僕らが紡いていくストーリー

こんにちは
元文芸学科のアオです                            今回は書評第3弾で、アゴタ・クリストフの「悪童日記」です。     

僕は初めてこの小説を読んだときの衝撃を忘れられません。こんな書き方もありなのかと驚かされました。具体的な例をあげると、まず、普通の小説ならば、人名や地名などが書かれていますが、「悪童日記」内には固有名詞が一切登場しません。これは、読み手に対する挑戦状だと僕は思っています。悪童日記の舞台は恐らくハンガリーですが、作中内であえて名言しないことで、読者の想像をより豊かにする効果があるのではないでしょうか。つまり、読者個人が悪童日記の舞台を各自で決めていいのだと思います!これはかなり斬新ですよね(笑)。

そして、悪童日記の最大の特徴は、「僕ら」という一人称複数視点で書かれているところです。双子の兄弟が主役なので当然なのかもしれませんが、この小説以外に、「僕ら」視点で書かれている小説を読んだことがありません。そして、「僕ら」視点がとてもしっくりきます。「僕ら」視点で書くと、滅茶苦茶になりそうですが、きっちりとまとめられていて、アゴタ・クリストフの技術の高さが伺えます。

また、主人公である双子もとても魅力的です。戦時中という状況なのに、とても冷静で達観している姿は、僕の理想の人間像です!そして、悪童日記の作中には、とてもためになる文章論が書かれていて、僕も小説を執筆する際には参考にしています。詳細は書かないので、是非読んでみてください!


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