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just for funからonly oneに

 当院では年に1回スタッフ全員で経営方針発表会というものを行っています。そこでは、1年間の振り返りとともに、来年以降の方向性を私が発表し全員で方向性を確認します。

 皆で共有する方向性というのは、細かいオペレーションの話も行いますが、いちばん重要なのは、経営理念、ミッション、ビジョン、バリューとか、社是等様々な呼び方や会社によって様々な定義と表現方法がありますが、平たく言うと私達が大切にしている価値です。その価値を共有して一緒に仕事をしているとカルチャーが出来上がっていきます。

 私がいろいろなことにチャレンジする時、きっかけは、”楽しそうだな”という単純な感想からはじまります。楽しいからやる、続けるのも楽しいから続ける。という感覚です。

 クリニックでの診療も、運営自体も、楽しいからやる、楽しそうだから新しいことにチャレンジするという思いをもってすすめてきました。つまりクリニックの根幹には楽しいからやるという精神があります。

 突然ですが、”それがぼくには楽しかったから(原題Just for fun: the story of an accidental revolutionary)”という本をご存知でしょうか?オペレーティングシステムのLINUXを開発したリーナス・トーバルズ氏の本です。
 彼が開発した巨万の富を生んだかもしれないOSを無料で全世界に開放したために現代のデジタル社会が誕生したといっても過言ではないと思いますが、その根底には、単純に楽しかったからそうしたというシンプルな発想があります。

 この本が初めて発売されたとき私も若かったのですが、非常に共感して私の価値観にも大きな影響を与え、その記憶がずっと残っていました。つまり私もなにかを始めるときは楽しそうか否かということが判断基準になります。他人から見たら苦労が多く楽しくなさそうであっても私にとって楽しいと思えることであれば、始めることも厭わないしいつまでも続けることができます。

 こういったことから、当院のクリニックの経営方針は、”Just for fun”とし、経営方針発表会でもいつもこのことをスタッフと共有していました。

 もちろんこの精神は今でも私の中に息づいていますが、長年クリニック運営をおこなっていると、必ずしも楽しいことばかりではありません。どれだけ来院された方のためを思って説明や治療をおこなったとしても、うまくいかなかったとき、厳しいお叱りの言葉をいただいたとき、私やスタッフが傷つくようなことを言われたときなど、必ずしも楽しいことばかりではありません。他にも中小企業なのでスタッフ間の問題、スタッフとの衝突など細かい問題がないわけではありません。そしてスタッフも必ずしも楽しいから仕事をしているとは限りません。

 そこで、数年前に根幹となる経営方針について考え直しました。私達はただ単に楽しいからおこなっているのかと。

 私の出した答えとしては、”社会貢献を通じてオンリーワンのクリニックに”というものです。

 クリニックの開院当初はスタッフも少なく、医療機器も少なかったので小さく診療を行っていました。長く診療をおこなっていると様々な悩みを相談されることもあり、その方々の悩みを解決したいという思いから、ニーズに応じて適宜医療機器や診療の幅を増やしてきました。
 現在では一般皮膚科診療だけでなく、美容診療や巻き爪治療など多岐にわたる業務を行っています。詳細は別に投稿したいと考えていますが、おそらく小さなクリニックとしては比較的多くの医療機器を有していると思いますし、大学病院とも連携を強め、単にクリニックを運営しているだけでなく医学の発展にも貢献できていると自負しています。それぞれを細かくみていくと単体では収益があがっていないものや必ずしもクリニックの利益とはならないこともあるのですが、トータルで収益があがっていて、前向きに進むことができれば良しと考えて運営しています。

 この背景には先に投稿したように私のバックボーン(https://note.com/tender_lupine907/n/n3c9169593140) があるのかもしれませんが、常に地域の方々のために貢献できることは何かを考え、そのニーズに応えることこそが存在意義であるという考えが元になっています。つまり、事業を通じて社会課題を解決したいという考えです。

 このような思いを元に、他にはないオンリーワンのクリニックを目指したいと考え、最終的には”社会貢献を通じてオンリーワンのクリニックに”という経営方針になりました。

 この価値観に共感してもらっているスタッフとともに日々診療を行っています。


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