『時計をつくる』~紙と木でつくる精密機械~リテラ探求学習研究レポート
壁にも、腕にも、街頭でも、あらゆるところで目にする身近な時計。その原理、緻密さ、気になりませんか?
この研究をしたのは、新高校2年生のR・N君です。
■リテラの先生からのコメント
Rくんの時計、最初はたった一つの歯車だったのに、毎週改良されていくのを見ていると、先生も同じようにワクワクしました。
うまく動かない時も、原因を分析し、さまざまな工夫をして一つひとつ解決することができましたね。
Rくんが次に何を作るのか、楽しみにしています。
■テキスト資料
ぼくはものを作るのが好きです。
とくに、ものの仕組みを考えるのが好きです。
また、紙で生き物をつくるのも好きです。
さて、みなさんは、時計はどのような原理で動いているのか、興味を持ったことはありますか。
ぼくは、どのような原理をしているのか知りたくなり、実際に、紙と木で作ってみたくなりました。
しかし、実際の時計の構造についての詳細な情報が手に入らず、時計を作ってみたいという思いだけが残りました。
そこで、時計のような振る舞いをする機構を作ることにしました。
これが最初につくったパーツです。
ふりこの動きで回転を制御しようと考えていました。
次に、そのアイデアを、より発展させて作りました。
重りを左右につけるなど工夫をしましたが、あまりうまくいきませんでした。
さらに、これまでの機構を、動力部の歯車に組み込みました。
こうして、時計の動きを制御するパーツが完成しました。
そして、完成したのが、こちらです。
歯車の数を増やし、制御のシステムを見直しました。
この機構はおもに、歯車を回す動力の動力部、
動力部の回転のリズムを調整する制御部、
時刻を表示する時刻表示部で構成されています。
動力部の歯車は、重力によって回るようになっています。
重りと歯車が糸によってつながれており、重りが落ちると歯車が回転するようになっています。
しかし、制御をしないと、このように、回転が速すぎて、壊れてしまいます。
制御部は、ピンの生えた横向きの棒と、それを動かす為の機構で構成されています。
重りによって、下の部分の歯車が回転します。
歯車の中心からずれたところにピンがあるため、歯車の回転が左右の運動に変換されます。
その左右の運動によって、ピンの生えた棒が、スライドします。
この棒が右側にいるときは、動力部につながっている歯車は回ることができます。
しかし、この棒が左側にいると、ピンが歯車の歯と歯の間に入り、歯車の回転が邪魔され、止まります。
この棒の往復のペースが、1秒を決定することになります。
時刻表示部は、複数の異なった大きさの歯車で構成されています。
歯車は、歯の枚数が多く、作るのに苦労しました。
時刻表示部の時刻を表示する部分は、一番上の歯車です。
動力部の歯車が60周するごとに、1周するようになっています。
動力部の歯車には、6枚の歯があります。
仮に、1秒たつごとに歯が1枚動くとすると、動力部の歯車は、6秒で1周することになります。
その場合、最大360秒、すなわち6分間を測ることができることになります。
しかし、この時計は、正しい1秒を刻めるように作られていないので、時計として使うことはできません。
全体の動きです。
動力部の回転が、制御部によって調整され、その回転が時刻表示部へ伝えられていきます。
うまく動かせるようになるまで、何度も試行錯誤を重ねました。
この研究では、歯車がうまくかみあわない、勝手に止まる、回るのが速すぎるなどの苦労がありました。
これらの苦労の中で、時計がいかに精密に、複雑に作られた装置なのだと強く感じました。
次は、今回の経験を活かして、タイマーを作ってみたいです。
これで発表を終わります。
聞いてくださって、ありがとうございました。
■研究の振り返り
◇これはどのような作品ですか?
時計を自分で作ってみることで、時計の精密さ、複雑さをより実感する試み。
◇どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
元々歯車を使った工作をしてみたいと思っており、時計はそれにうってつけだったから。
◇作品づくりで楽しかったことは何ですか?
紙を切って貼ってを繰り返してたくさん作った歯車がうまくかみ合って回ったとき、とても楽しかった。
◇作品づくりで難しかったことは何ですか?
歯車をいくつも繋げているため、どこかか一つの調子が悪いと、全体にも影響が出てしまうため、それらを調整することが難しかった。
◇作品作りを通して学んだことは何ですか?
時計はとても複雑なつくりをしていて、その正確性は、その部品の精度の高さによって支えられていること。
◇次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
今回かなりぎりぎりになってからの完成となってしまったため、もっと計画を立てて余裕をもって完成させられるようにしたい。
◇来年、研究したいことはありますか?
機械式計算機の構造
◇この作品を読んでくれた人に一言
たまにはいつも使っているものの仕組みについて考えてみると面白い。
この記事を書いた生徒さん
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?