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【シリーズ第78回:36歳でアメリカへ移住した女の話】
このストーリーは、
「音楽が暮らしに溶け込んだ町で暮らした~い!!」
と言って、36歳でシカゴへ移り住んだ女の話だ。
前回の話はこちら↓
シアトルに引越してきて、わかったことがある。
私が聞いてきた英語は、アメリカンでもブリティッシュでもなく、ブラックだった。
スタートがシカゴのブルース村で、ずーっとその界隈にいたので、当然といえば当然だ。
黒人と白人の発音や表現に違いがあることは知っていた。
どちらの真似をしようとか、したいと考えることもなかった。
英語が話せないので、失礼のない英語を話したいと思っていた。
シカゴに来る前、友人が教えてくれた。
「シカゴの人には訛りがないから、英語を勉強するにはいいよ」
よっしゃー!
シカゴで暮らしていれば、標準的な美しい英語が耳に入ってきて、私はきちんとした英語を話せるようになる!
信じていたけれど、私は標準的な英語が聞こえてくるエリアには、あまりいなかったようだ。
大学のESLにも通っていたけれど、先生以外は英語の話せない留学生だった。
アルバイトのベビーシッターの相手は乳児、幼児だ。
私が間違った英語を話しても、キョトンとしているだけで、教えてもらうことはできない。
⇩ベビーシッターのお話
レストランのバイトでは、ウェイター、ウェイトレスの多くは白人、もしくは白人のように話すタイ人だったけれど、私が働いていたキッチンのメンバーは、メキシコ人、黒人、そして英語の話せない中国人だった。
⇩働いていたレストランの話
バーでも働いていたけれど、従業員も客も日本人だったので、聞こえてくるのは日本語だけだった。
私が英語で会話をした相手をよーく考えてみる。
同居人、管理人のチャールズ、ランドリールームで会う住民、向かえで暮らす兄ちゃん、そしてブルース村のミュージシャンたちだ。
みんな黒人だ。
⇩お向かいの住民の話
テレビも黒人コメディーや映画、黒人音楽のアワード賞がほとんどだ。
「・・・あれ?」
と思ったのは、シアトルの人の言葉が聞き取れなかったからだ。
シアトルに引越したのは、渡米から3年が過ぎる頃だった。
石の上にも三年とはよく言ったもので、この頃、突然英語が聞き取れるようになった。
これまではゆっくり話してもらっても、単語が聞き取れないので、何を聞かれているのかわからなかった。
3年を過ぎた瞬間、文章の中の単語が、ぽっかり浮き上がるように聞こえてきた。
ところが、シアトルの人同志の会話を横で聞いていると、さっぱりわからない。
シカゴにいた時以上に聞き取れない。
そして気が付いた!
「そっかー!シアトルの人には訛りがあるんだ!」
シカゴが標準語なら、西海岸、アメリカ大陸北の端にあるシアトルの言葉が訛っていても不思議はない。
この発見を、当時ベビーシッターをしていたお宅のママに話した。
「シアトルの人の英語には訛りがあるから、わかりにくいですね!」
彼女はアメリカの大学、イギリスの大学院を卒業した才女で、英語がペラペラだ。
「訛りなんかないわよ。ゆみこさん、黒人の中に居過ぎじゃないの?」
・・・そういうことだったんだ。
どうやら私は、抑揚のある英語は聞き取れるけれど、シアトルの人が話す、スムースな英語は聞き取れないらしい。
聞き取れないだけではなく、私が話す英語も黒人サウンドらしい。
おもしろーい!
片言の関西弁を話し、自分は標準語を話していると信じてるアメリカ人みたい。
そのサウンドを無理に変えるつもりはない。
とはいえ、聞き取れるようになりたいし、生活をしていく上で支障があるので、白人アナウンサーのニュースだけは見るようにした。
変えるつもりはないけれど、同居人から英語を学ぶ場合、気を付けなければならないことはある。
「What the f*ck are you doing(何してるん?)」
「Shut your mouth(うるさいねん)」
「Get your ASS back here(戻ってこーい)」
「Sit your SMALL ASS down(ちょろちょろせんと座っとけ)」
彼の英語には、Fワードが散りばめられ、使わなくてもいい単語やフレーズがてんこ盛りだ。
白人と暮らしたことがないので、その違いはわからないけれど、たぶん違うと思う。
これが彼だし、使うべきではない英語も、なんとなくわかるので全然構わない。
けれども、英語初心者の私はたまに失敗するから注意が必要だ。
息子の家に行ったとき、犬がクンクン、私のお尻のにおいを嗅いできた。
「The dog is sniffing my ASS(ひゃー、犬がお尻のにおい嗅いでる)!」
と楽しそうに言ってしまった。
Ass(アス)はお尻というより、ケツという感じ。どちらかといえば下品だし、ケツの穴という意味もある。スラングとしても使われる単語だ。
同居人がいつも使う単語なので、当たり前のように使ったのだが、彼がビックリして、私の口を手でおさえた。
よろしくなかったようだ。
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片言の、下品な英語を話す日本人おばちゃんにならないよう気を付けよう。
最後まで読んでくださってありがとうございます!頂いたサポートは、社会に還元する形で使わせていただきたいと思いまーす!