就活は相性ゲー


#就活体験記
就活は結構ストレートに終わらせてしまったほうなので就活の現状全体を把握しているわけではない。また学歴がある程度意味を持つ学校に行っていたからスムーズに終わったのもあるのかもしれない。
とはいえそれは置いておいて、就活を終えた経験から、就活で重要視されがちだが「それって必須ではないのでは?」と思った要素について、就活体験を交えて書いていく。

「SNSが発達し価値観が多様化した現在、万人にとって良い会社というのが存在しなくなった」という意見を何処かで読んだ。まさにそのとおりだと思うし、それ故に以下に書くような要素を求めない企業も増えてくるのでは無いかと思う。なのでこれから就職活動を始める人は、自分を偽らずとも高望みしなければ「自分が良いと思える企業」に就職できるのではないかと思う。

因みに「自分が良いと思える」条件に、「他人に自慢できる」とかを求めだすと高望みする必要があるので注意が必要だ。何故なら自分と相手の価値観が違うことで「相手にとっても良いと思ってもらえるハードル」がかなり上がっているからだ。そういう人は頑張って自分を磨きましょう。

また強調しておきたいのが、「以下に書く能力はいらない」と言いたいのではなく、「不要な場合もある」ということである。あった方が有利な場合も多いだろうし、寧ろない方が良い場合もある、要するにすみ分けの問題だ。
自分が苦手なことを苦もなくやる人がいるのと同様に、自分が苦痛に感じる作業は他の人にとってそうでもないかもしれない。楽をするためにも自分と違う人の存在を認識しましょう。

自分の就活全体像

一応想像しやすいように就活の様子をざっくり書いておく。
マスター1年の11月くらいから主にOffer boxを使い、メーカーさんを中心に話を聞いた。必然的にそんなに大きなところをいっぱい受けたわけではなく、面白そうな中小企業が中心だった。時にはスーツを着て、時には私服で、Zoomの部屋に入って1時間くらい話を聞いたり質問したりした。1月くらいから本格的な説明会やエントリーシートの提出、2月くらいから面接が増えて来た。3月末にさっさと内定をくれたところがあり、正直気が合ったりネットの評判もよさそうだったのでそこに決めた。面接での質問の意図がなんとなく分かったり、同じような価値観を向こうが持っていそうで、それなら悪いようにはならなさそうだと感じたのが大きかった。そして就活を終わるため数社にお断りの連絡をして私の就活はするっと終わりになった。
そして最後に一般的な就活スケジュールを知って(3月広報開始、6月面接内定解禁)びっくりした(

エントリーしたのは10社前後だったが飛んできたオファーはそれなりに多く、いくつも掛け持ちするのは苦手だったため結構お断りもした覚えがある。
中小企業といってもメーカーであれば高い技術力を持っていたり、今から新規参入が難しかったりで買いたたかれたり仕事がなくなることはないんだろうなと感じる企業は多かった。
ただしだからと言って儲けるのが上手いとは限らず、「もっと技術を高く売って社員に還元してあげたらいいのに」と思うところが数社あった。日本はそういうところ多そうだなという偏見が自分の中に生まれた。まあそのおかげで多くの物が安く高いクオリティーで存在しているのかもしれないが。

熱意を求められた経験

実際に就活において受けた質問で熱意を問うていそうだなと感じたのは以下のようなものだ。

①「いままで、本当に頑張ってやりきった経験は何ですか?」

この質問は社員数250人くらいのポンプメーカーから。一口にポンプはと言っても液体を汲み上げるものを雑にポンプと纏めているため種類はかなりたくさんあり、各社ごとに得意なポンプが違うようだ。そのためある特定の種類のポンプに限り、非常に高い技術力を持っているように見えるところだった。
ここにそのまま書くのがくどいので要約したが、「やりきった」ことを何度も念押しされ何かすごいことを言わないとと思うくらいハードルを上げられた。そんな大きな挑戦なんてそもそもしたいと思ったことが無かったため非常に話すことに困った。やってきたのはできそうでそれほど苦痛でないことだけだ。じゃあそういうことを就活の経験として積んでおくべきという意見もあるかもしれないが、そのうち起業したいなどならともかく無難に楽しく生きたいだけならそんな経験は全く必要ないはずだ。そういうことを聞かれて困る人は受ける会社を間違えたと思っておくのがいいんじゃないだろうか。大きなことをしたい人はそういう経験を積んでおきましょう。

