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「月曜日の抹茶カフェ」

こんばんは、皆様今日も一日お疲れ様でした
今日は久々に朝から天気が荒れましたね、風が強く吹くと家がびゅうと鳴るので少し怖いです。
でも、少し落ち着いて雨の音が聞こえると、心がるんと跳ねた朝でした。
雨上がりの街は、梅雨のリゾートに似た匂いがしました

今日は、「月曜日の抹茶カフェ」という本についてお話ししようと思います。

本作は、短編小説のフリをした、「木曜日にはココアを」に続く長編小説で
表題作は「月曜日の抹茶カフェ」。

桜の木の下にそっと佇む「マーブル・カフェ」が定休日の、ある月曜日
京都から、老舗の菓子屋福居堂の若旦那がはるばるやってきて、暖簾を掛けました。
自分が京都から出ることも、店を継ぐことも、なんとなく宙吊りに生きてきた彼にとっては突然の災難
1日限定のイベント出店の、その月曜日
お客はほぼゼロのまま閉店時間が近づいてくる。
運命に振り回され、意もせず肩を落とす羽目になってしまったその時、「かいらしい」1人の女性がやってきます。

すっかり冷え込んだ冬の東京、オレンジ色の明かりに吸い込まれるようにマーブル・カフェに逃げ込もうとした矢先、「今日は定休日」の張り紙が。
「本当についてないな、今日は。」
すっかり元気を無くしてしまった彼女は、ケチャップで袖が汚れた、卸したて”だった”白いセーターを着て、首にぐるぐる巻いたよくある赤いマフラーに、顔を埋めます。
あまりの寒さに視界が歪ませながら立ち去ろうとすると
表札が 「マーブル」のブル の代わりに「っちゃ」、「マっちゃ」 に変わっていることに気が付きます
鼻を赤らめ、目を潤ませながら縋る思いで扉をくぐった先に、運命の出会いが待っているのです。

この小説は、前作から緩やかに、でも確かに続く「ご縁」をめぐる12ヶ月の物語。
「木曜日にはコーヒーを」で焦点が当てられたランジェリーショップの店主や、「ココアさん」は今回は支え役。
人生の岐路に立たされた一人一人が、「誰かと出会いという縁」を通して力強く踏み出していくまでが描かれていきます。

私は、葉月 京都 「抜け巻探し」 のタカハル君がすごく愛おしく感じます。
大学生になって、「素敵で、賢くて、豊かで、クレイジーな、生まれつき恵まれた同級生」の中に溶け込もうと、必死で彼らに「合わせてきた」彼。
でも、本当は超ニッチな作品、『イソギンチャク探偵』が大好きで、
いつもバケツを鞄がわりにした風変わりな同級生 実篤が同じ作者の本を読んでいるのを一眼見て、思わず話しかけてしまうほど
彼にとっては大好きな、周りから見ると「変な」ものを持っています。
初めての失恋の中で、本当の「好き」が突き動かす世界をありありと見て、
彼の世界はくるっと新しい角度で、心地よく回っていきます。

彼が何年も探し続けた、全三巻『イソギンチャク探偵』の二巻が待っていたのは
脱サラした店主が、利益度外視で(結果的に)細々と続ける古本屋でした
共働きの妻に頼った事実に、うっすらと感じ続ける罪悪感
唐突に180°変わった人生の第二章だったのですが、彼の「抜け巻」もタカハルくんとのご縁で、やっと見つけられることになるのです。


人生の中で巡り合う縁は、時に恨めしく、狂おしく愛おしい。
私もこれからも変わらず、大好きなあの人に誇れる自分でい続けることにします
そうすればきっと、また会えるから

奇跡のようなあの人との時間を思い出しながら、ぜひ読んでみてください
よろしければ、ココアと一緒に。


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