見出し画像

【最終回】葬送のフリーレン第27・28話【続編は!?】


はじめに

 Netflixで葬送のフリーレン第27話『人間の時代』第28話『また会ったときに恥ずかしいからね』鑑賞完了しました。今回でフリーレンのアニメは終わりなのかなぁ…という寂しさに包まれていますが、気を取り直して感想を記録したいと思います。

第27話のあらすじ

 前回、零落の王墓を攻略し、フリーレンやフェルンをはじめとする12名が一級魔法使い第二次試験に合格しました。第27話は、その第二次試験でバラバラに壊れてしまったフェルンを杖を巡って、フリーレンと喧嘩をしてしまった、とフェルンがシュタルクに嘆息するシーンから始まりました。

 喧嘩の争点は、杖を直しに行きたいと主張したフェルンに対し、 古い杖は捨てて新しい杖を買った方がいい、とフリーレンがアドバイスしたことでした。

恩人ハイターからもらった、子供の頃から使い続け、もはや体の一部になっている杖を捨てたほうがいいと言われたことに傷ついたフェルン

 シュタルクは、フリーレンは悪気があって言ったわけじゃないとフォローしましたが、捨てるという発想自体を持ち合わせていなかったフェルンにとって、その発言は許容ラインを超えてしまったようでした。
 フェルンの反応を見て、気持ちを汲み取ったフリーレンはリヒターの店を訪れて杖の修理を依頼しますが、あまりの状態にリヒターは「このバラバラの物体は何だ。まさか杖なのか?こんなゴミを寄越されても困る」と、難色を示しました。

フリーレン「ゴミじゃないよ…たぶん」

 フリーレンが「そう…できないならいいや…」と、店を後にしようとすると、その言葉を挑発と受け取ったリヒターは、渋々依頼を引き受けました。

リヒター「ゴミだなんて言って悪かった。手入れの行き届いたいい杖だ。さぞかし大事にされてたんだろう」
シュタルク「分かろうとするのが大事だと思うんだよ」

 フェルンが「フリーレン様は私のことをまるで分っていません」と批判したのに対し、シュタルクは分かっているかどうかより、理解しようと努力しているかどうかが重要だと意見を述べました。

宿に戻ると、フェルンのベッドの上には直された杖が
リヒター「フリーレンは、感情や感性に乏しい。それが原因で困難や行き違いが起こることもあるでしょう。でもひとつだけ、いいこともあります。その分だけ、きっとフリーレンはあなたのために思い悩んでくれる
フリーレンの布団を掛け直したフェルン

 翌日、フェルンがフリーレンに杖の件で謝意を述べようとすると、フリーレンは何事もなかったかのように振舞ったので、フェルンはこれ以上触れるのをやめました。
 第三次試験は、第二次試験の合格者が多すぎるという理由で大魔法使いゼーリエが直接面接して合否を決めることになりました。 

フリーレンの魔力制限に気づいたレルネンを褒めるゼーリエ

 ゼーリエが直感で合格者を決めることを知ったフリーレンは、自らの不合格を悟ります。
 しかしフリーレンは、ゼーリエの直感が常に正しく、間違ったことがないことも分かっていました。

ゼーリエ「一級魔法使いになった自分の姿がイメージできないだろう?魔法の世界では、イメージできないものは実現できない。基礎の基礎だ。帰れ」

 ゼーリエは、カンネ、エーデル、ラオフェン、シャルフ、エーレと、次々に不合格にしました。
 そして、フリーレンの番がやってきました。ゼーリエはフリーレンを合格させる気はありませんでしたが、一度だけチャンスをやると言って好きな魔法を尋ねました。

フリーレン「花畑を出す魔法」

 フリーレンの回答に対し、「実にくだらない」と評価を下すゼーリエ。フリーレンは特に抗議することもなく、結果を受け入れてその場を去ろうとしました。
 愚弄されたのに食い下がりすらしないフリーレンに「お前のような魔法使いが、魔王を倒したとは到底信じられん」とさらに追い打ちを掛けました。

 それに対し、フリーレンは「私ひとりの力じゃないよ。ヒンメル、アイゼン、ハイター、私。一人でも欠けていたら倒せなかった」と、答えました。

ゼーリエの「仲間に恵まれたか?運がよかったな」に微笑するフリーレン
ヒンメルになぜ自分を仲間にしたのかを尋ねるフリーレン
迷子になった子供のヒンメルに花畑を出す魔法を見せていたフリーレン
フリーレン「きっとこれはただの偶然に過ぎないことだけれど、ヒンメルたちと出会わせてくれたのは、先生が教えてくれたくだらない魔法だよ」
フェルン「私は、フリーレン様の弟子です」