②「どういったときにやりがいを感じますか?」

この質問は倉庫などの空間を有効に使うための「ラック」と呼ばれるものを作っている企業から。言葉の端々から情熱とか真面目さとか、そういうものを求められていたと思う。その分野ではそれなりのシェアを持っているところだったようだ。
やりがいに関しては、企業側が求める模範解答としては「お客様にお礼を言われたとき」みたいなものだったらしいが、自分が正直に答えたのは「自分が満足する仕事ができたとき」といったものだった。一次面接の担当者の人はその二つは本質的に同じと言ってくれて通してくれたが、二次では頭の固そうなおっちゃんと面接の中で2回くらい意見が対立してしまい、「通っても行きたくないなー」と思っていたところ無事落とされた。不採用メールが要約すると「本当に入りたかっただろうけどだめです。ごめんね」みたいな文章でちょっと物申したくなって、「面接は良い相互理解の場でしたね」と遠回しに私もそう思いましたと返したのが思い出として残っている。

③具体的に質問されたわけではないが遊具を作っている企業さんでも熱意を求められたことがある。あとから調べるとそれなりに人気の企業だったようで初めて集団面接を経験した。
「熱意のある人が多く、お互いの意見がぶつかり合うこともある。そういった時どのような対応をするか」ということを聞かれた記憶がある。その時なんて答えたか覚えていないが、基本的に譲ってしまいそうなためそういった対立の中でいいものが生まれるという考えの中には多分自分は生きにくかっただろうなと思う。二次面接まで行って不採用だったがその企業さんの人を見る目は確かだったんだろう。

これらの経験から自分には熱意はないが、一般には結構重要視されているんだろうなと思った。でも今まで生きてきて困ったことはないし、これからも困る気はしないし、なんか違うんじゃないかなと思ったので、熱意に否定的な意見を纏めてみた。熱意無くて落ち込んでる人が読んでくれたりしたら丁度良さそう。

熱意いる?

熱意があると多くの努力を比較的行いやすい。働く方は望んでいることだから続けられるし、企業やその企業に依頼する人からすればぶっちゃけ安い給与で長く働かせていても文句が出にくくていいだろう。ただし熱意とは無から湧いてくるものではなく、個人的な拘りや明確な目標、理想を持って初めて生まれてくる。
熱意で動く側面が大きいと、理想と現実に行う作業が一致しなかった場合に一気に熱が冷めてしまったり、目標に向かって全力になる一方でそれ以外のことのやる気が著しく削がれたりする。

例えば「職人気質な技術者」は自分の趣味に合わない仕事をしたがらないだろうし、「かっこいい活躍がしたい人」は日々の雑務を面倒がるだろう。
労働条件が悪かったりで捻くれてくると、熱意のない(自分と志を同じくしない)人を見下すようになる可能性もある。

それならば熱意なんかに大きく頼ることはせず、粛々と仕事をこなす人のほうが安定して作業を進めてくれるはずだ。そういう働きが求められる職場(部署)は当然あるだろう。

熱意は現場すべての人に必要なものではないと思われる。

自分で考えて動く能力いる?

これは大学の教授と話していた時に出た話題で何か具体的な経験があったわけではないのだが、言われがちだと思うので書いてみる。「言われたことができないやつ多すぎ」→「言われたことしかできないって文句って贅沢では?」みたいな内容だった。

私は色々考えながら行動してしまう人間だが、ただただ作業を行うには向いていない自覚がある。
なにか思いついたら試したいし、同じ作業だけだと飽きてくるし、嫌になってきたらそれらしい理由をつけてサボるタイプだし。

それに比べ、そんな事を気にするより黙々と作業を続ける人の方が成果を出す仕事もあるに決まっている。私の所属している研究室の先輩でそのタイプの人がいたが、実験量は正直狂っていると思うほどで、そこから考察できる内容も非常に面白いものだった。
勿論教授が作業の指示をしたからと言うのはあるが、得られた仕事の価値が下がるものではない。私なら到底やり切ることが出来なかっただろう。

私達が日々便利に使っているもので全く考えないものとして有用なものにスマホやPCがある。これらはしっかり使える(指示を出せる)人が使えばば、自ら考える能力がなくとも十分以上の働きをする。また、最近流行りのAIは思考をしているわけではなく、「そう見えるように確率に従って動くようプログラムされている」のである。それらのことから、考える能力がなくとも適切な人の下で働かせていると問題なく成果を出し、更には「その人が考えて判断しているかのように見える」人材になってくれるだろう。

そもそも素人が考えて動くと大体いいことが起こらないので、分かっている人にプログラミングしてもらう(マニュアルを見せてもらうか素直に教えてもらう)のが良いと思う。

こういう考えを持った企業であれば、この能力は求められないだろう。

教えられる人が居なくて即戦力を求めるやばいところとかスタートアップとかでは必須だろうけども。

コミュ力を求められた経験

コミュ力を求められた経験は非常に多い。私が見た研究職の募集には殆どこれが書いてあった。面接で話せばわかることもあり直接聞かれた経験は1回だけだが恐らくどこも重要視してるだろうなとは感じた。話が通じない味方って実質敵になることもあるしまあ納得である。

