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7/3 【参院選目前に迫る】

今回は来週の参院選について、現在の政治情勢踏まえ執筆しました。

①     G7では左派が台頭しているがその先陣を切ったのは実は日本だったのではないか
②     岸田政権が支持率を高くキープしなければならない事情は党内での立ち位置が関係している

という大枠を基に、最後にはボートマッチについて触れています。

●参院選目前


参院選の投開票日である7月10日まで残り1週間となった。
日本では衆院と参院で首相指名や予算・法案の議決が異なった場合、最終的に衆院の議決を優先することから、衆院選挙は政権選択選挙と呼ばれる。

一方で、その任期が衆院の4年よりも長い6年である参院は、衆院に比べて民意が少し反映されにくいという側面もある。これらの制度を踏まえ、参院選はしばし政権の「中間テスト」と表現される。

参院の定数は今回から3議席増えて、計248議席となる。任期が6年である参院議員は、3年ごとに半数が改選されるため、改選数124(選挙区74、比例50)+神奈川選挙区欠員分1の計125議席が争われる。

岸田首相は、勝敗ラインを「与党で過半数」と設定しており、非改選議席分の69(自民55、公明14)議席を考慮すると、56議席以上の獲得を目指すことになる。


(出所:読売新聞)

●世界的な政治イデオロギーに変化の兆し


ここ1年間におけるG7各国での政治イデオロギーには変化が生じている。

まずはドイツだ。ドイツは21年9月に総選挙が実施され、メルケル前首相が長年率いた保守派のキリスト教民主同盟(CDU)が敗北。代わりに中道左派の社会民主党(SPD)と、緑の党、自由市場主義を掲げる自由民主党(FDP)の3党による連立政権が誕生した。

22年6月に実施されたフランス総選挙(下院選)でも、メランション氏率いる不服従のフランスを中心とする左派の躍進が目立った。改選前66議席に対して、約2倍の131議席を獲得。フランス国民の支持を着実に集めている。

また同じく22年6月にイギリスの2選挙区で行われた下院議員の補欠選挙においても、どちらも与党保守党が破れた。南西部デヴォンのティヴァトン・アンド・ホニトン選挙区では、野党・自由民主党が勝利。同選挙区は2019年の前回総選挙では、保守党が圧勝していた。

また最大野党・労働党は、北部ウェストヨークシャーのウェイクフィールド選挙区で2019年総選挙で失った議席を奪還。この結果を受けて、保守党はオリヴァー・ダウデン共同議長が辞任に追い込まれた。

●国際的な左派への支持と岸田政権の親和性


前述の通り、G7(除くアメリカ)では左派勢力が、反グローバル・反エリート主義を掲げる極右政党からキャスティングボードを取り返しつつあるように思われる。この流れは決して日本とも無関係ではない。

実は必ずしも有権者が意図したものではないかもしれないが、日本でも右派→左派での「政権交代」が先んじて起きていた。

21年9月、自民党総裁選挙において岸田氏が総裁に選出された。安倍元首相とその路線を引き継いだ菅前首相に次いで首相に指名された岸田氏は、経済・社会保障、外交・安全保障の双方で安倍元首相とは真逆と言っていいほどの立ち位置だ。

最近は軌道修正を図ろうとしているものの、岸田首相は経済政策について就任直後に「分配」を前面に押し出し、その社会主義的な思想でサプライズを与えた。財政政策においても、安倍晋三元首相が最高顧問を務める積極財政派の「財政政策検討本部」と、総裁直轄で麻生太郎副総裁が最高顧問を務める「財政健全化推進本部」のスタンスは大きく異なっている。

同じ政党内で真逆と言っていいほど財政政策に対する考えは異なっており、最早自民党右派と自民党左派でそれぞれ分裂した方がよいのではないかとさえ思う。

また外交・安全保障政策においても、安倍氏らが防衛費を国内総生産(GDP)比2%まで増額としている一方、現政権は同方針から一定の距離を置いている。

このように、G7における左派台頭の流れの先陣を切っていたのは実は岸田政権であり、世論調査による支持率が就任当初から低下していないことは国際的な大きな左派勢力台頭・支持拡大の一環であると考える。

(出所:毎日新聞)

●岸田政権の政策実行能力と支持率の関係性


岸田政権に対する「何もしない」「検討ばかり」という意見・評価がある。確かに就任から約1年弱が経過しようとしているものの、岸田政権固有の成果や政策実行と言われると、あまり頭に浮かばない。

このことは岸田政権における①自民党内での立ち位置と②支持率を補助線として読み解くべきだろう。

まず自民党内での立ち位置であるが、下図の通り岸田派は自民党の派閥としてはさほど大きくない。麻生派や谷垣グループと連携する大宏池会構想もあるが、岸田派単独でみると最大派閥である安倍派の半数以下だ。

先の総裁選以降、二階派は岸田首相より冷や飯を食わされており、有事の際には安倍派と連携するだろう。また下図には記載がないが、菅前首相を中心とする菅グループも約30人近くの規模であり、岸田首相とは距離を置いている。

(出所:朝日新聞)

このような状況において、岸田首相の支持率低下や国政選挙での敗北が政局の火種になる可能性があることは火を見るよりも明らかである。

つまり岸田首相にとって、この参院選までは何としても支持率を維持し、勝敗ラインとなる与党で過半数を達成しなければ自分の首が飛ぶ可能性があるということだ。(逆に言えば、安倍元首相は盤石な党内での支持基盤を背景に、多少支持率を削っても政策を押し進めることができた)

支持率を維持するために、議論を呼ぶような政策(原発の再稼働や防衛費増額、憲法改正)には敢えて深く言及することなく、波風が立たないようこの1年あまり歩みを進めてきた。

(出所:NHK)

●参院選争点 経済・安全保障
参院選の争点は、やはり経済政策及び安全保障になるだろう。

経済政策においては、足元で進むコストプッシュインフレに対し、政治がどのような対策を打ち出すのか。コストプッシュ型のインフレこそ政治による対策の出番であり、注目が集まる。

またロシアのウクライナ侵攻後に、世界的な規模で議論が高まる安全保障についても同様に各政党の考えをよく比較・検討する必要があるだろう。

下図は極めて簡略化した比較表であるが、例えば早稲田大学マニフェスト研究所HPでは、各政党の公約をわかりやすく且つより詳細に分析しており、投票にあたっての参考になる。(https://maniken.jp/kurabete_erabu/

(出所:時事通信)

この他にも、下記のボートマッチサイトを利用するのも参考になるだろう。質問事項に答えると、自分の考えと近い政党を示してくれるサービスだ。

・朝日新聞×東大谷口研究室 https://www.asahi.com/senkyo/saninsen/2022/votematch/
・読売新聞ボートマッチ
https://www.yomiuri.co.jp/election/votematch/
・NHKボートマッチ https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/survey/votematch/

これらサービスがこの記事を読んでいただいた皆様の、投票の一助になれば大変幸いである。

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