宗教科・授業報告① 「天地創造のお話から、神さまのメッセージをつかみ取ろう。①」(国語とコラボ)
〇授業を行おうとしたきっかけ
私が勤めている小学校では、国語に「フレームリーディング」の手法を取り入れ、全校で行うようになっています。「個別最適化」「協同的な学び」を宗教でも取り入れようとしたときに、国語で行っている「フレームリーディング」の手法が使えるのではないかと感じました。
〇フレームリーディングを行うことの効果について
1.人から教えてもらった聖書の話ではなく、自分で
積極的に読んだ聖書の話になり、それによって、
よりアクティブに神様からのメッセージを意識
することが出来る。
2.他の児童の意見も多く出てくるので、自分以外の
人の意見を多く聞き、自分の考えを深めていく
ことが出来る。
3.国語の授業で学んだ方法が、国語だけでなく、
他の教科でも使えることを知ることで、教科横断
型で考えることが出来るようになる。
以上のような効果が見込まれるのではないかと考えました。
〇創世記1章に入る前に
聖書全体(旧約聖書と新約聖書の違い、旧約聖書の創世記1章の成立過程など)について、1時間かけて簡単に説明しました。創世記1章が出来た背景(バビロン捕囚期の成立)から、「私たちがつらく思うのはどのような時か」「つらい時にどのような声をかけてほしいか」などについて、グループで話し合いを行いました。「自分のことを分かってもらえない(孤独感)」や、「大丈夫といった声をかけてほしい(一緒にいるよという意味)」などが児童から出てきました。児童自身の体験とつなぎ合わせながら、天地創造の話をこのあと2~3時間かけて学習する予定です。
〇授業① 何日目が最も大切だと思うか?
授業展開(1時間目)
1.平和を求める祈りを全員で唱える。
2.前時の振り返り(「創世記1章に入る前に」を
参照)を行う。
3.創世記1章~2章4節を、立って各自で音読
させる。
以下のポイントを意識させながら音読させる。
ポイント
①神様は安息日も含め、何日で世界を造った?
②何日目に何を造った?。
③このお話の登場人物(中心人物)は誰?
④あなたは、何日目が最も大切だと思う?
4.各ポイントについて、児童に尋ねていく。
フレームリーディングの手法を用いる。
【数える】
①神様は安息日も含めて、何日で世界を造った?
→7日
【文章の全体像の整理】
②何日目に何を造られたか。
(手をあげさせて発表)
1日目・・・光
2日目・・・大空(天)
3日目・・・地と海・草と木
4日目・・・大きな光るもの
5日目・・・水の生き物・鳥
6日目・・・家畜・這うもの・地の獣
人間 7日目・・・安息日
【中心人物の把握】
③このお話の中心人物は誰か。理由も含めて手を
挙げさせて、発表させる。
☆授業の中で児童から出てきた答えは、以下の
ものです。
「神」 →国語の勉強で登場人物としてカウント
できるのは「セリフ」があるものだと
習ったが、この話では神さましか
セリフがないから。
「神」という言葉が一番多く使われて
いるから。
「人間」→「人間」がいないといま、私たちは
いないから。
「神がご自分に似せて造られた」
とあるから、など。
「光」→「光」がないと、何も始まらないから。
【選ぶ】 →「協同」へ
④あなたは何日目が最も大切だと思うか。
*自分が思う日に手を挙げさせます。同じ手を
挙げた者同士でグループを作り、理由を考え
させて代表者が発表。
☆以下、授業の中で児童から出てきた意見です。
1日目→〇光があって「夕べがあり、朝があった」
1日が出来たのだと思う。
光がなければ、1日は成り立たない。
〇神様が一番大切だと思ったから、最初
に造られたのだと思う。
2日目→「なし」
3日目→〇地や海がないと、生き物が生きること
ができないから。
4日目→〇日光を浴びないと、草木が成長しない
から。
〇太陽と月があるから昼や夜が分かる。
5日目→〇6日目に人間に対して「生き物を支配
させよう」とあるので、水に住む
生き物や鳥を造ったから、神さまは
人間を造ろうと思ったのではないか。
6日目→〇「人間」が造られなければ、今の
私たちはないから。
〇造ったものを守らせるために人間を
造ったのではないか。
〇人間のために、1~5日目のものを
造ったのだと思う。
7日目→〇いまの1週間の原因だから。
〇1~6日目までは安息日に至るまでの
プロセス。
〇神さまが6日間をかけて、苦労して
造られたので7日目は休んで私たちを
見守ってくださる日にしたと感じた
から。
5.本時のまとめを行う。
①後から造られるもののために、前のものを造った
という考え方が共通している。造られた順番にも
意味があったのかもしれない。
②各自が大切だと思うものも、神さまがみんなに
伝えたかったことだと思う。大切だと思うこと
を通して、神さまは私たちに何を伝えたかった
のだろうということを考えていこう。
③次回はみんなが中心人物に挙げてくれた「神」
「人間」「光」に焦点を当てて、もう一度、
天地創造物語を読み直していきましょう。
その時に、以下の点について注意。
1.繰り返し使われている言葉に注意する。
2.当時の人に何を伝えたかったのか考える。
3.私たちに何を伝えたいのか考える。
気づき
この授業は5年生に行いましたが、「フレームリーディング」の手法を使って問いかけることで、本当にたくさんの児童が自分の意見を発表することが出来たのと、話し合いに積極的に参加する形が出来たのが印象的でした。また、他者への説明をしようとする意識が芽生えるため、しっかりと聖書を何度も読もうとする姿勢ができたのが良かったです。また、国語で習った事も意識するため、一部の児童には国語的なものの見方が出来つつあることの確認もできたことが、担任の先生にとっても良かったのではないかと思います。
5月11日現在、1クラスはもう一時間進んでいますが、前時間の「つらい思い」と合わせて、「暗闇の中でも神様を信じて前を向いて努力すれば、希望がある」というメッセージや、「一つ一つも良いけれど、すべてを見ればより良い」という意見、「この地球は神様が一週間かけて造られたものなので、任された私たちは神様が造って『極めて良かった』状態の地球を大切に扱わないといけない」などという意見が、児童の中から自然に出てきています。あと1クラスの方も終わり次第、まとめた形で次回の授業の報告をします。
長い文章に付き合っていただき、有難うございました。
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