 誰も見破れなかったゼーリエの魔力制限を看破したフェルンは合格し、ゼーリエに自分の弟子になるよう誘われますが、首を縦には振りませんでした。

第28話のあらすじ

 前回の続きから始まり、ゼーリエはデンケン、ユーベル、ラント、ヴィアベル、メトーデを合格にしました。受験生たちは、次の目的地に旅立つ前にフリーレンとその出会いに対し、それぞれの言い方で感謝の弁を述べました。

ヴィアベル「フリーレン、出会いは大切にしろよ」
アイゼン「ヒンメル、俺たちは一刻も早く魔王を倒さねばならん。こんな小さな人助けに何の意味がある?」
ヒンメル「確かに小さな人助けだ。きっとこんなことをしたって、世界は変わらない。でも僕は、目の前で困っている人たちを見捨てるつもりはないよ」
フリーレン「大丈夫だよ、ヒンメル。世界はちゃんと変わっている」

 ヴィアベルとの会話でヒンメルのことを思い出し、まるで対話するように空に語り掛けるフリーレンでした。

 ゼーリエに出禁にされたフリーレンは、一級魔法使いになったフェルンらの特権授与式には参加できず、シュタルクと一緒に外で待つことにしました。

フリーレン「この時代では、きっとフェルンのほうが有名な魔法使いになるんだろうね。嬉しいね」
フリーレン「歴史に名を残す必要なんてないよ」

 ゼーリエを未来で孤独にさせたくない、フリーレンを討ち取ってでも後世に名を残したいと述懐し攻撃してきたレルネンに対し、フリーレンは戦闘を拒否しました。
 それは、たとえ歴史に名を残さずとも、自分の足元にも及ばない実力にしか育たなかったとしても、弟子ひとりひとりの性格や好きな魔法は鮮明に覚えている、とゼーリエが発言したのを知っていたためでした。

ヒンメル「涙の別れなんて僕たちには似合わない。だって、また会ったときに恥ずかしいからね」
フリーレン「また会ったときに恥ずかしいからね」

 出会った人たちとあっさり別れることをフェルンとシュタルクに指摘されると、ヒンメルの言葉を援用してその理由を答えつつ、思わず微笑するフリーレンなのでした。

感想&総括

 エルフであるフリーレンの、人の心を知る旅路を描いた本作。魔王を倒したあとの冒険という異色のファンタジーで、人類に仇なす悪い敵を倒して世界を救うという通常の話とは扱ってるテーマが大きく異なりました。

 この作品は、人生で何かを成したのはいいけれど、その後特にやりたいこともやるべきこともなくなってどうする?というミッドエイジクライシスや、愛する仲間や家族を永遠に失った喪失感をどう克服していくか、を描いた傑作であると思っています。

 作中で、フリーレンは事あるごとにかつての仲間である勇者ヒンメルのことを思い出し、彼の言葉を引用するように使って、心を重ねて日々を生きています。
 亡くなった人と”共に生きていく”と言うのは、一般的には故人を忘れないことではありますが、本当の意味では故人が大切にしていた信念を引き継いで後世に繋いでいくことではないでしょうか。

 フリーレンが無意識にあのときヒンメルはああ言ってたな、こうしてたなと回想し、その価値観を守るように振舞う様子は、心の成熟の過程を見ているようで感動しました。
 フリーレンの旅の目的は生前必要以上に親しくなろうとしなかった勇者ヒンメルの魂との対話ですが、彼の死後30年経っても片時も忘れていないことから、その目的は半ば自己完結によって達成されているようなものでしょう。

 しかし今回で最終回となると、フリーレンの旅路がどこに辿り着くのか、どのように心が変化していくのか分からずに終わってしまうことになるので心残りです。
 フェルンが亡くなったときに、ヒンメルの死のときと比べてフリーレンは何を思うのか?を描いたときにこの作品は完成するような気がしています。

 今のところアニメの二期情報がないためとても残念に思っています。原作読めばいいのかもしれませんが、いつか続編が制作されることを心から期待しております。


この記事が参加している募集

アニメ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?