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情景+音楽

#夏に聴きたい曲

変な学生時代だった。

初めて音楽というジャンルに興味を持ったのは小学6年生終わり頃だったと思う。
図書館でイヤホンをしながら勉強する高校生に憧れた私は歳の離れた兄にiPod Miniを買ってもらった。
全てにおいて初心者だったわたしのiPodには全部兄のセンスで曲がダウンロードされていった。

最初に入ったのは、兄が持っていたケツノポリス2とmagic number、TOKYO CLASSIC。
わけがわからなかったけど、そのリズムの心地良さに意味を理解しないまま口ずさんでいた。

そのジャンルの曲しかしらなかったおかげで同級生とは全く音楽の話で共感し合えなかった。
それでもその頃は自尊心が高かったのか全力で周りにRIP SLYMEを推していたし、下敷きにはRIP SLYMEの歌詞が書いてあった。

HIPHOP好きになった私はケツメイシ好きだった体育の先生と給食室のまん前でケツメイシのライブDVD「ケ○の穴」の話を大声でして先生には止められ、給食時間にはソフト麺には合わない私得のベストを作って大音量でかけていた。



先日、シャッフルで流れてきた「よる☆かぜ」。AirPods越しに流れて来た途端、住んでいた借家の2階でこのアルバムを兄の部屋から借りパクしてる自分を思い出した。2階の床に敷かれていた少しハゲた赤い絨毯も、廊下の奥にあった生ぬるい水がチョロチョロしかでない水道も、その水道の下の引き出しに入っていた丸められて固まったビニールプール、そのビニールプールの独特のゴム臭も一気に思い出して、理由なくバスの中で泣きそうになった。

曲と情景はセットだと思う。記憶力に自信がない私は、曲を聞いて情景を思い出すことがよくある。だから日常生活でも、旅行に行っても常に音楽を聴くことが多い。その状況に曲が合っているかいないかは関係なく、その時聴いている曲とその時見ている情景が合わさって私の記憶となる。

それに気づくのは何年も経ってからだったりする。
ふと聴いた曲でその時間に瞬間的に戻され、自分が場面と曲を知らない間にリンクさせていた事を知る。

在日ファンクのきずを聴くと高校時代の朝、まだ閉まっている駅の地下街を自転車置場まで歩く自分を思い出す。アジカンのソラニンを聴くと免許とりたてにひとりで隣町の温泉に行って寂しくてすぐ帰ったことを思い出す。ささいな瞬間瞬間だけれど、大切な私の一コマ。

聴いているのは同じ曲でも、人それぞれ聴いているその時の状況は違い、感じ方も違い、曲と風景が合わさってその人の中に記憶として残る。


きっとこれから、よる⭐︎かぜ聴くと遅番出勤するバスの中で泣きそうになった自分を思い出すんだろう。



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