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血液検査で明らかに!細菌感染とウイルス感染の診断法

細菌とウイルス、その感染症を見分ける鍵は血液検査にあります。しかし、その解析は難しく感じるかもしれません。
この記事では、血液検査の基本的な手順から細菌感染とウイルス感染の見分け方まで、専門的な知識をわかりやすく解説します。自身の健康管理に必要な知識を得るため、ぜひ最後までご覧ください。


細菌感染とウイルス感染の基本的な違い

私たちが体調を崩すとき、それはしばしば微生物による感染が原因です。特に細菌とウイルスは、感染症の主な原因となる微生物です。しかし、これら二つは大きな違いがあります。

細菌の特性と感染症

細菌は、単細胞生物で、自己複製が可能です。食材の腐敗から食中毒を引き起こすもの、感染症を引き起こすものまで、様々な種類が存在します。
細菌感染は、喉の痛みや肺炎、食中毒などを引き起こすことがあります。細菌は抗生物質によって治療可能で、病原菌を特定することが治療の鍵となります。

ウイルスの特性と感染症

ウイルスは細菌よりも小さく、生物の細胞を利用して増殖します。
風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなど、日常生活で耳にする感染症の多くはウイルスが原因です。ウイルスは抗生物質では効果がなく、予防接種や抗ウイルス薬による対策が主になります。

ウイルス感染は多くの部位で様々な症状を引き起こすのが特徴で、風邪などが例に挙げられます。一方、細菌感染は通常、単一の臓器に感染し、その臓器の特有の症状が現れるのが特徴で、食中毒や肺炎などが例に挙げられます。細菌感染で複数の臓器への同時感染や多症状が起こることは稀で、これにより細菌感染とウイルス感染は区別することができます。

採血による感染症の鑑別方法

感染症の診断は、その原因となる微生物を特定することが重要です。そのためには採血による検査が一般的に用いられます。

鑑別の必要性と目的

細菌感染症とウイルス感染症は、その治療法が異なるため、どちらの感染症なのかを早急に鑑別することが必要です。
また、同じ細菌感染症でも、種類によって最適な抗生物質が異なるため、原因となる細菌の種類を特定することも重要です。

これらの鑑別を行うためには、感染源となる微生物を検査する必要があり、その一つが採血による血液検査です。

採血の基本的な手順と目的

採血は、専門の医療スタッフが清潔な針を用いて血管から血液を採取する手順です。
血液検査では、採取した血液を検査することで感染症の原因となる微生物を見つけ出します。また、一般に、細菌感染では血液中の白血球は増加しますが、ウイルス感染では増加しません。さらに、CRPなどの炎症反応を示す指標も調べられることがあります。これらの結果から感染の重症度や感染種の推定を行い、適切な治療法を選択します。

細菌感染とウイルス感染の血液検査の違い

細菌検査の方法とその解釈

 細菌感染の診断は、採血により得られた血液を培養し、細菌の増殖を確認することで行われます。また、細菌の種類や抗生物質への感受性を調べるためには、さらに詳細な培養検査が必要です。
さらに、細菌感染では、白血球の数が増加することが一般的で、白血球の種類や形状からも、感染の程度や細菌の種類を推測することができます。

ウイルス検査の方法とその解釈

ウイルス感染の診断は、血液中の抗体やウイルスの遺伝物質を検出することで行われます。特定のウイルスに対する抗体が血液中に存在すれば、そのウイルス感染を示唆します。

また、PCRと呼ばれる方法を用いてウイルスの遺伝物質を直接検出することも可能です。ウイルス感染では、特定のウイルスに特異的な白血球の増加や、肝機能の異常などを見ることで診断の手がかりとなります。

PCR検査とは、正式名称「ポリメラーゼ連鎖反応」(Polymerase Chain Reaction)の略でウイルス等の遺伝子(DNA:デオキシリボ核酸)を増幅させて検出する技術です。

まず目的の遺伝子を抽出します。
遺伝子は通常二重らせん構造していますが、遺伝子に熱を加えると2本鎖のDNAから1本鎖のDNAに分離することができます。
この1本鎖になったDNAにDNA合成酵素(DNAポリメラーゼ)を使って片側のDNAを合成していき元の2本鎖のDNAを作っていきます。
つまり1つだった遺伝子が2つに増えた事になります。これを繰り返していけば、ネズミ講のように同じDNAが増えていくということです。
増えたDNAに標識をつけておき視覚的にわかりやすくして検出します。

立川病院|PCR検査ってどんな検査?

細菌感染とウイルス感染の血液検査は、原因となる微生物の特性に合わせた方法が選ばれます。検査結果の解釈には、微生物学的知識が必要となりますが、それにより的確な診断と適切な治療を行うことが可能となります。

よくある質問

Q. どちらの検査も同時に行うことは可能ですか?

A. 症状や状況によっては、細菌検査とウイルス検査を同時に行うこともあります。
例えば、不明熱が長期間続いている場合や、重篤な感染症の可能性がある場合などです。

Q. 採血以外の感染症の鑑別方法は?

A. 採血以外にも、尿検査、咽頭ぬぐい液検染、便検査などがあります。また、画像診断や体温、脈拍、血圧などの生理的指標も感染症の鑑別に利用されます。

Q. 感染症の自己診断は可能ですか?

A. 自己診断は推奨されません。特に重症の可能性がある感染症では、早期に医療機関で適切な診断と治療を受けることが重要です。

Q. 感染症の予防方法は何ですか?

A. 基本的な予防策としては、手洗い、咳エチケット、定期的なワクチン接種、適切な食事と休息、ストレス管理などが挙げられます。

Q. 血液検査以外の細菌検査、ウイルス検査の違いは?

A. 血液検査以外にも、尿検査や便検査を用いて細菌感染を確認することができます。一方、ウイルス検査には咽頭ぬぐい液や鼻咽腔ぬぐい液を用いることが多いです。

今回は、血液検査を通じて細菌感染とウイルス感染を見分ける方法を詳しく解説しました。
この知識が、あなたの健康管理における一助となることを願っています。適切な判断と予防のために、日々の生活の中でこの情報を活用してください。

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