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プロジェクトマネジメント≠プロジェクト管理

現在、「プロジェクトマネジメント」を「プロジェクト管理」と訳すことが一般的になっています。

「プロジェクトマネジメント」の考え方が日本に入ってきた時に、従来の縦割り式の組織構造において、プロジェクトマネージャーが管理職であることが一般的だったため、「マネージャー」は「管理者」に言い換えられ、それに合わせて「マネジメント」も「管理」と訳されるようになったと考えられます。

あえてタイトルを「プロジェクトマネジメント≠プロジェクト管理」としたのは、「管理」という言葉に引っ張られて正しく「プロジェクト管理」を理解していない人がみうけられるからです。

「管理」の辞書的な意味は「 ある規準などから外れないよう、全体を統制すること」です。こういった意味での管理を行う管理者の重要な役割は部下を統制し、基準から外れたりしないように部下の行動を制限することだともいえます。
この意味での管理という言葉により、「プロジェクト管理」を単に決められた予算や納期を守り仕様通りのシステムや製品を作ること、と捉えてしまい、そのためにはプロジェクトメンバーの統制・制限だけが必要だと考えてしまうプロジェクトマネージャーがでてきます。さらにこれをこじらせると「顧客・上層部の要求を、そのまま部下に押し付ける」イエスマン型、「俺がボスだ、俺の言う通りにしろ」のジャイアン型、「スケジュール遅延を許さず、何が何でも遅れを取り戻せ」のデスマーチ型などのマネジメントをしないプロジェクトマネージャーが出来上がります。

「マネジメント」は「組織に成果を上げさせるための機能」又は「うまくやりくりしてゴールを目指すこと」です。評価・分析・選択・改善・回避・統合・計画・調整・指揮・統制・組織化など様々な要素を含んでおり、問題解決の手段・手法でもあります。

「プロジェクトマネジメント(プロジェクト管理)」において、品質(Q)・予算(C)・納期(D)を守ることは基本であり重要ですが、それだけではありません。プロジェクトの目的や成果を達成するために、効果的で効率的なあらゆる手法や資源を用いて、最良の方法で活動することが求められています。ここで最も重視されているのは、成果を上げることです。

プロジェクトマネージャーは、メンバーの行動を統制・制限するのではなく、メンバーが効率的に業務を遂行できるようプロジェクト体制をしっかりと構築し確実に運用し、それぞれの能力を最大限に活用しながら、しかも計画的に同じ目的を目指し成果を上げることが重要な役割となります。

ということで、この辺で。この後は「プロジェクトの見える化」や「定量的プロジェクト管理」などについて書く予定です。



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