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私の戦い・・・終戦?

先日、現在の職場の初給料が出た。前回働いていたデパートよりも安く、その前に働いていたグロッスリーストアよりかなり安い。
とはいえ、これまでの仕事の中で、一番合っている気がする。
給料は劇的に少ないけれど、まぁ、そのうちどうにかなることにする。
それよりも、一番の問題は、同僚との戦いだ。
毎日、8時間もいる場所が、楽しくなかったらもったいない。

どうしようかなぁ・・・と思っていたら、ヴィッキーの意地悪スウィッチが突然なくなった。
口調が以前と全然違うので、気のせいではないはずだ。
「なにが、気に入らなかったんだろう???」

考えてもわからないので、私のことを理解してもらえたと思うことにする。

自分で言うのもどうかと思うけれど、ヴィッキーやヴィーのようなボスキャラの人にとったら、私と仕事をするのは、すご~く楽なはずだ。
リーダーシップを取るタイプじゃないし、誰のやり方にも合わせられるし、面倒くさい言い訳やお願いもしない。かといって、ひとりで仕事ができないわけでもない。
シングルマザーで、3人の子供を育てるヴィッキーが、7Days働いて頑張っていることも理解できる。
ヴィッキーが朝遅れてきてもウェルカムだ。
まぁ、そんなこんなで、年配チームとは、終戦を迎えた。

問題は若者チームだ。
「おはよう」
ベッツィーは、ツンとしながらも挨拶をしてくれたけれど、ブルックリンはそっと目をそらした。なるほど、ベッツィーに合わせなきゃならないんだ。
すでに面倒くさい。とっとと和解(?)しよう。
ベッツィーがキッチンに入って来たとき、他の従業員がいる場所で、ガシッと腕をつかんだ。
「この前はイライラさせたかもしれんけど、私、色々な人から仕事教えてもらってるから、ベッツィーのやり方がわからんやん?やって欲しいことがあったら、ちゃんと言うてねー」
「・・・イライラなんてしてない」
「そう?じゃ、良かった」

この「イライラをぶつけにくくなる作戦」は成功した。腹立ちを示すために、投げるように洗い物をすることもなくなった。
私も、休憩を長~く取りたい彼女たちの仕事のやり方に、ある程度は合わせることにした。

それにしても、若者と年配チームの仕事のやり方は随分違う。
年配チームは、住民とおしゃべりをしながら、時間をかけてサーヴィスをする。食事を出すのは早いけれど、その後はゆっくりだ。
それもあってか、食事が終わっても、住民はなかなか部屋に戻らない。
朝食サーヴィスなら、4時間の勤務時間を目いっぱい使って仕事をしてから休憩をとる。

ところが、若手二人は恐ろしく早い。
朝食のオーダーが9時半に終了したときには、休憩できる状態だ。
ダイニングルームを覗くと、テーブルセッティングも終わり、住民はひとりも残っていない。ブンブン片付けられたら、長居しにくいのだろう。
住民も「若い人」というくくりで、あきらめているに違いない。
私も「若い人」と仕事をするときは、彼女たちがダイニングルームの仕事を終える頃には、皿洗いも終わっている状態にする。
私にとったら大切な職場だけれど、彼女たちにとったら、おしゃべりとお小遣い稼ぎができる楽しい場所だ。

彼女たちが休憩に行ってからモップがけを始めた。
ふと前を見ると、ベッツィーが仁王立ちをしている。背後にはブルックリンもいる。
「私たちにも何かして欲しいの?」
・・・なるほど。
彼女たちが何を怒っているのか、おばちゃんにはす~ぐわかる。
規定の30分だけ申請して、2時間の休憩を取っているから、私だけ規定時間まで働かれたら困るのだろう。
とはいえ、私は高校生のズルに付き合って、仕事を失くす気はない。
正しいことを知っている彼女たちに、正しいことを教えるつもりはないので、注意も告げ口もしないけれど、私には私の正義がある。
「私はやりたいことしてるだけやから、放っておいてくれてええよ」
怒った顔で二人はいなくなった。

その後、おっぱい好きのボブから忠告があった。
「あの二人の女の子は君のことを見てるぞ」
ボブは、レストランがクローズしても、フラフラと入って来て、自分の指定席に座る。呆けている風だけれど、頭はクリアだ。
耳が遠いので、陰口は聞こえないけれど、私を見る、彼女たちの様子を観察していたのだろう。嫌われていると思って対応すればいいので、ボブの忠告は有難い。
仲良くなるつもりもないので、八つ当たりやイライラの感情さえぶつけられなければいい。
若手チームとも終戦だ!・・・と思っていたけれど、そうでもなかった。

昨日、べッツィーとブルックリンが休みを取った。ベッツィーは2日前に申請していたけれど、ブルックリンは前夜に、自分のスケジュールを消した。
結果、いるはずのブルックリンがいないので、私は朝からひとりで働く羽目になった。
昼食と夕食は、ヴィーが応援に来てくれた。
毎食、ほぼひとりでダイニングルームを走り回っている私に、ロン(住民)が言った。
「俺、ユミが気の毒だよ~」
「私もそう思う~」
住民たちの応援があるので、へっちゃらだ。

とはいえ、13時間は長かった。
なるほど、生活のために働いていない若者には、「休む」という戦法があったんだ。
今日も元気にがんばろう。

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