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魔法少女アニメin昭和

日本の子供アニメでは伝統的に少女が何らかのアイテムを用いて変身し、窮地を逃れて一件落着というパターンが受け継がれている。
女の子向けのアニメでは主人公やその仲間たちが素のルックスにゴージャスな衣装や武器をプラスした変身後の姿で挑む。
男の子向けのアニメは、主人公がメカやロボットを駆使していわば間接的に敵をやっつける。自分自身が直接理想のヒーローになるのは実写の仮面ライダーやウルトラマンで、もとの人間の時の姿は見る影もない。(男子が変身する時ヌードになって華やかにパワーメイクアップしたっていいと思う。)男女でのこの違いは興味深い。

私も例にもれず魔法少女に憧れた。世代としては花の子ルンルンと魔法少女ララベルだ。これらは東映の魔女っ娘アニメというくくりだそうで、ララベル以降は魔法少女もののアニメが作られなかった。どうりでこの二つしか覚えていないはずだ。
東映から外れれば他にもそういったアニメはあり、例えば私の二歳下のいとこはクリィミーマミやミンキーモモを見ていたが、その頃私はそういったものを卒業していた。

この二つは主人公のキャラが全く違った個性を持っていてそれぞれが好きだった。ルンルンは、たぶん舞台がフランスかオランダあたりのヨーロッパをモデルにしていて、登場人物たちも外国人っぽくておしゃれだった。うろ覚えだが、何か幸せになれる重要な花を求めていろんな土地を旅するストーリーで、行く先々で出会う困難に花の形の魔法の鍵でルンルンが変身して解決していく。道中、セルジュという謎の青年にサポートされながら、最後はなんだかんだでルンルンは家族との身近な幸せを選んだような話だった。この辺はメーテルリンクの青い鳥に通じるものがあってステキな教訓を含んでいると思う。
故・小林亜星作曲のテーマソングもすばらしい。オープニングは美しいメロディラインにのせていろんな花の名前が登場する。『いつかはあなたの住む町へ行くかもしれません~♪』という歌詞に「ルンルンがこの○○市○○町に…⁉」とドキドキしたものだった(当時2~3歳)。
一緒に旅するキャトーとヌーボーという猫と犬のキャラも可愛すぎるし、今でいう悪役令嬢ポジションのトゲニシアも魅力的だった。美人じゃなきゃ許されないほどの悪行ざんまいでルンルンたちに迷惑かけまくり、ストーリーを引っ掻き回すのに貢献していた。このアニメで花には花言葉というものがあることを知った。

ララベルについては好きだった割にあまり語ることがない。こちらは舞台が日本で人情味があり、隣の町の女の子的な親しみやすさがあった。ただ、マスコットのベラはルンルンでいうキャトーとヌーボーのように可愛いというよりファニーフェイスだったし、ライバルは美女ではなくビスカス&落葉ツモロウというおっさん一味で華がなかった。おじいちゃんとおばあちゃんの家を拠点にしているせいか地味で、毎回花言葉ではなくことわざで締めるのも渋かった。
キーアイテムは「魔法のトランク」というがっつり玩具展開しやすそうなもので、当時は一式セットで売られていたかもしれない。その中の魔法のバトンを持っていたのは覚えている。振り回しながら「ベララルラ~☆」と変身する時のマネをよくしていた。

そしてこの二つのアニメは、エンディング曲が秀逸だ。
一時期アニメのエンディングはなぜかよく盆踊り調になることが多かったが(ドラえもん然り)、こちらはラテン系なのだ。ララベルに至っては本編と全く関係ないフラメンコでも踊りだしそうなスペイン風のド派手なドレスすら身に着けていた。どちらも軽快で口ずさみたくなる曲なので、ぜひ検索してみてほしい。

ほとんど忘れていて言うのも何だが、この時代(1979~1981年あたり)の魔法少女アニメには萌えもエロスも派手なグッズ展開もないが、ストーリーが丁寧に作られていて子どもたちの心に温かい何かが残るものだった。

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