胃がんの原因、ピロリ菌の検査「尿素呼気試験」について

こんばんは。今日もお疲れ様でした。
今日はピロリ菌と尿素呼気試験ついてまとめていこうと思います。


尿素呼気試験の原理

尿素呼気試験の原理は、尿素を含む溶液やカプセルを摂取し、
ピロリ菌が胃に存在する場合、ピロリ菌が尿素を分解し、アンモニアと二酸化炭素を発生させます。その生成された二酸化炭素(CO2)の同位体比を測定することでピロリ菌の存在を確認します。
「普段の呼吸にも二酸化炭素が含まれているじゃないか」と鋭い人は気づいたかと思われます。
二酸化炭素には安定同位体と言われる、質量数が12の「12C」と質量数が13の「13C」があります。通常の呼気時に生じる12Cとピロリによって生成される13Cの比率を測定します。

ピロリ菌の検査

  1. 呼気試験(ウレアーゼテスト): 患者に特定の溶液を摂取させ、その後一定時間経過後に呼気中の二酸化炭素濃度を測定します。ヘリコバクターピロリが存在すると、尿素を分解して二酸化炭素を生成するため、検出されます。

  2. 便検査: ピロリ菌の便による検査では、便中のピロリ菌の抗原を検出することができます。便を採取し、検査キットを使用して検査を行います。

  3. 血液検査: 血液中のピロリ菌に対する抗体を検出することで、ピロリ菌の感染を間接的に確認します。しかし、過去の感染の有無を示すため、感染の有無を特定するためには限定的です。

  4. 胃粘膜生検: 内視鏡検査を行い、胃や十二指腸の粘膜から生検を採取し、ピロリ菌の存在を直接確認します。これは最も確実な検査方法ですが、侵襲性が高いため、他の非侵襲的な方法が先に試されることが一般的です。

H.pylori(ヘリコバクター・ピロリ)がもたらす疾患

  1. 消化性潰瘍: ピロリ菌感染は、胃や十二指腸の潰瘍の主要な原因の一つです。ピロリ菌が胃粘膜に感染し、炎症を引き起こし、潰瘍を形成する可能性があります。消化性潰瘍は、胃痛、胃酸逆流、消化不良などの症状を引き起こすことがあります。

  2. 慢性胃炎: ピロリ菌感染は、慢性胃炎の主要な原因の一つです。胃粘膜の炎症が持続し、消化器系の機能を妨げる可能性があります。慢性胃炎は、胃痛、消化不良、胃酸逆流などの症状を引き起こすことがあります。

  3. 胃癌: ピロリ菌感染は、胃がんのリスクを増加させるとされています。ピロリ菌感染は、胃粘膜の炎症を引き起こし、長期的な炎症反応が発がんのリスクを高める可能性があります。

  4. 非消化器系疾患: ピロリ菌感染は、消化器系以外の疾患とも関連があるとされています。例えば、ピロリ菌感染は、特定の種類の胃リンパ腫のリスクを増加させることが知られています。

尿素呼気試験の感度・特異度

まず、感度と特異度について
感度:検査が正しく陽性の結果を示す能力。感度が高いほど、実際に感染している人が、検査で陽性結果が得られる割合が高くなります。感度が100%に近いほど、偽陰性の可能性が低くなります。
特異度:検査が正しく陰性の結果を示す能力を。特異度が高いほど、実際に感染していない人が、検査で陰性結果が得られる割合が高くなります。特異度が100%に近いほど、偽陽性の可能性が低くなります。

実際に使用される試薬や検査装置の品質によって異なりますが、一般的に、尿素呼気試験の感度は高く、特異度も高いと報告されています。しかし、疾患の進行段階や個々の患者の状態によっても変化する可能性もあります。

尿素呼気試験のメリット・デメリット

メリット

  1. 非侵襲的:尿素呼気試験は、患者が特殊な溶液やカプセルを摂取するだけで済むため、内視鏡検査などの侵襲的な手法よりも負担が少ないです。

  2. 安全性:一般的に、尿素呼気試験は安全であり、患者に有害な影響はほとんどありません。

  3. 高い正確性:ヘリコバクターピロリの存在を検出するための高い正確性が報告されています。

  4. 早期検出:感染の早期段階でも検出できるため、早期の治療を開始することが可能です。

デメリット

  1. 検査結果に影響を与える要因:検査前の飲食や特定の薬物の摂取が、検査結果に影響を与える可能性があります。これらの要因を制御することが必要です。

  2. 結果の解釈の複雑さ:尿素呼気試験の結果を解釈するには、専門的な知識と経験が必要です。検査結果が偽陽性や偽陰性となる可能性もあるため、他の検査法と併用することが重要です。

  3. 検査の準備と手順の手間:尿素呼気試験には、特定の準備や手順が必要であり、患者や医療スタッフの時間と労力が必要です。

実際に検査の精度は他のピロリ菌の検査と比べても、高いのではないかと言われているようです。
ピロリ菌が感染しているかどうか、ピロリ菌の除菌が成功しているかどうか確認する際に、用いられる検査です。
患者様には痛みや苦しさなどがない検査です。
医療スタッフとしては、検査自体に20〜30分ほどかかるので、場所の確保などの手間がかかるのがやや難点かと思います。

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