①「年上の方が多数いるがそういった人とコミュニケーションを取るのは大丈夫か」

分散(溶液に溶かすのが不可能な組み合わせの物質を溶けているような状態にする)という技術を持った企業からもらった質問だ。身近な所ではペンのインク、最新技術ではEV内の溶液なんかに応用される分野だという。水溶き片栗粉は放っておくとそこに片栗粉が溜まるが、この状態になるのが遅い、又はならなくなるような工夫のノウハウを持った会社なのだとイメージしてもらってもいいかもしれない。均一な溶液にしてしまいたいがうまく溶けてくれない、なんてことはざらにあり、化学系にいる身としては有用だろうなと思った。
最初の方に受けた会社だったこともあり自分の自己分析が終わっておらず、なんかよくわかんないことをエントリーシートに書いてしまったせいか、面接官の態度がしんどかったのを覚えている。当然のように落ちた。
まあコミュニケーションを重要視しているんだろうなとしか言えないが一つの経験にはなった。

コミュ力いる?

さっき持ち上げておいてなんだが、コミュ力が大事かという話に疑問をぶつけていきたい。

そもそもコミュ力といってもふわっとしているのでもう少し具体的にすると、求められている物の中核としてはすれ違いを起こさないための「意志疎通をする能力」だといえるだろう。コミュ力の中身含まれていそうなペラペラ口が回るだとか、すぐに人と多くの仲良くなれるとか、多趣味で話題が多いとかが必須なわけではない。

少し前に、内定をもらった企業の内定者研修を受けてきたのだが、そこでコミュニケーションを円滑に行うための技術としてペーシングという技術を聞いた。これを聞いた限り、これは少なくとも片方が話を聞きだす能力を持っていれば意思疎通は問題なく行われ、言葉数は少なくとも致命的なすれ違いは避けられるように思う。

問題はこれが効かないくらい捻くれてしまった人であり、そういう人で話が通じなくて困っている状況を、何度か見たことがある。

1つ目は高校の時の部活の後輩でいた。
私の通っていた高校は普通科の他に少し合格が難しい理系の上位クラスがあったのだが、上位クラスの後輩男子が自分の同期の普通科文系女子(その後輩から見たら一つ上先輩)の話を全く聞かないという事件が起こった。部活は下手くそで、助言は聞かなくて、居眠りはして、それだからこそなのかプライドしかなくてまあ大変だった。ここで更に面倒なのは、この後輩はそれなりに理屈っぽい私(男)や、私の一つ上の男の先輩の話は多少聞くというところだ。取り敢えず「はい」ということは出来るようで、笑いかけてやれば笑わないわけでもない。
そのくせ対応する人が変われば返事すらせずに睨みつけるらしいのだから中々すごいやつだった。結局は先生に退部させられることでこの問題は収束した。

こういう輩は恐らく会社の面接で弾くのは難しいだろう。コミュ力という面から見ても、そいつが認める人(認められても何も嬉しくないが)が面接をすれば「ちょっと言葉数が少なくて不器用だが話ができないわけではない」人物に落ち着く可能性がある。そこにそれなりの学歴がついていれば取る会社もあるだろう。
だがこいつと関わった経験からすると明らかに避けるべき人種である。残念ながら、これを更生させられる知識を私は持っていない。

また最近研究室にやってきた、卒業した先輩に会社の後輩の話を聞いたが、それと似たような話だった。
そこのやべーやつは理系の院で菌を触っていたようで、菌関連の会社(先輩が務めている)に就職。その経験が自信になっているのか、面倒事を次々と起こすらしい。 

聞いた話だと

①「経験からわかるんで!」と言って間違った指摘をする。検査をしてそれが間違いだと分かっても悪びれない。
②掃除の時間と決められた時間に掃除をしない。
③何か指導をすると「先輩って大学で菌触ってたんですか?」「ですよねぇ」で会話を切られるらしい。(聞くだけでくっそむかつく

私の経験よりも数段上を行っていて到底かなわない。
自分の経験したやつよりも舌が回るようである。恐らく権威ある人にはもっと普通に、自信有り気に振る舞うのだろうと思うとコミュ力無いようには見えないだろうなぁと思う。

問題はそんな上辺より歪んだプライドとか性格とかその当たりなのだろう。むしろコミュ力は研修とかで習得可能だと思うので、こっちを重点的に評価したほうがいいのではないだろうか。

というわけで、皆さんも性格は歪ませないようにしましょう。

まとめ

自分の性質をよく理解してそれに当てはまる場所を探せば、自分に見合う場所は存在すると思われる。ただ自分がそれに満足できるとは限らない。不満ならば努力が必要だ。
捻くれるのだけはやめとけ。

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