乗ってみている。
そして、遠くまで行ってみている。
・樹海の沼
人間の社会。
遠い憧れの義務教育。
しかし、取返しが付かない所までバラバラに心が引き裂けてしまっている窓付きは、この輪の中に混じる事はもう出来ない。
猫を被ってみてもみんなの顔が分からなくなるだけで、世界はよりおばけになってしまう。
たぶんこの場所は、通学路の虐め現場か何か。
窓付きは、学校や人間社会というものに対して憧れを持っていた。
しかし、その憧れがここで、粉々に打ち砕かれてしまった。
……だから、窓付きは結局、何時もの地獄へと帰るしかなかった。
『ポニ子関連の場所』
・浅瀬&浅瀬の家
ゆめにっきの中で、一番、膨大な意味が込められている場所。
100万人くらいが20年くらい意味を考え続けたのに、何一つ答えが分からなかった場所。
ききやま様が作った究極のひっかけ問題。
窓付きが、最後の優しさのバトンを渡して貰えた場所。
この世の、醜さと美しさがあった場所。
……あまりにも概念的な場所なので、これを理解出来た思考プロセスとかそういうものまで含めて書いていかないと、この場所の意味を上手く説明する事は出来ない。
なのでとりあえず、答えの断片だけを画像と共に載せておく。
このシーンの意味を詳しく知りたい方は、(はじめにの部分にリンクを張っている)考察集の方を読んでください。
『心の深淵』
・地獄
鳥人間が見せ続けている世界。
赤ちゃんを何人作っても、決して「ふとる」になれなかった場所。
・暗闇の世界
真っ暗なのに、何処か癒されるような曲が流れている場所。
そして、暗闇の中に★ほうちょう★が落ちている場所。
……たぶんここは、殺意とか、そういうものがある場所。
懸命に付いてきてくれてる可愛いおばけは、死体さん。
首を振って、窓付きの心というものを繋ぎ止めてくれている。
……窓付きはおそらく、死体さんと殆ど会話すらした事がなかっただろうけれど、それでも、人として一番大切な事だけは心で教えて貰えたんだと思う。
たぶん、ずっとここにいたら、窓付きは最悪のおばけになった。
でも、窓付きは赤クラゲ(=自殺)を選んだ。
ここまでされてもまだ、ほうちょうを捨てて、赤クラゲを選んでくれた。
それもまた、ある意味では、ゆめにっきの世界が描いた愛おしい程の狂気だったのかもしれない。
・地獄の十字路
窓付きが窓付きを見ている場所。
たぶん、苦しみの果てにのみ辿り着く、罪悪感と自由への憧れの狭間のような場所。
人間とは一体何なのか。
この世界は本当はどんな形をしているのか。
自分は一体何者なのか。
……おそらくそのような事を、窓付きはここで考えている。
・電燈の世界
数字の世界から行ける、★でんとう★が落ちている場所。
たぶん、おしごとをしている時の窓付きの心象風景の一つ。
部屋の中に埋まっているものは、たぶん、赤クラゲ。
窓付きはたんすに篭りながら、ただ一人でこの場所に閉じこもり、そしてこの場所と向き合い続けている。
人間とは、この世界とは、自分とは、一体何なのか。
窓付きはきっと、その事を考える為の材料だけは、悲しい程に誰よりも持っていた。
・蝋燭の世界
トラウマとやんわり向かい合って、子供心に死の意味とかを考え始めている。
背景にある絵の人物は、おそらく、目玉の世界の背景の絵と同じ人物。
それが消えそうになって、慌てている。
尻尾の先に付いているものは、窓付きがエンディングの為に用意したもの。
鳥人間は、窓付きに一秒でも長く苦しんで欲しい。
なのでここで鳥人間と敵対すれば、神速鳥人間になって、ありえん速度で止めてくる。
……世の中というものからしたら、それは母としての義務とか、優しさとか、そういうものに見えるのかもしれない。
でも、本当はそんなものよりも、火星さんの方が強い。
『概念的なもの』
・火星
何となく意味深な雰囲気の場所……なんていうレベルでは全くない場所。
