話しかけられる

こんばんは、はじめまして。農家のおばさんです。
というか、いつのまにか おばあさんの入り口に立ってしまいました。
自覚はまったくない。26歳の時に「引き返せないドア」を自覚なく
開けてしまって「農家」になり、気がつくと60歳を過ぎ、
振り返っては戸惑い、先を考えても戸惑う。そんな毎日なのです。
「農家」になった時のことから順を追ってきちんと書いていきたいと
長い間思ってきたけれど、その文才も能力もなさそうなので、時系列を
まったく無視し、あっちこっちに飛びながら書いてしまいます。
「新規就農」の「農家」の「嫁ではない」おばさんの話にお付き合いください。
ではでは。

さて、と言っても続きではありませんが、今日 畑で収穫作業をしていると
どこからか 声がする。「おはようございます・・・」「・・・」のところは
いきなり何かを話しかけられているような気もするけれど、よくわからない。
いったいどこから ? 収穫の包丁を土にぐいっと差し込み、あたりを見回したところ、かなり離れた土手の上数メートルのところにハイキングかウォーキングの小さめなザックを背負ったご婦人お二人。ん? やっぱり私に話しかけているらしい。
もちろん知り合いではないので「私ですか?」と返事をしてみた。「そうよ、おはようございます。ご苦労様です。土、凍っていないの?」こういう場合は、近くで同じ作業をしている連れ合いは 全く無視を決め込んでいるので、農家の人って感じ悪いわぁ、と思われることを常に恐れている私はできるだけ 明るく答えるようにしている。なぜなんだろう。たぶん、街で暮らす人だった時に感じた「話しかけにくい農家の怖いような人」が今でも苦手だからだと思う。変だけど、瞬間にそんな反応に出てしまう。馬鹿だよね、今はその農家の人なのに。そう、その問いに対して、明るく「凍っていませんよ、ぜんぜん」と答えたのです、もちろん。ご婦人方は「あらそうなの・・」と言いながら、そのまま歩き去ってしまいました。いや、別にお天気の話や昨今の異常気象のことを語り合いたいわけではなかったのだけれど、なんだか放り出されたようなこの感覚。なんなのだろうか。人間の感情は複雑。自分でもよくわからないのだけれど、そっち側に立っているつもりが 相手から見るとどうもそうではないらしい。それを思い出すことになるから 畑にで仕事をしているときに話しかけられるのが苦手なのかもしれない。それにしても、必ずと言ってよいほど 「ご苦労様」が加えられるのは なぜ?

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