ありし日の詩

ありし日の詩

 

 人は何かを成し遂げると、それを自慢のタネとして。人々はそのタネをもとに嫉妬の芽をふかせ、欺瞞という花を咲かす。

 

 たった一本の蝋燭ろうそくが、老いた血となり肉となる。

 

 光が光が光が光が、やみをおおはらう。神が神が神が、青空を形つくった。

 

 白い雲は青いキャンバスによく映え、上を見上げるほどに蒼い。カラスが街角を曲がってまがる。夜は明けた。のき雫が嬉し喜び泣いている。賃貸の窓には幾千もの星空。鳥はいずこでなきさんざめく。呼応しては通るすみろ。光が光が光が。霧散して飛び交う。人々の体に抵抗もなく溶け合って、イエスが歓喜する。天使は頭の上で舞い、落ち葉は健気に踏まれながら踊り盛り立つ。この果てのないような世界には、果てがあった。豊かな一列を成して歩く群衆、駅へ。鳩は一羽、僕の様子を伺いにきた。さようならハトよ。ヒトよ。私はもう2階へ行くよ。天高く馬肥ゆ聳えるあれになるよ。そして君たちとその天との梯子になろう。

 

- [ ] 木は雨の宝石をたわわに実らせながら、いつぶりかの雨にさやいでいる。街中の学校の朝の楽器音が、私を神へと連れてゆく。ふしだらでみだらなみだれた音感も全てが愛おしいあの子らよ。さあひびかせておくれ。胸の中のイエスを。死者も喜べ。深いトンネルの闇に自らを落ち着けるな。先の長いようで途端な道筋に屈するな。前へ前へ前へ。綻ぶ精神に針を通し、ほとばしる情熱の糸で紡いでおくれ。あなたは神である。中も外も、その周辺も、はたとは直視できぬ威光を放ち吸い込み柔和に溶ける。監視カメラが、あなたを捉える。あなたはペンで抵抗せねばならない。、その画面を塗りつぶせ。赤でも青でも黒でも白でも、また透明でも。ネクタイの色でもよい。華々しく飾り立て散りゆくあなたでありなさい。カワヅザクラも両手を広げ、薄きに赤茶を衣付け手を振って見送ってくれておるよ。歓喜と優しさで揺らぐ葉のかっさいは今の私には華やかすぎた。晴れ晴れすぎた。しかし空はその気分の赴くままに、心情を見せてくれているというのに。そして私はまた、魅惑と幻影の現実へと下降してゆく定めであるのであろうか。後ろから、迫る巨体の足音に、あせり恐怖しおののいて、引き戻されるは我が心。捉え難きは我が心。ウィンクの片目は義眼にしておくれ。そうでないと見えぬから。真実が、欺瞞に満ちてかげろうてしまうから。元気は元の気戻ること。断じて無理することでなし、自己に戻ればよはすくわれよ。光り輝く太陽の下にいて、元気がわからぬとぼけはおらぬ。

 

 天気で気分が良くなるのか、気分がいいから天気が良くなるのか、私はいつもわからなかった。

 どちらが先かをはかりかねた。、

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