結論だけを言えば、「死が自分の救いである事に気が付く人間の思考プロセス」みたいなものが描かれている。
火星さんの正体とは
「何が自分の幸せなのか」
「それは何故そう思うのか」
「そしてその為に、自分という人間は何をするべきなのか」
みたいな概念。
……つまり、ある意味では、「心の迷宮の答え」みたいなもの。
ききやま先生なりの、「人間とは一体何なのか」みたいなものそのものが描かれている。
ゆめにっきの全てのストーリーを把握しないと意味が理解出来ない場所。
ここも、notoeではあまりにも何も説明出来ないので、意味を知りたい方は、考察集の方を読んでください。
・湖回廊にある自動販売機
ゆめにっきという作品のテーマの一つである、「資本主義社会に対する社会風刺」というものが描かれている。
それによって「家族愛への憧れと資本主義社会への憎しみの狭間から、母性を持て余したまま反出生主義に目覚めている」という、窓付きという人間の抱えている苦しみの形が描かれている。
……あまりにも概念的なものなので、これも、考察集の方を見て下さい。
・NASUの意味
NASU=鳥人間
落ちてくるナス=(死が救いである)窓付き
ファミリィゲーム=ファミリィ(家族の)ゲーム。ファミコンのパロディという意味ではない。
NASUしか選択肢がない理由=鳥人間と窓付きの関係性。
落ちてくるナスをジャンプでGETする理由=鳥人間は窓付きに1秒でも長く苦しんで欲しいから。
操作説明が赤文字な理由=窓付きが、どうか何もしないで欲しいから。
落ちてくるものが茄子な理由=苦いから。本当は鳥人間も、この意味も終わりもない復讐に苦しんでいるから。
食べられたナス=蝋燭の世界で神速鳥人間に捕まった窓付き
地面に落ちたナス=鳥人間から見たエンディングに辿り着けた窓付き
ゲームオーバー=窓付きの死によって、大切なものを失った変わりにこの意味のないゲームを終える事が出来た鳥人間
……このミニゲームにも更に色んな意味が込められているのだけど、それも概念的なものなせいで単体での説明が難しいので、興味のある人は考察集の方を読んでください。
・エフェクトとエンディングの意味
エフェクトとは、煩悩のようなもの。
「人間の欲望の形」というものを、ごっこ遊びで例えたような概念。
例えば、★でんとう★は「暗闇を照らしたい気持ち=勇気」を表している。
これは、ききやま様が考えた、人間の本質のような概念。
人間の力の源でもあり、根源的な苦しみの源でもあるもの。
エフェクトをくれるものは「初心」という概念を表している。
エフェクトを捨てるという行為は、「煩悩を捨てる」という行為。
つまり、解脱。
エフェクトの数は、窓付きが人生で抱いた煩悩の数。
エフェクトを全部捨てた状態は、全ての解脱が完了した状態。
つまり、ゆめにっきのエンディングの意味は、「窓付きが涅槃に辿り付いた」という事。
★かさ★は、「死の美しさを感じたい」という気持ち。
ゆめにっきという作品は、「死の恐ろしさと美しさ」というものが描かれている。
つまり、ききやま様がゆめにっきのエンディングによって描きたかったテーマとは、メメント・モリのようなもの。
死とは何か。
生とは何か。
人は一体何の為に生きているのか。
おそらく、そういう感じの事を考えさせられる事そのものが、ゆめにっきという作品の解釈の正解。
・★めかくし★
ゲーム内未実装エフェクト。
「RPGツクール2003でゆめにっきのゲームデータを開く事によるデータ解析」という作業を行った際にのみ存在が確認出来る(らしい)。
窓付きという人間はこれを持っていないので、(ききやま様的には物凄く描きたかっただろうが、)ゲーム本編には実装されていない。
本当は、ゆめにっきという作品を理解する上で最も重要な概念。
これの意味が分からなければ、たぶんストーリーの解説とかをどれだけ聞いても、このゲームの作者が何を言いたいのかはよく分からない。
……どういう意味か知りたい人は、考察集の方を読んで下さい。
