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昭和・平成・令和も…。多摩・稲城の特撮ロケ地さんぽ。

どうも。
クリスマスソングといえば槇原敬之の「北風」なKトレです。
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おかげさまで10月に投稿した生田緑地ばら苑の記事がそこそこ観ていただけたようです。ありがとうございました。
これを機に、今後も不定期にロケ地の話を発信出来ないかと考え、今回はごく個人的な「ロケ地のすゝめ」を改めて執筆しました。

遥か昭和の時代から今に至るまで、数多の特撮作品のロケ地となった多摩丘陵。中でも印象的な場所を、歩いて巡るというのが今回の趣旨です。鉄道会社がよくやっている駅ウォーキングみたいな感じでしょうか。
まあオススメというか、自分が色々と調べる中で偶々見つけてしまったルートを記録するみたいなモノなので色々とグレーかもですが、もしこの記事をキッカケにロケ地巡りを面白いと思っていただけたらそれはそれで幸いです。

【取材日:2023年11月30日】


① 昭和に耳をすませたくなるロケ地

多摩ニュータウンの中心は、「多摩センター駅」である。この駅周辺にもファンには馴染みのロケ地が沢山あるのだが、ここを回ってるとキリがないので今回のルートからは外れる。
今回のスタート地点は、新宿よりに一駅戻った「永山駅(小田急永山/京王永山)」である。

駅を出てまずはペデストリアンデッキを北方向に降りたところで右に曲がり、「多摩消防署前」交差点を直進。「諏訪越通り」に入る。この諏訪はニュータウン開発以前から続く地名だ。
しばらくアップダウンの多いこの道を直進し、通りの名前が「馬引沢北通り」となった少し先で、「聖ヶ丘一丁目」の信号を右折する。

すぐ先に見えるこの陸橋脇の階段を登り、団地の中を進んでいく。
正面に見えてくるのが「大谷戸公園」だ。
公園の芝生広場を突っ切り前方に小さな階段が見えてくる。ここからが「桜ヶ丘公園」である。

当然ですが履き慣れた運動靴推奨。

急な階段を5分ほど登っていくと途中で道が二手に分かれる。これを右側に進んで更に登り、開けた丘の先にあるのが第一の目的地、「旧多摩聖蹟記念館」である。

昔も今でも変わらない

この丘陵一帯はかつて皇室の所有地であり、特に明治天皇が好んで狩猟に訪れていた。この事から、天皇が度々訪れた場所という意味で「聖蹟(せいせき)」と名付けられ、それを伝える場所として記念館が昭和5(1930)年に建てられた。オタクにとっても馴染み深い「聖蹟桜ヶ丘」の地名は、一帯への観光客誘致をねらい京王電鉄が考案したものである。
そんな当施設は特に「仮面ライダー(1971年)」以降東映特撮では定番のロケ地となり、多くの作品で研究所や敵のアジトとして登場した。初代ライダーだけでも
第56話「アマゾンの毒蝶 ギリーラ」
第68話「死神博士 恐怖の正体‼︎」
第87話「ゲルショッカー 死の配達人‼︎」
など数度にわたり登場。
(ちなみに私の"X"のフォロワーは「スパイダーマン(1978年)」のロケ地として認識していた。記念館ロケの回が、かつてニコニコ動画で「ダーマ」のカルト的人気に火をつけた動画にも使われていたのだ。)

当然、登ってはいけません

ロケ地としての使用はだいたい「宇宙刑事シャリバン(1983年)」が最後期のようで、記念館の管理者が多摩市に移行した時期と概ね一致する。恐らく文化財として保護の必要が生じたため撮影が出来なくなったのだろうが、それがかえって往時と変わらない雰囲気を残す要因となった。まさに聖地と言って良いと思う。
なお、記念館は外観だけではなく館内も撮影に使用された作品も存在するが、現在館内は一切撮影禁止なので注意。


② 令和編 〜卒業式で泣かないと… 〜

さて次の目的地へ向かう。
先ほど登ってきたのは実は裏口のようなもので、今度は記念館の正面入り口の方に向かう。

正面入り口は「記念館通り」に面しているが、今回はこの通りをクッと右に曲がる。しばらくは道なりに住宅地やゴルフ場(米軍施設)の中を15分ほど抜けていくのだが、途中それなりに景観の良い場所もある。

歩道が狭い。


やがて陸橋を渡ると若葉台地区だ。

陸橋を渡り直ぐ先、左手の階段を降りて住宅地を抜けていく。

多摩ニュータウンの中でも特に新しい土地だ。

若葉台駅に通じる大通りに出て左に進み、「若葉台公園西」の信号を右手(コンビニのある方)へ進むと第二の目的地「若葉台公園」に到着する。

(この風景を)待っていたよ
「俺たちが居なくなっても、お前は1人じゃない!」
「君の周りには、沢山の素晴らしい仲間がいる」
「これからも仲間は増えていく…大切にするんだぜ!」

