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【短め読書感想文】『ヘヴン』は子どもの幻想なんか?

さっそく感想

川上未映子さんの『ヘヴン』を読んだよ。
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心が疲弊するほど面白かった。“僕”も“コジマ”も“百瀬”も狭い狭い箱庭の価値観でしかない。『ヘヴン』を見に行くだけ(美術館に行くだけ)なので、”僕”にとっては大冒険だったもんね。登場人物の中学生の思い悩むことは、最後にお母さんや医者によって一蹴される。意味があるとかないとか、やるかやらないとか、正しいか正しくないかとか。みんな極端なんだよ。「残るものは残るし、残らないものは残らない」「忘れたことすら忘れる」などの大人の発言で頷いちゃった。それでも、「斜視が僕たらしめていると言ってくれたことが支えになったか特別だったか」と言い切ってさ、三者三様の価値観を越えて“僕”は初めて世界を両眼で目の当たりにするんだね。
あの狭い極端な価値観の閉塞感は、どこか懐かしさを覚えた。

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