・夢の意味
座り込み眠るのは、「瞑想」という概念の比喩。
歩くのは、「考える」という概念の比喩。
何処にも辿り着かないのは、(悩みによる)「迷い」という概念の比喩。
扉は、(脳科学的に解釈すると)シナプス。
扉を開けるという行為は、(脳科学的に解釈すると)シナプス結合。
正しい道筋は、「正解」という概念の比喩。
壁にぶつかるのは、「不正解」という概念の比喩。
道筋を覚えるのは、「学習」という概念の比喩。
ゴールは、「答え」という概念の比喩。
マップは、「心象風景」という概念の比喩。
曲は、「気分」という概念の比喩。
FC小屋は、3歳までの窓付きがいた世界。
「悩みのない心」という概念。
FC小屋の曲の意味は……、流石に、筆者にも言語化は出来ない。
・カリンバの意味
映像はゲーム内でテレビを付ければ見られるもの。
曲は、(製作者のききやま様が音楽コミュニティーサイトで投稿していた)このシーンの曲のフルバージョン。
歩いている人達は、「現代人」という概念。
描かれているものは、「世の中」という概念。
ゆめにっきという作品は、実は、ただ夢を描いているだけではない。
そして、ただ窓付きの人生などだけを描いている訳でもない。
……本当は、この作品には、かなり強烈な社会風刺のようなものも節々に込められている。
そしておそらくこのシーンこそが、そんなゆめにっきという作品の中での最大の社会風刺。
窓付きは狂っていないので、この世界がこんな風に見えている。
そして人間は全員狂っているので、例え100万人がこのシーンを見ても、それが自分の絵である事が誰も分からない。
……どういう意味なのかは、考察集の方を読んでください。
・なまくびPK
人間は時々、生きていて申し訳ない気持ちになる事がある。
そういう人は、精神が病んでしまっていると言われている。
しかし、そういう人は逆に、とことん生きていて申し訳ない気持ちになったりして、暗い気持ちになった方が精神が楽になるとも言われている。
ゆめにっきは当初、メンヘラの変な人が作ったゲームだと思われていた。
2chのゆめにっきスレの初期などは、普通に、作者の精神状態を心配する声が一杯あった。
しかし、このゲームが有名になるにつれて次第に、あまりの出来の凄まじさによって製作者に対する神格化が起こっていき、「ききやま様をメンヘラ扱いするのは失礼」というような感じのノリが生まれて行った。
このゲームの製作者が、当時何を考えていたのかは分からない。
……しかし、おそらく、このゲームに触れて頭がおかしくなりそうになるのは、普通の感性ではあるとは思われる。
・デパート屋上
ゆめにっきという作品は、はっきり言ってまともではない。
ゆめにっきという作品には、本当は、窓付きの悲惨過ぎる境遇とか、そんな窓付きの心の悲鳴とか、それによって間接的に描かれている強烈な社会風刺とか、そんな感じの脳が理解を拒むようなものが大量に描かれている。
しかし、たぶん、ゆめにっきという作品は別に人を嫌な気持ちにする為に作られている訳ではない。
そして、おそらくだから、このゲームの制作者であるききやま様は、ゆめにっきの意味について何も語らない。
ゆめにっきという作品にはおそらく、本当の本当は、心が弱い人を応援するようなメッセージが込められている。
……だからこそ、描かれているものの意味なんて誰も分からなくても、あの作品にはあそこまで人を惹き付ける何かがあったのだと思う。
『おわりに』
あのゲームの意味をnoteで説明するのは、筆者にはこれが限界です……。
あとは(はじめにの部分に掲載した)考察集を読んだり、筆者の他記事を読んだり、自分で考察をしてみたり、各々で色々ゆめにっきという作品を楽しんで下さい。
ここまで見て下さってありがとうございました。
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