若葉台の市街地からやや離れたこの丘が、「ニュージェネレーションウルトラマン」の定番ロケ地となっている。
中でも印象深いのは「ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」ではなかろうか。そう、工藤ヒロユキとトライスクワッドの別れの地である。
ニュージェネではある種タブーとも言える「ウルトラマンと変身者の別れ」を情感たっぷりに描いた名シーンはここで撮影されたのだ。筆者も当時、コロナ禍越しの劇場公開というのもあっていたく感動した場面で、それが以前からロケ地巡りや鉄道撮影で馴染みのある若葉台と知ってより感動した覚えがある。
そういえば、「タイガ」のメイン演出である市野龍一監督はこの映画を「卒業式」と評したが、その式を経て飛び立ったヒロユキ役の井上祐貴氏の今日に至る活躍はご存知の通りである。そんな感慨に耽るのもありだろう。(些か感傷的過ぎるかもしれないが…)


③ 平成〜昭和・思うままに飛び出すのさ

さて若葉台公園を出る。階段を登り、公園の南北に面する都道19号線を直進する。永山駅を出た時に比べるとかなりわかりやすいルートになってくれたと思う。
歩くこと20分。目的地より僅かに手前だが、やはり「タイガ」に登場した稲城中央公園に入る。

公園入口に立つのは稲城市出身、
大河原邦男先生がデザインした「ペダリオン」
都道を跨ぐ陸橋「くじら橋」も
何度か登場している。

この橋を渡って、野球場の脇の道を3分ほど進むと、次なる目的地「向陽台」は近い。

ひょっとして「ウルトラマンR/B」に出てきた野球場?
その名もズバリ「ホームラン橋」を渡る

いかにもニュータウンって感じのよく分からん地域名である向陽台は、「電光超人グリッドマン」の舞台、桜ヶ丘ニュータウンのロケ地である。
多摩センターや南大沢駅の周辺も登場するものの、日常パートの大半はここで撮影されたという。実際この地域を軽く周回するだけで、見覚えのある風景がどんどん目に入ってくる。
現在も個人宅や店舗として使われている建物も多く写真の掲載は控えるが、主人公3人(直人、一平、ゆか)の家が当時にかなり近い外観で残っている点も特筆に値するだろう。
地域の中心部にあたる「城山公園」には、3人の溜まり場も健在だ。

第33話「もうひとりの武史」
第25話「決戦!ヒーローの最期(前編)」などに登場した展望台。残念ながら冬季は閉鎖されている。

「グリッドマン」の電脳世界と一種のコントラストを描く等身大の日常風景。いくつか失われた場所もあるものの、30年間その姿を大きく変えていないのはある意味奇跡だ。(いや、ニュータウンというのがそもそもそういうものかもしれないが…。)

だが実は、ここにはもう一つ重大かつ印象的なロケ地がある!!

地区の中心にある「三和スーパー」の横の道を下り、「稲城五中入口」交差点を左へ進むと大きな陸橋に差し掛かる。

陸橋から見える巨大なトンネルは、「仮面ライダーX」エンディングの撮影地である。

月曜日強い

中からネプチューンやパニックが飛び出し、上に下にと戦う建造物の正体。第2話「走れクルーザー!Xライダー!」でもクライマックスの撮影場所となり、Xライダーが、そして神敬介が激しい格闘戦を繰り広げている。
突然住宅地の端に出現するこのトンネルの正体は、JR武蔵野線のトンネルである。
武蔵野線の終点は、旅客案内上ではここから北に数キロの府中本町だが、さらに南へと貨物専用路線が続いている。その一部として現役で使われているトンネルがここだ。
開業は昭和51(1976)年。撮影当時は何もない造成地に突き出ていたのが、50年たって住宅街の中に現れる異空間となった。周囲はJR或いは稲城市の所有地らしく下に降りられないのが残念だが、造りは変わってないのが十分確認出来るし、むしろ「こんなところで撮っていたのか」という驚きも感じやすいかもしれない。

普通に貨物列車が走ってくる。
撮影中もドン桃太郎ことEF210形が通りました。


おわりに


ここから道なりに進み、15分程で京王線稲城駅に到着して今回の散歩は終了だが、途中の「稲城中央橋」交差点を左折し更に15分ほど歩くと、「R/B」のクアトロM周辺として登場したJR稲城長沼駅周辺に出る。時間に余裕があれば其方を回るのもありだと思う。

徒歩時間の合計は約2時間15分。ちょうど天気のいい日のウォーキングといった感じだ。その中に昭和、平成、そして令和の特撮を感じるポイントが詰まる形となった。

とにかく、目的を持って歩くのは楽しい。
今後もこんな感じで「歩いて回る」のを前提にした記事を書けたら個人的には凄く面白い。ただ単に「あのシーンはこの場所」と研究する事に関しては偉大なる先人が大勢いらっしゃる。ならばそこに実際に行ってみるにはどうすればいいか。どんな物が味わえるのか。そんな目線で語ってみたいというのが本音だ。
なので是非、色んな反応が欲しいです。

ではでは。