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$カラ売り屋シリーズ マネーモンスター 単行本


$解説
元官僚の北川靖とアメリカ人の友人たちが運営するウォール街のカラ売り専業ファンド「パンゲア&カンパニー」。資産の過大計上、嘘で塗り固めた製品開発と事業計画、契約書類の改ざんや巧妙な口車で投資家を蹂躙するマネーモンスターたちに、研ぎ澄まされた財務分析と緻密な告発レポートで次々と宣戦布告‼                                                                                                              

コロナ禍とウクライナ戦争に翻弄されつつも、
日経平均が歴史的バブル超え!
激動する市場で「カラ売り屋」はマネーの怪物たちといかに戦ったのか。
迫真の経済エンタテインメント! 
息詰まる攻防を描く全3話


$読者レビューより引用・編集
高い価格で先に株の売り注文をし、株価が下落したタイミングで決済し、利益を得るのをカラ売りと言う。
上記のカラ売りを専業とするファンドであるパンゲア&カンパニーのパートナー北川・ホッジス・グボイェガ、提携関係のトニーの四人(私は勝手にパンゲア一味、もしくはチームパンゲアと呼んでいます。)が今回カラ売りで勝負を仕掛けたのは、液晶のバックライトの製造から成りあがったメーカーのグループ、不審なカリスマが経営するアメリカの水素トラックの企業、建設会社および、そこと結託して不適切な融資を繰り返した地方銀行。
今回も内容を読めば小説の中でモデルになった企業・事件があったことがすぐにわかる。そしてそれらの企業がどこかなのかは巻末の参考文献でほぼ明らかになります。また、今回は、新型コロナの流行がどのような形で株式市場に影響を及ぼしたかについてもほぼ現実に即した形で小説の世界観に底流している。また近接した分野で起こった事件をうまく一つのストーリー内でまとめて示すことにより問題がより先鋭になり明確になっているかと思う
今回もチームパンゲアの四人がそれぞれのコネクションをフルに活用して企業の持つ負の情報を集めてレポートを発表し、株価の下落後に決済をして利益を確定させるというストーリーはほぼ同じ。これまでと同様に収録された三つの話のストーリーラインはシンプルですが毎回その中に、対象となった会社が持つ社会的な問題が発表される。また、今回もそれぞれのストーリーラインの中でそれぞれの企業が病的な状態に陥ってしまった原因を作った人物が一名、もしくは複数名象徴的に語られます。以下がそれらの人物にあたると思う。
①「ミスター液晶」:自身の成功経験にしがみつく古い思想の経営者
②「水素トラック革命」:何も実現していない技術がさも存在しているように見せる詐欺的なカリスマ創業者
③「地銀の狼」:数字のためならあらゆる悪事を堂々と繰り返す地銀の営業マンとそれを利用する上司、経営者としての自覚に乏しい創業者一族の代表…
また、前作同様、このような一見問題のある企業の中にも職業倫理や良心のある人はいて、会社の撤退戦や再生をかけた挑戦を誇りをもって行う姿が美しく描かれている。①では中途入社の社員が会社の清算にともなって中国の法人の工場を清算するために奔走し、②では、詐欺的カリスマに騙された共同事業者や技術協力した人々が協力してカリスマの嘘をチームパンゲアに告げてレポート作成に協力し、③では、悪の道に走る前の営業マンの良心的な上司が最後に地銀の代表に返り咲き、再生を誓う。また、③で徹底的な悪人として描かれた営業マンが自分の罪(エビデンスの改ざん・同僚への自殺教唆等々)が明るみになると、悪あがきや抵抗をせず、最後は東京地検に連れていかれるシーンは、黒木作品にはよくある場面かもしれないが、悪人はこのように潔くあるべきだという美学が感じられる。ここは現実の悪人が抵抗と悪あがきに満ちている分ある種のカタルシスをもたらす。
また、作品全体が、こうあれば、これらの企業は道を踏み外さなかった、もしくは、より早くより良い形で再生できるという黒木氏の深い知識に基づく提言のよう。
今回も素晴らしい内容。
追伸:この作品の発売の前日に東京都知事の学歴詐称疑惑について、自身の調査内容を淡々と誠実にネットメディアで話す黒木氏の姿を見て、ますますファンになった。本の宣伝を一切しなかったのも、ある意味黒木氏らしいと感ずる。

商品の説明

著者について

1957年北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社勤務をへて、2000年、国際協調融資を巡る攻防を描いた『トップ・レフト』で作家デビュー。主な作品に『巨大投資銀行』『鉄のあけぼの』『法服の王国』『アパレル興亡』『メイク・バンカブル! イギリス国際金融浪漫』『地球行商人 味の素グリーンベレー』など。大学時代は箱根駅伝に2度出場し、20Kmで道路北海道記録を塗り替えた。ランナーとしての半生『冬の喝采 運命の箱根駅伝』に綴られている。1988年からロンドン在住。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 幻冬舎 (2024/4/17)

  • 発売日 ‏ : ‎ 2024/4/17

  • 言語 ‏ : ‎ 日本語

  • 単行本 ‏ : ‎ 520ページ

  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4344042425

  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4344042421

  • 寸法 ‏ : ‎ 3 x 12.8 x 18.8 cm

著者について

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黒木 亮

1957年、北海道生まれ。

早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。

銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、貿易金融、航空機ファイナンスなどを手がける。

2000年、『トップ・レフト』でデビュー。主な作品に『巨大投資銀行』、『排出権商人』、『エネルギー』など。大学時代は競走部に所属し、箱根駅伝に2度出場、20kmで道路北海道記録を塗り替えた。ランナーとしての半生は自伝的長編『冬の喝采』にほぼノンフィクションで綴られている。


$余談








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