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認知症の母:遠隔介護 みまもりGPS導入。母と呼ばないで

2022年4月。
『認知症=徘徊』のイメージが強い。
私と同じようにお母様が認知症だという友人が、過去にお母様が裸足で夜に外出してしまい数日後に隣の県の山の小屋で見つかったことがあると聞いた。どうしてそこへ行ったのかどうやって移動したのかわからないと言う。

毎年17000人前後の認知症患者が行方不明になっているというし、母が行方不明になったら困る。
友人の勧めもあって、GPSを買ってみた。

バッテリーの持ちがいいのが決め手で『みてねみまもりGPS』を選んだ。本体は3000円ほどで毎月の利用料も500円ほどと安い。記録が3ヶ月残るのもとてもよかった。端末に個人情報を入れる必要がないので無くしても持ち主を探すことはできない点もいい。

目立ちすぎないようあえて白を選択


これを母に携帯してもらう必要がある。
ちょっと前の透明バッグの時もそうだが、『最初の印象』をとても大事に考えた。

母が持つのを嫌がったりすると困る。
『こんなのイヤ!』
と母が口に出したらもう持ってくれないだろう。
悪い印象にならないことが重要だ。
だから母には納得と言うよりむしろ、
『これ、好き!』
と思ってもらえるよう機能優先のGPSでさえ母の好みを想像しながら選んだ。

届いたGPSの契約も済ませて母の家へ。
言葉を選んで母に話した。
「ママの認知症が進むと出かけた先で迷って帰ってこれないかもしれない。そうなると私たちが困るから、これ(GPS)を持って欲しいんですが。いつも透明バッグに入れておいて欲しいの。どう?いいかな?」
「はい。持ちます」 
「へ? あら、素直!」

手に持ってみて。というと素直に「はい」という母


母の物分かりが良くて、というか良すぎてびっくりした。

ちょうどその頃から、私が訪問するたび
「まるでお母さんみたいね」
と言い
「はい、お母さん」
と言った後、ケラケラ笑うようになっていた。
そのせいで素直に受け入れたのかもしれない。

それにしてもGPSは本当に便利。

思えば、母が日頃どんな行動をしているのかを全く知らない。
外出が好きな人ではあるし、やたらと銀行へ出かけて行った。
買い物が好きで、大型スーパーの無料バスを利用してもいた。
犬の散歩もある。
でもそれはみんな何となく知っている行動であって、いつどこへどうやっていくのかなど具体的なことは何も知らない。
それがスマホの中で常に確認できるのはちょっと面白かった。

GPSを持ってすぐのころ

この3日後。
以下、FBから。

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2022年4月11日

母の家には毎日14:45頃にお弁当が届く。
でも母はそれを忘れて出かけてしまう。
今日も13:55に犬の散歩に出掛けてしまった。

あーあ、近所の公園だしまだ時間があるから戻れるかな〜(何度電話しても出ない)
あれ?公園を通り過ぎて駅まで行ってる…
あ、家の方向に戻ってきた!間に合うかな?
あ、また公園に寄っちゃった…
もうお弁当受け取れないな〜
あ、自宅に向かって動き出した!
このペースなら受け取れるか?でもずいぶんゆっくりだし間に合わないかな…
あ!お弁当屋さんから私に母不在の電話がかかってきちゃった。

「すみません。家に向かって母が歩いてるはずなんですが…」
「え〜〜…あ、いました!」

無事、お弁当を受け取った母。
GPS見てるだけなんだけどハラハラした。
面白いGPS。
ちなみに3000歩の散歩だった。
朝からデイサービスだったのにタフだな〜

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移動ルートが記録されるのも良かった。
歩くスピードもわかる。
バッテリーは2週間ほど持つようだが、週に1回のヘルパーさんの滞在時間中に充電してもらったり、家族の訪問時にちょっと充電する程度で、今までバッテリー切れになったことはない。

とても便利なので使い続け、つい最近、本体を買い替えた。
2年経って徐々にバッテリーの減りが早くなってきたのと、老人ホームの建っている場所の影響なのか、移動中のデータに飛ぶ点が出てきたから。

今も母は老人ホーム内で透明バッグを持ち歩き、GPSが動くのを私はアプリで確認している。
GPSには想像以上の安心がある。

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