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AI外観検査の現場導入で学んだ実践知識とベストプラクティス Vol. 1 ~学習手法編~

”テクノロジーで製造現場をパワーアップする”

アダコテックでプロジェクトマネージャーをしている松本かずき です。

今回は、アダコテックの検査AIの特徴のひとつ、良品学習についてお話しします。この言葉、検査AIに少しでも興味がある方なら早い段階で耳にすると思います。この記事で一緒にその理解を深めていきましょう!

まず、簡単に「検査AI(外観検査AI)」ってどんなものかというと、製品の品質管理や欠陥検出に使われる技術です。工業用カメラで撮影した画像をAIに学習させることで、製品の状態をチェックする仕組みです。

検査AIを作るとき、まず必要になるのが「画像の収集」。この画像収集、ただ撮影して集めるだけと思いがちですが、実はAIの学習スタイルによって必要な枚数や画像の種類が変わってくるんです。簡単そうに見えて、実は結構奥が深いんですよ。
検査AIの学習スタイルには3つのタイプがあり、今回のテーマである良品学習を含めて、それぞれ説明していきますね。

検査AIの学習のスタイルと特徴

1. 良品学習型(One-Class Learning)
これは、良品(正常な製品)だけを使って学習させるスタイルです。良品の特徴を覚えて、それ以外のものが出てきたらNGと判定するという方法。製造現場では良品の画像が圧倒的に多いので、データを集めやすいのが強みです。ただし、製品のばらつきが大きい場合や、欠陥の細かい特定には不向きなこともあります。

2. 欠陥学習型(Defect Learning)
こちらは、不良品のデータを集めて学習させます。欠陥パターンを覚えさせることで、不良が発生した際に検出できるようになります。ただし、欠陥の種類が多かったり、レアな欠陥に対してはデータ収集が難しく、対応しきれないことも。また、未知の欠陥には対応できないという課題もあります。

3.  良品不良品学習型(Two-Class Leaning)
最後は、良品と不良品の両方を使って学習させるスタイル。両方のパターンを学習するので、より高い精度で判別できるのが強みです。ただし、良品と不良品の画像をある程度バランスよく集める必要があります。
また、ラベルミスをしてしまうと学習に悪影響が出るリスクがあるので、あらかじめ厳密な判定基準を設定しておく必要があります。

ちなみに、「ラベルミス」とは、良品の中に不良品が混じっていたり、判断が難しいグレーゾーンの画像が入ることを指します。このラベルミスへの対策をアダコテックでは進めていますが、それについては別の記事でお話ししますね

アダコテックAIの特徴

さて、アダコテックでは画像収集ハードルが低いことから良品学習を採用しています。しかも、独自の技術を使って 良品画像100枚 不良品画像10枚程度で有用な学習モデルを作り出せるんです。「あれ、良品学習なのに不良品画像も必要なの?」と思った方、ここにアダコテックの工夫が隠されています。

アダコテックの検査モデルの学習イメージ

通常、良品学習は「良品以外をNGとする」わけですが、「本当に細かい欠陥も見つけられるの?」と不安に思う方もいるかもしれません。実は、アダコテックの検査AIは、良品画像を使って特徴を学習する際に、欠陥の情報もベンチマークしてパラメータ最適化をしているんです。この手法が他の良品学習とは一味違うポイントなんですね。


たとえば、ストレートしか打つ練習をしていない野球選手(これがOne-Class Learningのイメージ)でも、相手ピッチャーの変化球が分かっていれば戦術が立てやすくなりますよね?

野球選手に例えてみました(筆者は野球はやらないので間違ってたらごめんなさい)

アダコテックAIのもうひとつの大きな強みは「学習時間が短い」こと。5Mほどの画像だと1モデルあたり20分くらいで学習が完了します。製造現場では、製品の歩留まりや品質を向上させるために頻繁に調整や再学習をすることが求められますが、1回の学習に何時間もかかっていたら、結果が出る頃にはお月様が出てしまいますよね。アダコテックのAIは学習が早いので、スピーディーに改善を進めることができるんです。

今回の話はここまでです。
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