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お寿司屋さんで見た光景

私は旅行が好きで、旅行へ行くと運気が上がる。
たぶん、余計な事が頭に浮かばず旅行を楽しむ事しか考えないからではないだろうか。

日々、小さな事でいいから、楽しい事や嬉しい事、美味しいもの、腑に落ちた言葉、感動した場面や文章など新たな発見を求めがちである。
何も見つからないとがっかりしてしまう日もあるので、少し落ち着いたらいいのにと自分に言い聞かせている。
刺激に弱いくせに刺激を求めてしまう、ややこしいHSPの私である。


ここのところ悩みが多くて、GW前に予定してた旅行は気分が落ち込みキャンセルしてしまった。

このままでは気持ちが駄目だと思い、そこで、食べるのが目的の日帰りツアーを実行した。

目的の一つは沼津港でお寿司。

沼津港のお寿司は約15年ぶり。
当時は息子が食べ盛りだったので回転寿司だった。
今回は、回らないお寿司屋さんを目指して出発。

ネットで調べた評判の高い『双葉寿司』さんへ。

到着したのが5時前だったので、お客さんは1組だけ。
そのお客さんはカウンターに座っており、寿司職人さんとの会話の内容から他県から来たと思われる。
私は、カウンターでお寿司を注文するのが苦手なのでテーブル席へ。

メニューを見ているうちにテーブル席は満席になっていた。

そして、地魚入りのお寿司を注文。

地魚入りお寿司

脂や筋が苦手なので避けていた中トロを始めて食べた。
驚くほど美味しい〜。

そこへ、男性3人と女性1人のグループが入って来た。
地元の方達らしく、『カウンターに並ぶから』と、さっとカウンターに座った。
まず、ビールを注文し、『今日は何がおすすめ?』と聞きながら各自で握りを注文していく。
グループだから、賑やかになるかなぁと思いきや、皆淡々と握りを注文していく。
一言二言話すくらいで、ビールを飲みながら注文した握りを黙々と食べていく。

私は『美味しい〜』と言いながら、次はどの握りにしようか悩みながら食べていた。
それもまた楽しい。

すると、4人グループの1人が、『美味しかった!』と立ち上がった。

私は『えっ!もう食べたの?もう終わり?』と驚いた。

皆、美味しかったと寿司職人さんに伝えてさっと店を後にした。

入店から座って注文して食べて、とても満足して支払いをして、店を出るまで、無駄な動きがなかった。

江戸時代、お寿司は屋台で立ってさっと食べていたと聞いた事がある。

お寿司を摘むとは、こういうことか。

私が食べ終わった時、お客さんは誰もいなかった。
私の前にいた地元の方らしき老父婦もいなかった。

確かに、お寿司は新鮮なものだから、運ばれて来たらさっと食べるものだよな。

それにしても、グループでありながらも、それぞれが自立したあの無駄のない一連の動きに、私は深く感銘を受けた。

あ〜いい光景を見たなぁ。

わずか20分ほどのお寿司屋さんの光景が、伝統的で粋でとても頼もしく感じた。
大袈裟だけど、私は目が覚めたような気持ちになった。

目的の二つ目は静岡で本格的な日本茶を飲む。

5年程前に、静岡で日本茶カフェ巡りに凝った事がある。
その頃、更年期障害が辛かったので旅行へ行く気にならず、日帰りのカフェ巡りに走ったのだった。
その中で、気に入った日本茶カフェの一つである『きみくら』に久しぶりに行く事にした。

掛川にある本店は早く閉店してしまうので、静岡駅の店舗へ。

新茶あんみつ

新茶あんみつセットを注文。
セットの日本茶は、3種類から選べる。
店員さんがそれぞれの日本茶の特徴を丁寧に説明をしてくれた。
以前食べたあんみつではなかったが、新茶あんみつは新茶の蜜をかけるもので、とても美味しかった。
そして、急須で入れてくれた日本茶が、出汁のようなコクがあって美味しい。
家で飲む日本茶は、コクは出ないし苦味が勝ってしまう。

やっぱり、上手な人が入れてくれる日本茶は違う。

さすが、お茶どころ静岡だけある。


沼津港のお寿司、掛川の日本茶、その土地の美味しいものに触れて、その土地の方に美味しい食べ方を教えてもらって、とてもいい刺激をもらえた日帰り旅だった。

優しくて無駄のない的確な人の動きは、とても清々しい。

まだまだ悩むだろうけど、頭がスッキリした爽快なひとときを過ごせた。

やはり、旅に出た方が良さそうだ。

運気が上がるといいな。


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