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【今期思想1位】火狩りの王2ndシーズン第5話まで観ました【神作】

作品の概略

 人類最終戦争が行われた後の世界。最終戦争前に使用された兵器・人体発火病原体によって、人間は近くで火が燃焼すると内部から発火して死亡してしまうようになりました。
 よって火が使えなくなった人間たちは、金属武器および銃火器の使用・製造が難しくなり、また燃料も使えないため航空機や船舶での移動・輸送もできなくなりました。

 この世界で人が安全に使用できる唯一の"火"(火の役割と代替可能なもの)は、森に棲む炎魔と呼ばれる危険な獣の体液から採取できます。
 炎魔から火を狩ることを生業とする者は”火狩り”と呼ばれ、火狩りは狩りの相棒として犬を連れています。

 主人公の一人である15歳の聡明な少年・煌四は、失踪した火狩りを父に持ち、首都で暮らしています。煌四は落獣という飛行する炎魔から採取された雷火と呼ばれる強力な火力を用いた武器開発を命じられますが、強い疑問を抱いています。

 またこの世界では、神族という長寿と異能を持つ特殊な存在が世界を統治し、人類に加護を与えています。人間のために炎魔を作ったのは神族です。
 しかし、神族が人類の庇護者として君臨しているかというとそういうわけでもありません。神族は蜘蛛と呼ばれる元神族たちと争っていて、その諍いに人間は巻き込まれています。
 
 物語は、最終戦争前に宇宙に打ち上げられ、永らく虚空を彷徨っていた人工の星、”揺火”が地球に帰ってくることから、その保有を巡る人間・神族・蜘蛛の三つ巴の戦いが焦点になります。 ”千年彗星”こと揺火を狩った火狩りは、火狩りの王となり、この状況から人々を救うことができるだろう、と云われてきました。

第5話の見所

 自分の作った兵器・雷撃砲で蜘蛛を大勢殺してしまい自分を責める煌四に対し、言葉を掛ける火十先生。

火十「煌四君。君が自分を責める、自分を許せないと思う気持ちは僕にもわかるつもりだけど、そのすべての責任が自分にあると考えるのは少し違うような気がする」

煌四「僕はこの恐ろしい装置を思いつき、何十いやそれ以上かもしれない蜘蛛を殺した…」

火十「でもそれは、君が悪人だから悪い心を持っていたからなのですか?」

煌四「僕は、町の人たちを神族と蜘蛛の争いから守ろうとして…」

火十「君の大切に思う人たちを救いたいと思った?」

煌四「だとしても、結果としてもっとひどいことを…」

火十「煌四君。人は正当な理由があって殺そうとしても、目の前の一人を殺すことができず、殺すまいと思っても100人1000人を殺してしまうことがありえます。それはその人が自分の心が善であると思うから善であり、悪であると思うから悪であるというだけです。本来、人の心の善悪などというものは、その人の想いを離れたところで決まるものなのです。何事も自分の思うままに振舞えると思うのが、それこそ思い上がりなのではないでしょうか」

感想

 今期のアニメの中で、思想的にはぶっちぎりでナンバーワンと思われる本作。内容的にコロナ禍以降の世界を表しているようにも思えます。一度観ただけだと論評できない程度に話が分かりにくいせいか、語っている人をあまり見かけないのが残念です。

 通常、ファンタジー作品というと勇者は勇者、魔法使いは魔法使いという形で役割と結末が決まっていますが、この作品は出てくる人間のキャラクターが一般人しかいないのが斬新です。
 普通の人たちが試行錯誤しながら懸命に生き、神族や蜘蛛といった異能の存在に立ち向かっていくのが新時代のアニメという印象を受けました。

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