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$H3ロケット技術者たちの2516日


$H3ロケットは日本の新しい基幹ロケットです。「柔軟性」、「高信頼性」、「低価格」により徹底したユーザ視点で開発することで「使いやすいロケット」を目指します。JAXAは日本の企業と共に総力を結集して、開発に取り組んでいます。

$諸元

全長63m(ロングフェアリングの場合)、57m(ショートフェアリングの場合)全備重量575t(H3-24L)

衛星搭載
フェアリングショート(S) /ロング(L)PAFΦ937mm or 1,194mm or 1,666mm1段
(直径5.2m)エンジンLE-9×2 or 3基真空中推力1471kN/基(100%)
スロットリング機能あり比推力422s2段
(直径5.2m)エンジンLE-5B-3×1基真空中推力137kN比推力448s固体ロケット
ブースタ
(直径2.5m)モータSRB-3×0 or 2 or 4本真空中推力2300kN比推力283.6s

H3ロケット(エイチ・スリー・ロケット)[1]は、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と三菱重工業H-IIA/Bロケットの後継機の次期基幹ロケットとして開発し、三菱重工が製造および打ち上げを行う、液体燃料ロケット使い捨て型ローンチ・ヴィークルである。2024年から運用開始。

$概要

H3ロケットは、H-IIA/Bロケットと比較して、打ち上げ費用の削減、静止軌道打ち上げ能力の増強、打ち上げ時の安全性の向上、年間打ち上げ可能回数の増加を同時に達成して、宇宙開発における日本の自立性確保と同時に、商業受注で国際競争力のあるロケットを実現させるために開発される。また、年間打ち上げ可能回数の増加による産業力の維持、新規ロケット開発機会の提供による技術力の維持、老朽システムの更新も開発の目的である。2014年(平成26年)度から開発が開始され、総開発費は約2061億円。H-IIロケットを原型とした改良開発であったH-IIA/Bと違い、H3ロケットは新しい設計概念に基づいた、大型液体燃料ロケットとしてはH-II以来の新規開発ロケットとなる。

名称の「H3ロケット」は、大型液酸/液水ロケットの系譜であることや信用度を確保するため“H”(水素元素記号[10])を継承すること、設計概念をH-IIA/Bから根本的に見直したロケットであるためH-IICとはしないこと、IIと混同しない明確さと報道などでの実質的な認知度から”3”とすることを理由に決定された。JAXAは正式な名称が決まるまで「新型基幹ロケット」という名称を用いており[2]、マスコミでは「次期基幹ロケット」「次期主力ロケット」とも呼ばれていた。

抜本的な打ち上げ費用の削減のため、日本では初めて、機体の設計・開発段階から民間企業(三菱重工)が主体的役割を果たしている。また、三菱重工が開発段階から絶えず受注活動も行い将来の打ち上げ機会を確保し続けることで、従来のようにロケットを受注してから生産に取り掛かるのではなく、ライン生産方式で絶えず生産が行われるようにして費用削減に繋げる。ロケットシステム全体を極力モジュール化し、第1段に新規開発エンジンを採用することも含めて全体にわたって新規技術の開発をすることで部品点数の削減に努め、民生部品の利用等も行ってさらに費用削減を進める。これらにより最小構成時の打ち上げ費用をH-IIAの半額の約50億円を目標としている。また、射場整備作業期間をH-IIAから半減させ、年間打ち上げ可能回数を6回に増加させる。

プロジェクトマネージャーのJAXAの岡田匡史は、このように開発段階から運用後の商業受注による事業継続を強く意識してロケットシステムを開発することを、「技術開発」ではなく「事業開発」であるとしている。

2023年3月7日に試験機1号機の打ち上げに臨んだが失敗し、2024年2月17日の試験機2号機の打ち上げで初めて衛星の軌道投入に成功し打ち上げに成功した。(打ち上げ参照)



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$H3ロケット3号機がいよいよ打上げ これからどんな活躍をする?


打上げ前のH3ロケット試験機2号機(©JAXA)
7月1日、JAXAと三菱重工業が開発した新型基幹ロケット「H3」の運用1号機(H3F3)が先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」を搭載して種子島宇宙センターから打ち上げられます。
2014年の開発開始から10年、試験機1号機の失敗による地球観測衛星「だいち3号(ALOS-3)」の喪失と、改良を経ての今年2月の試験機2号機打上げ成功を受けて、初めて大型衛星の軌道投入に挑みます。これまでの歩みと、これからH3の活躍するところを整理してみましょう。

H3は、日本の液体ロケット技術を踏襲する液体酸素、液体水素を推進剤とする2段型衛星打上げロケットです。全長約63m、直径約5.2mで、1段メインエンジンの数(2基または3基)と固体ロケットブースタの数(なし/2本/4本)によって3種類の打上げ形態があります。












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